第13章 品のよい美形の青年?
新キャラです!変です。とことん変です。
って言うかそれ以上に今回それなりに長いです。とりあえずどうぞ。
「魔闇~、とっとと食ってくれよ。皿が片付かねぇだろ」
「・・・何でもいいけどさ、その『魔闇』っていうのやめて?何で急に距離を置こうとするの?」
「だから、そういうわけじゃないって何回も言ってるだろ?」
「そう感じる感じないは人によるでしょ?とにかくあたしはやめて欲しいの」
「んなこと言われたって、他にあだ名もないだろうに」
「だからいらないって言ってるでしょ?」
「お前は困らないだろうけど俺達は困るんだよ。特に作者が」
「そういうネタは止めてくださいって言ったはずですよ?バカ」
「誰がバカだコノヤロー」
「あら?私は一度も翔輝さんのことだとは言っていませんよ?もしかして自覚しているのですか?」
「・・・」
「あたしをほったらかして話を進めないでくれる?元々あたしのあだ名の話だったじゃないの、なんでいきなり翔輝がバカかどうかなんてどうでもいい話になっちゃったの?」
「譲葉に聞け」
「ぶっちゃけ話題がつまらなかったからです」
「あたしの扱い酷くない!?」
「俺よりはいいだろ?」
「・・・確かに」
「じゃあ話を戻すぞ。お前のあだ名の話だったよな?」
「そうよ」
「じゃあもうめんどくさいから『闇』でいいんじゃないか?」
「どれだけ安直よ?」
「レイも『英語で光だから』って理由があるだろ?」
「じゃぁあたしもそんな感じでいいよ」
「・・・ダーク?」
「・・・完全に悪役じゃないですか」
「いいんじゃない?吸血鬼ってどっちかといわれれば悪役でしょ?」
「って言うか昭和の悪役だぞ」
「翔輝さんは昭和生まれじゃないですよ」
「お前もな」
「ん~、でもさすがにダークは嫌ね」
「さっき『いいんじゃない?』とか言ってなかったか?」
「それはそれ、これはこれ。譲葉、何か考えてよ」
「え、私ですか?」
「だって翔輝じゃ変なのしか思いつかないんだもん」
「失礼なこと言うな」
「そうですねぇ・・・。『ミラ』なんていかがですか?」
「・・・何それ?何の変哲もない適当な名前にしか聞こえないんだけど」
「人間界の小説に登場した女吸血鬼『カーミラ』の『ミラ』です。苗字で呼ぶよりはいいと思いますけど・・・」
「・・・そうね、あたしはまぁまぁ気に入ったわ」
「光栄です。それではこれで決定でよろしいですか?」
「えぇ。あたしはこれからあんた達の間ではミラね」
「・・・あっさり決定したな・・・」
「譲葉のネーミングセンスなら楽勝でしょ」
「・・・こいつ、中2の頃近所の白い犬に―――」
「翔輝さん!それはダメ~!」
「え、何々?面白そう!教えて」
「翔輝さん!教えたら刻みますよ!?」
譲葉は必死にそう言って右の腿に手を伸ばす。
恐らくまたあそこにナイフを仕込んであるのだろう。
「え~、何で?聞かせてくれてもいいじゃないの」
「絶対ダメです!」
「・・・どんな名前をつけたらそんな血走った目で妨害しなきゃいけないわけ?」
「とにかく教えるのは絶対にNGです!」
「分かったわよ、そこまで言うんだったら触れないでおくわ」
「あ、ありがとうございます」
「そんなことよりミラ、何でもいいからとっとと食ってくれ」
「あぁ、忘れてた。・・・翔輝、これ冷たくなってる。新しいの作って」
「ふざけんな。どこまで図々しいんだお前は」
「大丈夫、翔輝は優しいからやってくれるわ」
「本人を前に言うことか、それ?」
「言わないと罪悪感をその人の中に生み出せないじゃない」
「安心しろ、元から微塵もない」
「知ってるよ。でもこれどうしようかな~、捨てるのも勿体無いし・・・」
「だから食えって言ってんだろ・・・」
そんな具合に翔輝が半ば諦めモードに入っていると、『トントンッ』という軽快な音がドアのほうから聞こえた。
「あら、誰かいらっしゃったみたいですよ?」
「ちゃんとノックしたわね。翔輝よりはマシな人かな?」
「どんな基準だ?って言うかいつの話だ、忘れろ」
譲葉が「そんなこともありましたね」とか何とか言っている間にミラがドアを開ける。
外に立っていたのは、金髪碧眼の青年だった。かなり美形で、背も高い。人間界にいたら俳優か何かになっていてもおかしくないような人物だった。
ただ忘れてはいけないのが、ここが人間界ではないということ。やはりその青年も人間ではないようだった。
「これはこれは、随分と綺麗な方のお出迎えとはありがたいですね」
「あら、おだてても何もでないわよ?」
「おだてたなんて人聞きの悪い。これは本心からの言葉です」
「そう?なら素直に受け取っておくわ、ありがと。それで、エルフさんがいったい何の用かしら?」
そう、その青年は非常に人間に酷似していたが、唯一違ったのが耳。人間のそれよりも耳がかなり尖っていてる。
というかぶっちゃけて言うと・・・
「・・・リ○ク?」
「・・・かなり似てますね。瓜二つです」
金髪碧眼、尖った耳、そして美形とくれば当然『ゼ○ダの伝説』のあのキャラクターが脳裏にかすかに浮かぶのは必然である。
これで服装が一緒なら一瞬だけだとしても本物を見ている気分になるだろう。
「やっぱりリ○クはエルフだったんだな」
「・・・いや、アレはエルフですけどリ○クじゃありませんよ?」
「初対面の人にアレ言うな」
「失敬、あのエルフの方です」
「素直でよろしい」
「とりあえず立ち話もなんだから中入れば?」
「よろしいんですか?私のような得体の知れない者を家に入れてしまって」
「大丈夫よ、あたしはヴァンパイアだしあの子達は人間だし」
「成程、それなら私程度の力ではどうしようもありませんね。では失礼して」
一応心の中で翔輝は「何とかなりそうだったらどうする気だったんだよ?」と突っ込みを入れておいた。
「それで改めて聞くけど、何の用かしら?」
「いえ、お恥ずかしい話なんですが、何か食べ物を恵んでいただければと思いまして・・・」
「あら?あなたもしかして道に迷ったの?」
「・・・えぇ、まぁ」
「まぁ確かにこの森は多少複雑だから無理もないか・・・。でもここ出て少し行けば町あるわよ?何だったらコウモリに送らせましょうか?」
「出来ればお願いしたいところですが、よろしいんでしょうか?」
「これくらい全然構わないわ。ご飯も一応あるわよ。食べ掛けだけどいい?」
「これだけしてもらって文句など言えません。ご好意感謝いたします」
そう言ってミラはさっきまで自分が食べていた料理をエルフの青年に差し出す。
翔輝が「・・・何気に鬼だな」と呟くと、ミラにコウモリ数匹に攻撃されたので謝って黙り込む。
青年は数分でそれを完食し、きちんと手を合わせて「ご馳走様」と呟いた。
「ありがとうございました。おかげで満腹です」
「そう、それは何よりだわ。」
「あ、それからもう一つお願いがあるんですが・・・」
「何?遠慮なく言ってくれていいわよ?」
「ありがとうございます」
そう言うとその青年はさっきまでのキリッとした顔をやめてなんとも気の抜けた顔になる。
体もさっきまではピシッと姿勢よく座っていたのだが、いきなりダラリと体の力を抜いたタコのようにぐったりする。
「あ、あの?どうかしましたか?」
「ん?あぁいや、ずっと慣れない敬語使ったもんでちっとばかし疲れちまっただけさ」
口調もすごいことになっている。さっきまでの『品のよい美形の青年』というイメージに亀裂が入る。
「まぁ確かにあんなにかしこまられるとこっちも肩がこるわ。お互い楽にしましょう」
「いい事言うね~、君。そうだ、でさっきのお願いって言うのなんだけど」
「そんな態度でまだ何かを頼む気か」と聞こえないように言ってから翔輝も青年の言葉に耳を向ける。
すると、彼は想像を絶する信じられない一言を言い放った。
「ヴァンパイアの君かそこの黒髪美人の子、二人とも俺の子産んでくれない?」
三人の『品のよい美形の青年』というイメージは亀裂が広がって、やがて粉々に砕け散った。
はい、勝手にレイのあだ名決めちゃいました^^
まぁいいですよね?
それから前書きの通り新キャラも出ました。・・・が、
・・・何だアイツ?^^;
とにかく次回に続きます。多分明日更新できると思うのでお楽しみに!