第37話 幽霊の事情
今回ありえない長さになりました。何と5000文字越えです;
いや、そろそろクリスマスじゃないですか?だからそれに合わせてクリスマス関連の話をしようと思ってるのでこの依頼編を終わらせたくて1話にまとめたらこんな長さになっちゃいました
ついでにここで自分の逃げ道絶っときます。え~、明日明後日明々後日、つまりクリスマス当日までは毎日更新します。えぇやってやりますとも!あ、ちなみに全部クリスマス関連なので戦闘なんかは全くありませんがご了承ください♪
えと、初めまして、エミーです。今回初めてのあたし視点なので若干緊張してます。
前回バカ翔輝が幽霊退治の依頼を受けたので、しょうがないからあたしが手助けするために今から学校に向かうところです。
いやね、譲葉もウルもいるから大丈夫なんだろうけど・・・さ?その・・・ひ、暇だったし手伝ってあげようと思って・・・。
べ、別に寂しいとかそう言うわけじゃないのよ!?違うからね!?決してそう言うことではないからね!?
ってあたし何必死になって色々言ってんだろ?まぁいいや。
とまぁそう言う理由で今学校に向かおうと思ったんだけど・・・。
「やばっ、そういえばあたしみんなが何時に学校に来るのか知らない・・・」
今が8時でしょ?ん~、こないだあたしが見たのが10時辺りだったから、ちょっと早めに行くとして9時半くらいに出発でいいかな?
・・・ってあれ、ちょっと!あたし視点ここだけ?ちょっ、まっ・・・!
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ど~も、翔輝だ。え~っと、現在時刻は11時半。まぁ幽霊なら当然真夜中だろって事で、ここから学校到着まで30分はかかるから今から小屋出て学校着くころにはちょうど12時。完璧♪
「お~い、そろそろ出るぞ?準備いいか?」
「準備はいいですけど何でわざわざこんな時間に行くんですか?こんなの昼間行けばよかったんじゃないですか?」
「譲葉、怖いのは分かるけど昼に幽霊が出るわけないでしょ?」
「こ、怖いわけじゃありません!ただこういうめんどくさいのは早いうちに終わらせてしまおうと・・・!」
「分かった分かった。どうでもいいからとっとと行くぞ。間に合わなくなるだろ」
「何に?」
「真夜中に」
「何でそこにこだわるんですか?」
「だってほら、肝試しっつったら真夜中が基本だろ?」
「翔輝、これはあくまで学校の依頼だって事を忘れないようにね?」
「でもモチベーションは上がらねぇな、マリーの奴も試練にはならないって言ってたし・・・」
「そりゃこんなしょぼい依頼じゃ試練になるわけないでしょ?ゴチャゴチャ言ってないでさっさと行くわよ?」
と言うわけで出発です。
とりあえず依頼内容を適当に説明しておくとだな、数週間前学校の窓に何か白い人影を町の住人が発見した。
翌日、その噂を早々に聞いた生徒数人が幽霊を目撃。そのさらに二日後、残業していた職員二人も目撃した。
そして二週間前、学校に忘れ物を取りに侵入したエミーが幽霊を発見、ついでに話しかけられたらしい。その後速攻逃げたらしいが・・・。
まぁそんな感じで結構な目撃者がいるから確かな情報だろうと言う事で幽霊退治の依頼が先週からあったのだが、皆意外と怖がって誰も受けなかったらしい。
とりあえずはこんなとこだ。あとは知っての通り、入学してきた俺達がその依頼を受けて今に至ると言うわけだ。
さて、と言うわけで学校到着です。って何か校門に猫耳みたいのと尻尾生やした人影が。あれって・・・。
「あれ、エミーさん?」
「・・・ぁ、翔~輝~!」
おぉ、やっぱエミーだったか。って・・・。
「なぁにやってたのよぉ~!」
「げふっ!?」
俺に気付いて多分3秒もしないうちに腹に物凄い強烈なストレートを喰らった。って言うかもうほとんどボディブローだろこの威力。
って冷静に状況説明してる場合じゃねぇな・・・。
「何しやがんだコノヤロー!?」
「あんたは何してたのよ!?今何時だと思ってんの!?」
「普通に真夜中だろ?」
「何で真夜中に来てんのよ!?」
「真夜中に幽霊退治で何が悪い!?譲葉みたいに昼の来いってか!?」
「誰も昼に来いとは言ってないでしょ!?昼じゃなくたってもうちょっと前に来てくれたっていいでしょ!?」
「って言うかそもそもお前は何やってんだここで?」
「う゛っ、それは、その・・・」
「もしかして寂しかったんですか?」
「・・・!ち、違うわよ!?そう言うんじゃなくて、その、暇だったから、そう、暇だったから来てあげたのよ!」
「そ、そうですか?そ、そんなに必死に否定しなくても・・・」
「で、ホント何しに来たんだお前?ついでに何時からここにいた?」
「ん・・・じゅ、10時くらい・・・」
「バカだろお前」
「う、うるさぁい!!!手伝いに来てあげたんだから感謝しなさい!」
「手伝いに?お前バカバカしいとか言ってなかったか?」
「き、気が変わったの!」
「分かった分かった、分かったからちょっと黙れ俺がうるさいし近所迷惑だ」
「あ、それは普通にゴメン近所の皆さん」
「俺には当然のように詫びないのか」
「詫びるわけないでしょ?」
「だろうね。まぁとりあえず俺達が心配になって来てくれたと」
「か、勘違いしないで!心配してきたんじゃなくて暇だから来ただけなんだからね!?」
「はいはい、だから怒鳴るなって・・・」
まぁと言うわけで俺、譲葉、ミラの三人に何故かエミーが加わり、俺達は幽霊退治に繰り出すのであった・・・。
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さて、学校に入った直後の会話からどうぞ。
「・・・初めまして?」
「えぇ、初めまして」
「あんたがウルの言ってた夜の人格?」
「まぁね。で、あなたがウルの言ってたツンデレの子?」
「はい?ツンデレ?あ、あたしが?」
「さっきの会話からしても間違いないと思うけど」
「まぁあながち間違ってはいないけどデレは無いわよ?」
「それは何?ツンになるの?」
「それでいいわ。で、あんたはヴァンパイアなんだっけ?」
「そうよ、とりあえずあんまり会う事ないと思うけどこれからよろしくね」
「こちらこそ」
「挨拶終わったか?」
「たった今ね。どう、何かいた?」
「なんも。エミー、お前幽霊どこで見たんだ?」
「あたしが見たのは教室の前の通路よ。でも最初の人はステンドグラスの下の窓の近くにいるのを見たし、先生は職員室の前。要するにどこにでも出るのよ」
「って事は手分けして探したほうがよさそうだな」
「ててててて手分け!?」
「今何回『て』言った?」
「って言うか譲葉さっきから無口すぎ。ビビリすぎよ」
「び、ビビってません!ただあれです、夜の学校も新鮮だな~って!」
「これが学校に見えるのかお前は。スゲーな、俺には呪われた神殿か何かに見えるぞ」
「そう言うこと言わないでください!」
「ビビってないんじゃなかったのか?」
「ビビってないですよ」
「じゃあ何で呪われた神殿とか言っちゃダメなんだ?」
「それは・・・あれですよ、何かあったときビックリしちゃうじゃないですか」
「幽霊が出る以上にびっくりすることって何だ?」
「あ、あれですよ、翔輝さんの首がいきなり吹き飛ぶとか・・・」
「お前はそう言う物理的なのより精神的なののほうが苦手だろ。○影機という名前のカメラを使う数字がタイトルの某ホラーゲームみたいな「それの話題を出さないでええぇぇ!!!」おぉ、相当なトラウマみたいだな」
「と、とにかく幽霊を探してとっとと帰りましょう!」
「はいはい。じゃあとりあえず、分かれるぞ」
「や、やっぱり分かれるんですか・・・?」
「だってその方が効率いいし」
「で、でも危険じゃないですか?」
「うるせ~な~・・・。じゃあ二人一組でいいだろ?」
「そ、それなら構いませんが・・・」
「じゃあ組む奴らはお前が選べ、めんどくさいから」
「あ、じゃあ翔輝さんと私で」
「決断速っ」
「そんなに翔輝と一緒に行きたいわけ?もしかして譲葉・・・」
「ち、違いますよ!?そう言うんじゃなくて、ただ単に翔輝さんと一緒なら翔輝さんを盾にして逃げられるから・・・!」
「オイ」
「まぁいいわ、じゃああたしたちはあっち行くから---」
「私達はそっちに行きますね」
「いやそれじゃ二手に分かれる意味がないじゃない」
「いいじゃないですか、皆仲良く行けば」
「お前話の流れぶった切り過ぎだ」
「と、とにかく!行きましょうよ!」
「あれ、これって結局そうなる流れ?」
「そうらしいわね、まぁ譲葉と一緒にいるんだからこうなると思ったけど・・・」
「譲葉っていつもこうなの?」
「まぁ俺達の世界にいたときからこうだ、こいつは」
「ほら、早く行きましょうよ!あ、翔輝さんは常時私のそばにいてくださいね?」
「盾にできるからか?」
「当然でしょう?」
「即答だな」
まぁ何でもいいや、とにかく幽霊探し開始です。
『・・・あの~・・・』
・・・あれ、早くも発見か?
「あれ、あんたはいつぞやの」
『・・・あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!』
何だこの・・・エルフ?の幽霊、ミラの顔見て断末魔のようを叫びを上げた。
・・・あれ、俺こいつに会ったことあるな、いつだっけ?
「・・・ちょっと翔輝」
「ん?」
「譲葉」
「・・・あ~」
すげぇ、譲葉がこの世の終わりみたいな顔してる。久々に見たな~、こいつのこの顔。
最後にこの顔見たのは・・・あのゲームやったとき以来か。何だかんだ言って最後までやるこいつは律儀?だよなぁ・・・。
「い・・・」
「い?」
「いやあああぁぁぁ!!!」
「ぐえっ!?」
いきなり腹に正拳突きを喰らった。正直さっきのエミーのボディブローより効いた・・・。
と思ったら直後に力一杯抱きつかれた。何この飴と鞭?それともあれか、エミーとは一味違ったツンデレか?
「・・・何がしたいんだお前は?」
「その場の勢いで行動してます」
「意外と冷静だな?」
「こっちの世界に着てからいろんなことがありましたからね。一瞬驚いても昔よりは多少れいしぇいに対処できます」
「れいしぇいに?」
「・・・噛みました」
「結局最終的に分かりやすく動揺してんのな」
まぁでも昔よりは確かにマシか。あっちの世界であのゲームやった時は三途の川を見たからなぁ・・・。
「で、何でこの間私を脅かした幽霊さんがここにいるんですか?」
「ん?・・・あぁ、そう言えば・・・」
なるほど、だから見覚えあったんだな。
ん~、あの人悪い人じゃないはずだから説得すれば普通に帰ってくれないかな?
・・・試してみるか。
「あの~・・・」
『あぁ、はい?あれ、あなたは・・・』
「どうもです。こないだミラのいたずらに使われてた幽霊だよな?」
『あなたは・・・顔が真っ黒だった方ですか?』
・・・そう言えば俺はそんな状態だったな。
「まぁそん時の話はどうでもいいとして、何でここにいるんだ?」
『それは・・・その・・・』
「・・・ゴメン、ちょっといいかしら?」
「ん?何だよ」
「あたしが見た幽霊って女の子の霊だったんだけど・・・」
『!ホントかい!?』
「きゃっ!?」
『あ、あぁ、ゴメン・・・』
「ど、どうかしましたか?」
『じ、実は・・・』
と言うわけでここからはちょっと長い話が続いたので俺の要約でお楽しみください。
まぁ要するにこの人(生前は18歳らしい)が死んだのはつい2ヶ月前程らしい。で、この人には生前恋人がいて、その人と一緒になんやかんやで死んでしまったと。
そんでもって霊になったらあら不思議、彼のそばに彼女はおらず、この人はこの人であの森で迷子になっているところをミラに拉致られ、解放されたところからウロウロさまよっていると学校に着きそこで彼女を探していた、と。
それでさまよってる間に会った人に彼女のことを知らないかと聞いて回っていたが、皆話を聞く前に怖がって逃げてしまったので行方が分からなかったから今エミーが女の霊を見たという言葉に反応したわけなんだと。
・・・こんなもんか。
『それで、その女の子の霊というのはどこで・・・?』
「あたし達の教室の前の通路よ。教室番号は107号室よ」
『え、107号室・・・?』
「その教室がどうかしたのか?」
『いえ、ただ・・・その教室、僕とリサが初めて会った場所だから・・・』
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「え~っと・・・お、いたいた」
『・・・リサ?』
『あ・・・ライアン・・・!』
間違い無いっぽいな。二人はお互いの姿を確認するなり走り寄って相手を力の限り抱きしめた。
「恋人で間違いないか?」
『はい!ありがとうございます!』
「別に大したことしてないだろ?まぁとりあえずこれで一件落着だな」
「お二人はこれからどうなさるんですか?」
『とりあえずはもうちょっとこっちの世界を満喫して成仏、ですかね?』
「そうですか。あちらでもおしあわしぇに」
「おしあわしぇ?」
「・・・噛みました」
「結局最後まで慣れないと・・・」
「う、うるさいです!」
『本当にありがとうございます、それでは』
「達者でな~・・・」
二人は最後に俺達に一礼し、二つの小さな人魂になってやがて姿を消した。
「・・・いい話ですね・・・」
「ホンとにね~。あ~あ、あたしもあんな恋したいわ~」
「確かにそうだけどさ・・・」
「・・・ん?どうかしたか?」
「・・・身近にいる男子がこいつだけって・・・はぁ」
「失礼だなコノヤロー」
「まぁ何はともあれ終わりです。帰りましょう」
何か極めて心外だがとりあえず依頼は完遂したので、ついでに眠いので譲葉に黙って賛成する。
時計を見ると時間は午前1時を回っていたのでエミーを家まで送り届け、俺達も家に戻る。よし、明日は堂々と寝れるな。もちろん授業中に。
~後日談~
「ほら譲葉、森に例の葉っぱ取りに行くわよ?」
「い・き・ま・せ・ん!行くなら翔輝さんを連れてってください!」
「ワガママ言わないの。こないだの依頼で慣れたでしょ?」
「慣れません。全然慣れません」
「あの時は結構大丈夫そうだったじゃないの」
「あの幽霊さんたちは優しそうだったから大丈夫だったんです」
「幽霊が全部有害って考え方はどうかと思うけど・・・」
「とにかく行きません!絶対に行きません!」
結局譲葉の恐怖症は治らなかったとさ。