第25章 試練1
というわけで今回が初の実戦ですね
やはり今まで通りよく分からないような表現があるかもしれませんが、その辺は甘く見てやってください
最初に動いたのは豚鼻盗賊団長。部下から巨大な斧を受け取る。数人の団員が必死に運んでいた斧を片手で軽々と運んだのを見ると、相当な怪力のようだ。
「・・・ブタ力」
「ブタ力って何だ!?」
「ブタでバカ力だからブタ力」
「あ、翔輝さんそれうまいですね」
「だろ?」
「・・・二人ともホントに戦う気ある?」
「わぁってるよ。こっからは真剣にやるさ、それなりに」
「それなりにって・・・」
「大丈夫です、翔輝さんがそういった時は真剣になりますよ。ほら・・・」
譲葉の言葉通り、翔輝の表情に少しだけ真剣さが現れた。そんな翔輝を見て譲葉は少しだけ微笑む。ウルはウルでなかなか見ることの出来ない翔輝の表情を好奇の目で見つめている。
「・・・かっこいい」
「確かにいつもの顔よりはマシですね」
「手っ厳し~・・・」
・・・なんだか吞気に会話しているが、お前らもやる気あるのか?
そんな感じに二人が会話をしていると、翔輝が目で何かを譲葉に伝えた。それに少し驚いたものの、譲葉は小さく頷いた。
「さて、それじゃあ翔輝さん。やりますか」
「おう、行くぞ。せ~・・・の!」
掛け声と共に翔輝と譲葉が走り出す。まずは正面にいる部下Aの腹を刀の柄で力一杯突いて吹き飛ばす。その勢いを保ったまま突進し、今度は鞘の部分を右側にいた部下Bの腹に叩き込む。
最初はいきなりのことで反応できずに棒立ちしていた部下その他だが、二人やられるまでには既に正気に戻って二人に襲い掛かる。
正面から襲い掛かってきた部下Cのコメカミに鞘を思い切りぶつけ、そのまま振り切り右側にいた部下Dの顔面にもついでに鞘を叩き込む。
その隙に後ろから襲い掛かってきた部下Eは譲葉が一瞬足止めし、それに気付いた翔輝が鞘の切っ先部分で部下Eの額を突く。
そんな二人の奮闘に驚きながらも冷静に判断した部下F,G,Hは三方向から囲んで一気に飛び掛る。翔輝はここでようやく抜刀し、左手に持っていた鞘を投げ捨てて能力で刀を持ち、二刀使ってそれらを一掃する。
正面から来た部下Gのわき腹を峰で勢い良く薙ぎ払い吹っ飛ばして右から迫っていた部下Fに当てる。同時に左から迫っていた部下Hも左の刀の腹で側頭部を殴りつけた。
「な、何だ今の!?」
「み、見たことないぞ!?」
「おい、もしかしてあいつら人間じゃないのか!?」
「ば、バカ言ってんじゃねぇよ!人間みたいな最強種族が俺達みたいな弱小盗賊団をわざわざ退治しに来るなんてあるわけないだろ!」
「で、でもあいつらそうじゃなかったら何の種族だ!?それに人間以外にあんな技使えるわけないだろ!?」
翔輝の能力を見て部下全員が動揺し始めた。これで翔輝が人間だと言ったらどうなるのか・・・。
「あぁ、翔輝は人間だよ?ついでに譲葉も」
『・・・勝てるわけねええぇぇぇ!!!逃げろおおぉぉ!!』
・・・こうなります。
翔輝と譲葉が人間だと知ったら洞窟にいた盗賊団員のほとんどが逃げ出した。いや、正確には逃げ出そうとした・・・。
「いでっ!?」
「うがっ!」
「ぎゃあ!」
逃げ出そうとする団員達が瞬く間に宙を待った。
翔輝と譲葉も何事かと入り口の方を向くと、半獣人化した手足を地面につけて不適に笑っているウルが目に入った。
「僕がいるのも忘れないでよ~」
「おぉ、お疲れウル」
「な、何だ今のは!?」
「い、一瞬で全員吹き飛んだぞ!?」
「待て、アイツ何の獣人だ?」
「犬・・・?いや、狼・・・!?」
「お、狼の獣人って、まさかアイツ魔闇レイ!?」
「バカ、んなわけないだろ!魔闇レイっつったらこの辺りじゃ最強の獣人もとい魔物だぞ!?そんな奴が俺達みたいな弱小盗賊団をわざわざ退治しに来るなんてあるわけないだろ!」
たちまち洞窟内に残った団員達もパニックに陥る。最後の奴のセリフなんかデジャブ・・・。
「あぁ、それ僕だよ」
『・・・可能性ゼロおおぉぉぉ!!!』
・・・うん、やっぱりデジャブだった。
今度はもう完全に団員全員は戦意喪失状態に陥り、洞窟の奥に逃げていった。
「・・・まさかお前らがそんな大物だったとはな・・・」
「おうよ、びびったか?」
「いや、最初から只者じゃないような気はしていた」
「聞いたか譲葉?俺達ブタ力のお墨付きだとよ」
「冗談かましてる場合ですか?」
「いいじゃん、久々にちょっと気合入れて疲れたんだよ」
「今の戦闘たったの5分もかかってないじゃないですか・・・」
「やっぱり翔輝は翔輝だったね・・・」
「・・・だから俺を放って話を進めるなぁ!大体ブタ力じゃないと何度も言ってるだろ!」
「知るか。俺達がブタ力だって言ったらお前はブタ力だ」
「死ねえぇ!!」
理不尽な言い様についにキレたのか、巨大な斧を振り回して三人に襲い掛かる。
さっきの部下達の必死振りを見ると相当な重さのはずなのだが、それを感じさせないほどのスピードで走ってきた。ブタが俊足ってどういう事?
そのありえないスピードのせいか、三人は反応が遅れて危うく斧を直接喰らうところだった。
とは言っても、譲葉もウルもその能力のおかげで簡単に避けられたので実際に危なかったのは翔輝だけなのだが。
「ブタのくせに俊足ってありか?」
それさっきもう言った。
「ありだ!」
「無しだろ」
「うるさい!」
「逆ギレだ」
「知ったことかああぁぁ!」
翔輝は何が楽しくて挑発しているのかは知らないが、ブタ力はなおもありえないスピードで翔輝を追い回す。
ちなみに譲葉とウルはものすごいスピードで洞窟の入り口付近に避難している。
「死ねええぇぇ!」
「それさっき聞いた。ついでに死なん」
翔輝はそう言うと盗賊団頭に向かって突進する。
盗賊団頭はそれを見て斧を横向きに構え、それを信じられないようなスピードで薙ぎ払う。
「かかったなボケブタ力!」
そう言うと翔輝は刀を自分の進路の目の前に地面に突き刺さった状態で出し、それに踏み台にして大きく跳躍、一気に盗賊団頭の背後に降り立つ。
そのまま盗賊団頭に反撃する暇を与えずに足を払い、転んだところで斧を持っている右手を足で踏みつけ、頭の真横に刀を突き刺す。
「動いたら死ぬぞ~」
「・・・そんな気の抜けた声で言われてもな・・・」
「でも分かってんだろ?」
「・・・まいった、完敗だ」
「ほい、お疲れ様~」
「まったく、ある意味屈辱だな・・・」
「で、どうする?盗賊やめるか?やめたら死なねぇぞ?」
「・・・分かった、解散しよう」
「物分りが良くて何よりだ」
その後盗賊団はその場で解散され、第一の試練は無事成功に終わった。
死者0名、軽傷者多数の限りなく平和的な結果となった。
ちなみにこの世界で言う警察に連行されたものはほんの数名しかいない。結局全員昔盗賊団頭に脅されて入っただけで実際は抜けたいと思っていた人物がほとんどで、結局本心から悪いことをしているものが数名しかいなかったからである。
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そして日もすっかり暮れて夜。洞窟で目覚めてご機嫌斜めなミラと共に三人は道を歩いている。
「それにしても、案外あっけなかったですね」
「って言うかあの盗賊団なんか悪い事でもしたんか?」
「さぁ?でも盗賊団って言うくらいなんだから悪い事したんじゃないの?」
「ん~・・・。でもあのブタ力悪い奴じゃないと思うんだけどな・・・」
「何を根拠にそんなこと言ってるのよ?」
「だってアイツ怪力だぞ?俺が手踏んだくらいなら普通に跳ね除けられただろ」
「・・・確かにそうですねぇ・・・。じゃあ何でやらなかったんでしょう?」
「そこまで知るか。盗賊やるの疲れたんじゃねぇの?」
「そんな理由ですかねぇ・・・?」
「まぁとにかく、第一の試練クリアだ」
「そうですね、とりあえず今はそれで良しとしましょう」
そんな会話をしながらついた家路だった。
う~ん・・・今回の終わり方いまいちですねぇ・・・
って言うか今回更新少し遅れてゴメンなさい。ホントは昨日も更新したかったんですが、遊んでるうちに遅くなってだるくなって止めちゃいました(コラ)
今後こんなことあまりない様に頑張りますのでこれからもよろしくお願いします