第45話 レッツクッキング!
お久しぶりです;
明日の単元は科学と体育なので、比較的楽なので頑張って書いてみました。取り合えず明日と明後日で期末も終わりなので少しペースを取り戻せると思います
「今日の放課後ちょっと買物に付き合ってくれませんか?」
唐突に譲葉がそう言った。あ、ちなみに俺は翔輝な。
今日は冬休みが終わって少し経った金曜日。とうとう学校が始まってしまった。
そんな相変わらずだるいある日の質問だった。
「放課後?別にいいけど何だ?」
「いえ、ちょっと見てみたい本がありまして」
「へ~」
「何々?何の話?僕にも教えて~!」
「ウル~。授業中に私語は禁止~」
「僕だけ!?翔輝とか譲葉だって話してたよ!」
「授業の邪魔しなければ何してもいいの。ウルは授業妨害したから注意したの」
「先生そう言うの気にしないからじゃん!」
「や、何となくあんたが話してると注意したくなるのよ」
「差別だ~!」
そんな感じでウルを注意してるのが我らが先生のラピン先生。
うさぎの獣人らしく、目が真っ赤で頭から白いうさぎの耳が生えている。何故か黒髪(本人曰く黒うさぎと白うさぎのハーフ)。
性格は何と言うか・・・いい加減?今みたいに気まぐれで人注意したりするし、何か自分に被害が及ばなければ基本的に生徒が何してようと関係ないって感じだからな。
「で、結局何なの?」
ウルと先生が口論を続けている隙を狙ってエミーが俺の横にやってきた。先生気付けよ・・・。
「ん、放課後譲葉の買物に付き合えって」
「ふ~ん、じゃああたしも行くわ」
「何で?」
「文句ある?」
「別に文句はないがちょっと気になる」
「気分よ気分。いいじゃん、友達付き合いも大切にしなさい」
「へいへい・・・」
---と言うわけで放課後。
「ウルは?」
「先生に怒られるために職員室です」
「そんな悪いことだった?」
「あの後先生に色々反抗したからちょっと適当に色々言われるみたいです」
「・・・何となく納得」
「それで?行きたいとこってどこだ?」
「あぁ、本屋さんです」
「本屋?何でまた?」
「いえ、ちょっと料理の本を探しに「やめとけ」言い切る前に止めないでください」
「何、譲葉料理苦手なの?」
「こないだウルの小屋が火事になりかけた、と言うかなった」
「嘘よ、だって譲葉頭いいじゃない」
「否定したい気持ちは分かるがな・・・」
「・・・ホントに?」
「ホント」
「ちょっと、何気に失礼なこと言ってませんか?」
「何気にも何も・・・もろ失礼なこと言ってるけど」
「そんな事を正直に告白してもらってもうれしくありません」
そんな会話を続けつつ、場所はあっという間に本屋の中。
「で、何で急に料理なんだ?」
「え、だって学食高いじゃないですか。だからお弁当でも作っていこうかと思いまして」
「んなもん言ってくれれば作ってやったのに」
「翔輝さんに何かを頼むなんて出来るわけ無いでしょう?」
「言うと思ったよ。でもお前出来るのか?」
「馬鹿にしないでください。あれです、説明書さえあれば簡単にできますよ」
「レシピな」「レシピでしょ?」
「・・・レピシです」
「いや、だからレ・シ・ピ」
「・・・レ・シ・ピ?」
「よろしい」
「・・・屈辱です」
そう言いながらも譲葉はちゃっかり初心者用の料理の本を手にとって、それをレジに持っていった。
エミーは何か漫画を買ったらしい。タイトルは「TWO PEACE」。・・・どっかで聞いたようなタイトルだな。考える事はどこの人も同じか。
で、またまた場所は変わってエミーの家。
「おい、ホントに大丈夫か?冗談抜きでやばいぞ?」
「大丈夫よ、一応私達で見張ってるから」
「まぁそれなら被害は最小限に食い止められると思うが・・・」
「心配しすぎよ、大丈夫でしょ多分」
「さり気なく多分とか言わないでくれ、洒落になってない・・・」
そうこうしてる内に譲葉が三角巾、エプロンを装着した。片手には先ほど購入した本。
そして譲葉が纏っている空気・・・。これから戦争に行くかのような殺伐とした空気を纏っている。
「で、結局何作るんだ?」
「今日の試作品はカレーですね」
「・・・」
「・・・」
「・・・え、何ですか?」
「カレーなんて料理の本に書いてあったか?」
「・・・え?無いんですか?」
「・・・探したのか?」
「・・・」
そう言って必死で料理の本をぺらぺらめくり始める譲葉。そして読み終わると信じられなかったのかもう一度最初から読み直す。それを何度か繰り返した後。
「・・・作戦変更です」
「無かったんだな。そりゃそうだ、カレー作れない奴なんていないからな」
「う、うるさいです!とにかく変更!お好み焼き作ります!」
「何故に数ある料理の中からお好み焼きをチョイス?」
「とにかく!作ります!」
「・・・はぁ」
と言うかそれ以前にお好み焼きの作り方はその本に書いてあったのか?変わってんなその本。
「まずは・・・小麦粉?を水で・・・」
「いやもうお前素買ってこい」
「素?お好み焼きの素なんてあるんですか?」
「・・・もう諦めろお前」
「え?え?」
「想像以上に酷いわね・・・」
「大体お好み焼きを弁当に持ってく気かお前?」
「・・・予定変更です」
「さて三回目だ。次は?」
「・・・あ、これなんかいいじゃないですか?『レンコンの甘辛ハンバーグ』」
「お前作れんのか?」
「・・・つ、作れますよぉ・・・」
「その沈黙は何?」
「お前もう少ししっかりしてくれ頼むから」
「・・・と、とにかく!まずはレンコンですね、エミーさんありますか?」
「まぁ一応あるはずだけど。他に何かあるなら今言ってくれる?」
「あ、はい。えっと、ひき肉、たまねぎ、卵、しょうがですね。あとは調味料なのでそれはこの辺で探します」
「お前ホントに大丈夫か?」
「だ、大丈夫ですよ、多分」
「・・・」
もう前途多難とか言うレベルじゃないな・・・。
少し待ってエミーが食材持って帰ってきた。
「えっと、まずはレンコンを5ミリに切る・・・」
まぁ譲葉は基本的ら器用だから一応レシピがあれば問題ないと思うが・・・。
と何とか言ってる間に譲葉は定規を取り出して・・・って待て待て。
「お前何やってんだ?」
「何って・・・5ミリに切ってるんですけど」
「いや、何でわざわざ定規で?」
「だって、今まで失敗しっぱなしだったからちゃんとやろうと・・・」
「んな完璧にやらんでも・・・」
「いいんです、完璧にやるって事はつまり失敗が無いってことなんですから」
「そりゃそうかもしれないけど・・・」
「とにかく黙って見ててください!」
「・・・」
確かにあんだけ完璧にやろうとしてれば失敗も早々起きないか。
そう結論をつけてとりあえず譲葉の好きにやらせる。レンコンを切り終えると、今度はたまねぎを切り始めた。
「・・・うっ・・・!」
まぁ予想通りと言うか何と言うか、たまねぎを切り始めて数分で涙をボロボロ流し始めた。が、それの理由を料理知識皆無の譲葉が知っているはずも無く、
「な、何ですかこれ!?テロリストの新作催涙兵器ですか?」
テロリストも随分過程的な野菜から兵器を作るんだな。
とまぁそんな具合に色々言いながらも無事にたまねぎを切り終え、それを電子レンジにかける。
きっかり1分半待ってから取り出してそれを冷まし、その間にパン粉をボールに入れて牛乳・卵を加えて混ぜる。
さらにそれに今のためねぎを混ぜ、ひき肉、しょうが、塩、こしょうを加えてしっかりと混ぜる。
「何ですかこれ、ヘドロ?」
「仮にも自分が食べるものに何てこと言うんだお前は」
「だってグチョグチョですよこれ?」
「それでいいんだよ、むしろそうならなかったら失敗してんだ」
「・・・って事はここまでは成功してるってことですか?」
「そう言うことだ」
「・・・えへへ♪」
譲葉はそうと分かると微笑んでまた混ぜ始めた。初めて自分が料理を作ってる事を実感できて嬉しいのだろうか?
さて、あんを作り終えた譲葉は今度はレンコンに片栗粉を薄く振り掛け、レンコンで挟み込む。譲葉はそれを10個ほど作り、とりあえず横に避けておく。
最後に作るのは焼きダレ。これは単純に砂糖大さじ2、醤油大さじ2、酒大さじ1、みりん大さじ1、水大さじ2、最後に油を適量入れて混ぜれば完成だ。なのだが・・・。
「・・・翔輝さん」
「ん?」
「適量ってどれくらい入れればいいんですかね?」
「・・・適量」
「めんどくさいですね、『適量』とか『何でもいい』とかそう言うのが一番困るんですよね・・・」
・・・いや、俺に言われても。
そう文句を言いながらも何とか焼きダレを完成した譲葉は、それと一緒に先ほどのレンコンサンドを油を引いたフライパンで焼き始める。すると急にやる事がなくなって暇になったのか、さっきまで使っていた食器などを片付け始める。
「待った、お前はレンコン見てろ。片付けは俺がやるから」
「そんなのダメです、私がやらないと」
「お前のことだから片付けてる間にあれ焦がすのがオチだ」
「・・・反論できない自分が不甲斐ないです」
「分かったら大人しく見てろ」
「・・・」
譲葉は渋々と言った感じでレンコンサンドが焼きあがる様子を見守っていた。
数分後、いい匂いが漂ってきたそれらを皿に移し出来上がり。譲葉が始めて無事に作りきった料理だ。
「・・・で、出来た・・・」
「お疲れ、譲葉。なんだ、意外と出来るじゃない」
「俺もまさか最後までトラブル無しにできるとは思ってなかったな」
「・・・私が・・・自分で料理を・・・」
「・・・お疲れさん」
「・・・翔輝さん、どうぞ」
「ん、いただきます」
俺は机の上に置かれた皿から一つを端で掴み、口に運ぶ。その瞬間、異変に気付いた。
・・・譲葉の奴、焼きダレに砂糖じゃなくて小麦粉入れやがったな?しかもこれ醤油じゃなくて味ポンじゃ・・・?
何か想像してた味とかなり違った(って言うかぶっちゃけ結構まずい)のだが、譲葉のこの感動を台無しにするのもなんだしな・・・。
「・・・ん、まぁまぁいける」
「ほ、ホントですか?」
「まぁまだちょっと変な味はするけど今までに比べたら全然うまいだろ」
「どれどれ、あたしも一口」
エミーもそう言って一つを口の中に放り込んだ。
しばらく吟味してから、俺の方をチラッと見てクスリと苦笑する。そして譲葉の方を向き、
「うん、確かにちょっと想像してた味とは違うけど結構いけるわよ?」
俺の意図を理解してくれたのか譲葉にそう言った。
「よ、よかったぁ・・・」
「譲葉、これ全部食っていいのか?」
「も、勿論です!私の分も食べてもらって構いませんよ!?」
「お、マジか?じゃあいただき~」
今度譲葉にちゃんと調味料確認するように言っておくか。
それにしても、嬉しそうな顔しやがって・・・。料理作れたのがそんなに嬉しいか。
「えへへ・・・。翔輝さん、初めて私の料理おいしいって言ってくれましたね」
その笑顔に一瞬だけドキッとしてしまったのは秘密だかんな?他言無用だぞお前ら。
「・・・あのさ、皆少しくらい僕を待ってくれてもいいんじゃない?」
授業中に見つかるように話すからだ
「でもさ、翔輝と譲葉だって喋ってたじゃん。何で僕だけ?」
決定的な違い教えてやろうか?
「?」
見つかるか見つからないか
「・・・それはそうかもしれないけどさ」
だからある意味見つからなければクラス中に音楽聞いててもいいんだぞ?
「・・・それはどうなの?」