第49話 翔輝○○コン疑惑!?
タイトルの○○に当てはまる言葉一つしかないじゃん、と思う方!
・・・その通りですw
皆さん前回に引き続きこんにちは、譲葉です。
現在は昼休み。いつものように私達4人(言わずもがな私、翔輝さん、ウルさん、エミーさん)はカフェテリア、いわゆる食堂のようなところで食事を取っています。
しばらくの間私達は普通に談笑していたんですが、翔輝さんが飲み物を買ってくるといって席を立った隙をうかがって私は残った二人に計画のことを話しました。
その計画というのは、今まで「用事」だけで実際には何をしているのか分からなかったので、放課後翔輝さんのあとをつけてみる、というものです。
二人もその事は気になっていたのか、計画を説明するとあっさり首を縦に振ってくれた。
と言うわけで―――
「二人とも、頑張りましょうね」
「おー!」
「放課後が楽しみだわ」
ノリのいい友達を持って幸せですね、私って。
その後帰ってきた翔輝さんと一緒に談笑を続け、昼休みが終わって授業を受け、あっという間に放課後。
早速計画開始です。まずは私がいつも通り一緒に帰ろうと誘ってみる。
「翔輝さん、一緒に帰りませんか?」
「ん?いいぞ、帰るか」
・・・え?
「おい何やってんだ、早く帰ろうぜ?」
「・・・」
どうやら今日は本当に帰れるらしいですね。早速作戦失敗です・・・。
「ちょ、ちょっと待っててください。ウルさんたちも誘ってきますから」
「はいよ、じゃあ俺は先に校門行ってるから」
私は一旦翔輝さんと別れて二人にその事を話すと、「それじゃあ計画は明日に延長。とりあえず今日は一緒に帰ろう」という事になったので、その日は普通に町をブラブラした後一緒に小屋に帰りました。
~翌日・放課後~
「翔輝さん、帰りましょう」
そんなわけで次の日の放課後。私が再び翔輝さんを誘ってみると、
「あ~・・・。悪い、今日は用事があるから無理」
ようやく期待していた返事が返ってきたことに私は心の中でガッツポーズをする。しかし、表面上は物凄く残念そうな顔をして、
「そうですか・・・」
シュンとうなだれてみる。それを見て翔輝さんはバツの悪そうな顔をして、
「わ、悪かったって。こないだ一緒に帰ったからその分行かなきゃいけないんだよ。って言うか昨日一緒に帰っただろうが」
「それはそうですけど・・・」
「とにかく今日は本当に無理だから。また今度帰れるかどうか聞いてみるよ」
「はい・・・。それじゃ、私達は帰りますから」
「あぁ、また後で」
と言うわけで翔輝さんのあとをつけると言う本来の目的が達成できそうです。
私はウルさんエミーさんに作戦の第一段階成功の知らせをし、翔輝さんが教室を出たところで作戦の第二段階開始です。・・・まぁ要はあとをつけるだけなんですけどね。
翔輝さんが教室を出てしばらくしてから、教室のドアから顔だけ出して校門に繋がる廊下を見てみたんですが、何故かいません。一瞬で消えちゃいました。
「・・・あれ?どこ行ったんでしょう?」
「譲葉、後ろ後ろ」
「後ろ?」
私は今見ていた廊下の反対側に目をやる。すると、いました。一人だけ制服の目立っているあれは、間違いなく翔輝さんです。
「・・・何であっちに行くんでしょうか?」
「何で?」
「だって『用事』って言うくらいですからてっきり学校外のことだと思ったので・・・」
「そっか、そういえばあっちは校門とは逆方向よね?」
「って事はやっぱりエミーが言ってたみたいに・・・」
「何です?」
「・・・女の子?」
「違います、絶対に」
「だから何でそう言い切れるの?」
「・・・女の勘です」
「信用できない」
「失礼ですね、私の勘はエスパーをも凌駕するほど・・・!」
「二人とも、騒ぐと翔輝に気付かれちゃうって!」
「・・・!す、すみません」
「まったく、これだから譲葉は・・・」
「基本的にはエミーさんのせいでしょう!?」
「だから譲葉黙ってってば~!」
・・・前途多難ですね・・・。
まぁ奇跡的に翔輝さんに気付かれる事もなく、尾行を続けて数分。
私達は、と言うか少なくとも私は来た事がない校舎の端っこの方まで翔輝さんは歩き続けた。
その途中でなんだか中学生くらいの子と遭遇したり小学生くらいの子と遭遇したり、なんだか時間と共に周りの生徒達が退化して行ってるんですけど・・・。
「翔輝の奴、幼稚部に用があるのかしら・・・?」
「幼稚部?そんなのあるんですか?」
「あれ、譲葉知らなかったっけ?この学校は幼稚部から大学まで全部同じ校舎で、なおかつエスカレーターだから特に勉強する必要もないのよ」
「・・・だから授業があんなに大雑把でレベル低いんですね・・・?」
「って事は何?翔輝は今幼稚部に向かってるって事?」
「まぁこのまま行ったら幼稚部の校舎につくけど」
「ま、まさか・・・」
「ウルさん、どうかしましたか?」
「・・・エミー言ったよね、翔輝の用事は女の子に会うことだって・・・」
「言ったわね」
「って言うかありえませんけどね」
「・・・って事はだよ?翔輝って・・・」
「・・・ロリコン?」
「「・・・」」
「・・・」
「・・・あの、ウルさん?」
「だって!女の子に会いに行く目的で幼稚部の校舎に来るなんてそれしか考えられないでしょ!?」
「ウルさん落ち着いてください」
「落ち着いてられないって!だって翔輝の周りにはこんなに可愛い子がいっぱいいるのにこんなところに来るなんて!何かちびっ子達に負けた気がして納得いかない!」
どういう理屈ですかそれ?
と言うかそれ以前に・・・。
「それもありえませんよ、翔輝さんは正常です」
「だってだって!分からないじゃん!わざわざこんなところに来るなんて・・・!」
「だからありえませんって。翔輝さんは・・・」
「・・・?譲葉、どうしたの?」
「・・・」
・・・大丈夫ですよね、これくらいなら言っても。
「・・・翔輝さん、あっちの世界では学校の同級生とお付き合いしてましたから」
「「!?」」
「まぁこっちに来る数年前に別れましたけどね」
「は、初耳だよ・・・」
「当たり前じゃないですか、今初めて言ったんですから」
「どういうこと?だって翔輝の奴女の子恐怖症・・・」
「恐怖症なんて大層なものじゃありませんけど・・・。その事はまだそれなりに大丈夫だったんですよ。まぁ学年上がるごとに少しずつ接し方が分からないといった感じになってきましたが」
「でも・・・」
「ほら、こんな事ばっかりしてると翔輝さん見失っちゃいますよ?早く行きましょう?」
「あ、う、うん・・・」
・・・二人とも、納得できないって顔に書いてありますけど、今はこれしか言えません。後は、翔輝さんが自分から言うまで待っててあげてください・・・。
さて、少し真剣モードに入ってしまって暗くなってしましたね。気を取り直していきましょう。
しばらく翔輝さんをつけていると、エミーさんの読み通り幼稚部の教室の前に立って扉をノックしました。
数秒後、中からまだ若い女の人が出てきた。多分20代前半くらいでしょう。動物の一部が見当たらなくて、尚且つ耳が若干尖っているのでエルフでしょうか?
「あら翔輝君。ゴメンなさいね、毎日毎日お願いしちゃって・・・。一応英雄さんなのに・・・」
「んな事気にしなくていいんですよ。先生も無理しないほうがいいっすよ?」
「ありがと、じゃあ今日も頼んでいいかしら?」
「えぇ、ゆっくり休んでください」
「うん、じゃあまたいつもの時間までよろしくね?」
「はい」
そう言うとその女の人(翔輝さんの発言と言葉遣いからして先生らしい)は松葉杖を付いて教室を出て行った。
片方の足にはギブスが巻いてあって、人目見ただけでも骨折したと分かった。
「保健室まで送ってきましょうか?」
「それじゃ翔輝君がここにきてくれる意味がないじゃない」
「それもそうですね」
翔輝さんは苦笑してそう言った。・・・なんでしょう、すごく楽しそうに見えるんですけど・・・。
別に嫉妬とかそう言うわけじゃないんですよ?ただなんて言うか・・・ムカムカします。
「嫉妬じゃん」とかいった人。・・・明日目が覚めるとき髪の毛が残ってるといいですね♪
と、そうこうしている内に翔輝さんがやかましい教室の中に入っていった。しばらくの間をおいて、翔輝さんが大きく、しかしやる気の無い声で、
「クソガキ共~、ちょっと黙れ~!」
・・・子供の衛生教育上その発言はどうかと思いますが。って言うか完全にダメでしょう?
「何やってんのよ、アイツ・・・」
「ここの子から嫌われたりしてないのかな・・・?」
まぁ十中八九相当嫌われてると思いますけどね・・・。
「あ、翔輝兄ちゃんだ!」
「兄ちゃんがまた来た!」
「翔輝兄ちゃん!遊んでよ~!」
・・・え?あれ?
な、何かメチャメチャ好かれてませんか!?
「はいはい、遊んでやっからちょっと待て。えっと、まぁいつもみたいに先生は赤ちゃんがいる上に足折っちまったから、動くのが大変だ。と言うわけで、俺がお前らの面倒しばらく見るから。面倒な事すんなよ?」
『は~い!』
・・・何か普通に馴染んでるんですけど・・・。
振り向くと、後ろでウルさんとエミーさんも困惑の表情を浮かべている。
「よし、それじゃそれを肝に銘じて、適当に遊んでいいぞ~」
『翔輝兄ちゃ~ん!』
翔輝さんがそう発表すると、皆雪崩のような勢いで翔輝さんに突進していく。翔輝さんはそれを「やっぱりな・・・」とでも言いたげな顔をしてため息をつく。
「・・・これが翔輝さんの言ってた用事ですかね?」
「まぁそうでしょ、ここにしばらくいるみたいだし・・・」
「ぼ、僕はちょっと違う事を想像してたけどなぁ・・・」
「私だってそうですけど、どう見てもこれが事実ですし・・・」
私達がそんなちょっとした会議(?)を開いていると、中の喧騒が一瞬だけ納まった。
「あ、悪いお前ら、ちょっと待ってな」
翔輝さんが生徒の皆にそう言ったからだ。何があったのかと耳を澄ませていると、
「おいお前ら。いつまでも隠れてねぇで出て来い」
・・・なにやらとてもまずい事を言いましたが、多分教室の中の生徒の事ですよね?カーテンに包まって隠れているとか・・・。
「譲葉、ウル、エミーの三人。とっとと出て来いって言ってんだ」
・・・ばれてました。はい、と言うわけで潔く翔輝さんの前に姿を現す。それに続いてウルさんとエミーさんもドアの陰から出てきた。
「やっぱりな・・・。お前ら、ちょっと俺あいつらと話があるからもうちょっと自分達で遊んでてくれな?」
『え~!?何で~!?』
「つべこべ言うな、すぐ戻ってくるから」
『・・・は~い』
生徒たちは渋々と言った感じでそれぞれの遊びを始めた。それを確認した翔輝さんは教室の外に出て、私達に向き直る。
「ったく、何で付いて来るんだよ・・・」
「だ、だって翔輝さんが何してるか教えてくれないから」
「そうよ!大体なんてあんた教えてくれなかったの?別にこんな事教えてくれたっていいじゃないの」
「言ったらお前ら「ロリコン?」とか言ってからかうだろ」
「・・・」
「図星な」
「と、とにかく。なんで気付いたんですか?」
「あんだけ騒がしくしてて気付かれてないつもりだったのか?」
「・・・」
やっぱりばれてたんですか・・・。
「・・・こないだ気まぐれで依頼室に言ったんだよ」
突然翔輝さんが語り始めた。ここに来ている理由でしょうか?
「そしたらいつもの先生にここの事言われてな。頼まれたから様子見にきたら予想以上に困ってたみたいでな。ほっとけなくて結局依頼受けちまってな。期間は最短で先生の骨折が直るまで、最長で先生が全快になるまで。今先生妊娠してるからな、全快って言ったら結構長くなると思うけど」
「でもそんなの代理の先生に頼めないんですか?」
「その辺は何か良く分からんが、大人の事情でダメらしい」
「・・・どんな事情なのか微妙に気になりますね」
「でもさ、何で翔輝こんなに園児に気に入られてんのよ?あんた根っからのいじめっ子なのに」
「誰がいじめっ子だ。最初は当然怖がられたけどさ、何回か来る内に慣れてきたみたいで今では結構な人気者になってしまったというわけだ」
「まぁ翔輝さん昔から面倒見はいいですからね」
「誰かさんのせいで鍛えられたからな」
「う゛、封印していた過去が・・・」
「ゆ、譲葉、どうしたの?」
「昔はこいつ泣き虫で俺にベッタリだったからある意味鍛えられたんだよ」
「だ、誰がベッタリですか誰が!?」
「あぁ、成程ね」「成程」
「二人で納得しないでください!」
と、とにかく。これでとりあえず謎(?)は解けましたね。
要するに、翔輝さんは依頼でここの手助けをしていたと。でも内容が内容だったので、私達にからかわれるとふんで黙っていたと。
かなり簡潔、と言うか大雑把なまとめになってしまいましたが、まぁ間違ってはいないのでいいでしょう。
その後、結局私達三人は翔輝さんの手助けをして、全ての仕事を終えてから少し町をブラブラしてから小屋に帰りました。
はぁ、子供の相手って疲れますね、もう二度とゴメンです・・・。
ふあぁ・・・。おやすみなさい・・・。
昨日、24日(アメリカ基準)は、自分がこのサイトで小説を書くようになってちょうど1周年!皆様こんな小説を読んでくださって本当にありがとうございます!
これからも頑張りますので、よろしくお願いします~!