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第3章 試練

第3部です。

ここから先は更新遅くなると思いますが、僕も学生なのでご容赦ください・・・。

「・・・な、なんだ、ここ?」

「さ、さぁ・・・」


空間に開いた穴から突然落とされ、次に目を開いたときにはもう二人は町の真ん中に突っ立っていた。

それにしても活気のある町である。人々はみんな笑顔で雑談していたり、店では店員が呼び込みをしていたり、とにかく騒がしい。

しかし、文章でこの町を表現するにはもう一つだけ重要なポイントがある。それは―――


「に、人間が一人もいない・・・」


そう、人間、というか二人と同じような外見の人物が一人も見当たらないのだ。

町行く人たちは皆耳がとがっているか動物の体の一部を持っているか、二つに一つだった。

右を見れば耳がとがっている金髪の少年がいて、左を見れば猫のような耳が頭についた女性が笑いながら話をしている。

おそらくこれが神の言っていた「獣人」やら「エルフ」なんだろうなぁ、と翔輝は心の中で呟いた。


「ん、君達、道の真ん中に突っ立ってどうかしたのかい?」

「きゃあああぁぁぁ!」


二人がその場で周りの風景に唖然としていると、犬のような容姿の男性が話しかけてきた。

本当に犬をそのまま立たせたような感じなのだが、腕はがっしりしているしても人間のよう五本の指がありそれぞれが独立して動いている。まさに獣人といった感じだ。

唖然としていたことと話しかけられた人物が獣のようだったことが重なり、譲葉はその男性を見るなり悲鳴を上げた。


「うわっ、どうしたんだい!?ゴメンよ、そんなに驚くとは思わなくって・・・」

「あ、こ、こちらこそごめんなさい!急に悲鳴を上げたりして・・・」

「いや、大丈夫だよ。それより、君達は何なんだい?」

「な、何って?」

「種族だよ、種族。見たところ獣人でもエルフでもないよね。魔物って感じも全然しないし・・・」

「しゅ、種族・・・?えっと、人間、やってます?」

「に、人間!?」


譲葉がそう言うと、犬男みたいな人は驚いたように吠えた。叫んだのではなく、吠えた。

すると周りにいた否人間(?)の人たちも翔輝達のほうを向き、驚愕の眼差しで二人を見ている。

その視線の意味が分からず困惑する二人に、先ほどの犬らしき人が説明する。


「そうか、君達は異世界(にんげんかい)から来たんだね」

「に、人間界?あ、はい、多分そうです。あの、何ですかこの反応?」

「この世界じゃ人間は英雄だという伝説があるんだよ。というか、単に魔物と並んで最強の種族と言われているだけだけどね」

「に、人間が最強の種族!?そんなまさか、だってあの神さん『人間はすべての種族に劣っています』って言ってましたよ?」

「そう、普通ならね。でもね、神様に何か能力をもらったろ?それが君達人間が最強の種族とされている要因だよ」

「え、えっと・・・話についていけないのですが・・・」

「そうだね、詳しく説明してあげるよ。僕はこの町の町長、テリアだ。立ち話もなんだから、とりあえず僕の家に招待するよ。着いておいで」


テリアはそう言うと二人を誘導して人混みを掻き分けて進んでいく。

二人は時折テリアが掻き分けた人々の中から感謝されたが、意味が分からずただ混乱するばかりだった。

やがてテリアは一つの建物の前で立ち止まった。そこがテリアの家なのだろう。

テリアは二人をリビングへ通し、茶菓子を用意してくれた。


「こんなものしか出せなくて悪いねぇ」

「いえ、十分です。こんなにしていただけて、十分感謝してます。ありがとうございます。」

「はっはっは、英雄様からお礼を言われるなんて、光栄だなぁ」

「それでテリアさん。説明してくれ。ここはいったいどこで、俺達は何なんだ?」

「・・・ここは君達が来た異世界とは違う次元にある世界、ムーさ」

「ム、ムー!?ムーって、あのムー大陸の!?」

「そうだね、僕も歴史でしか知らないけど、あの島は元々はこっちの世界にあったはずの島なんだ。でも、何らかの原因でそれが君達の世界に行ってしまい、慌てた神様は誤ってその大陸を海に沈めて消滅させてしまったらしい」

「こ、こっちの伝説とほとんどあってます。ただ、あの大陸が元々この世界のものだとは聞いていません」

「なるほど、じゃあその確率は高いというわけだ。と、まあそんなことが大昔に会った。つまり、君達がこの世界に来ることも可能だということは納得してもらえたかな?大陸だって移動しちゃうんだから、人の一人や二人移動するのは簡単さ」

「ま、まぁそれは分かりました」

「うん。でね、僕にも神様の真意は分からないけど、彼は時々君達の世界から人間を連れて来るんだよ。その際彼らには特別の能力が与えられ、とても普通の人には太刀打ちできないような力を得る。だから、この世界では人間は魔物に匹敵する強さを持つ種族とされているんだ」

「は、はぁ・・・。分かったような分からない様な・・・」

「まぁ急に全てを理解するのは無理さ。ゆっくり理解すればいい。さて、あとは人間が英雄と呼ばれる伝説さ。その昔、この世界を『鬼神』の軍団が襲った。その際、神様は人間をこちらの世界へ誘い、その人間はこの世界のために戦い、ついに鬼神を滅ぼした。世界は救われ、その人間は英雄と呼ばれた。以後、この世界では人間は英雄として尊敬されているんだよ。」

「な、なるほど・・・。あれ、って言うかその『鬼神』とやらは魔物じゃないんですか?」

「『鬼神』って言うのは分かりやすく言うと神様に敵対している種族って所かな?正確には『鬼』という種族があったんだよ、昔はね」

「え~っと・・・つまり人間は昔世界を救った英雄で、今でも『人間=英雄』という方程式が成り立ってるわけですか?」

「そんなところさ。大体分かったかい?」

「まぁ大事なポイントは理解しました。あと、一つ聞きたいんですけど」

「なんだい?」

「俺達が元の世界に戻る方法があるかどうか知ってます?」

「伝説には『人間はその後光に包まれ姿を消した』と記されているけど、それが君達の言う『元の世界に帰る』ということなのかは分からないよ。ごめんね」

「いえ、色々情報ありがとうござしました」

「あ、それからまだ話してないことがあったんだ」

「はい?」

「いつだったかなぁ・・・。神様が僕のところにやってきて、こう言ったんだよ。『もし将来この町に人間が訪れたら、彼らに試練を与えなさい』って」

「え・・・って事は俺達?」

「うん。まあ試練って言っても多分能力になれるための練習に近いと思うから軽い気持ちでやっていいよ。じゃあ説明するね」

「・・・拒否権は?」

「ないよ」

「・・・だと思ったよ。で、内容は?」

「この町に正門を出て3キロくらい行ったところに一軒家があるんだけど、そこには昔から魔物が住んでいるんだ。あ、魔物って言っても多分君達が想像してるようなのじゃないよ?普通の人間の格好をした女の子なんだけど、この辺りに住んでいる人たちの中で一番強い。その人に会えって言うのが試練だよ」

「え、会うだけですか?」

「その後の説明は彼女が知ってるはずだ。とりあえず行ってみてくれないか?正門はこの家を出て右に真っ直ぐ行ったところにあるから」

「・・・分かった。それ以外にやることもなさそうだし。」

「あ、危なくないですよね?その人って」

「あぁ、それは心配ないよ。彼女は魔物といっても怖い魔物じゃないから」

「そうですか、安心しました。それじゃ、ちょっと行ってきます」

「うん、気をつけてね」


というわけで、待ちの外にあるという魔物の家に行くことになった翔輝と譲葉。

テリアに挨拶をして二人は家を出る。もうさすがに騒ぎは収まっていて、数人に話しかけられたが軽く解釈して二人は正門へと向かう。


「どう思う?」

「この現実ですか?」

「あぁ、夢だと思うか?」

「そう思えたら楽なんですけどね・・・」

「お前もか・・・。とにかく、神の言葉を信じれば帰れるんだから、とりあえず死なないようにだけ気をつけて試練をクリアして行こう!」

「なんだか目的のハッキリしない旅ですねぇ・・・」

「大丈夫だよ、その内ハッキリするさ。多分」


こうして、翔輝と譲葉の元の世界へ帰るための前途多難な旅は始まったのである。

いかがでしたか?

楽しんでいただけたら光栄です。

これからも頑張りますので、末永く生暖かい目で見守ってやってください・・・。

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