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ショートショート12月~2回目

オーパーツたる一品

作者: たかさば
掲載日:2021/12/17

 …ヤバイ、金がない。

 ツレと一緒にカラオケに行く約束をしたが財布の中が空っぽだ。

 待ち合わせまであと10分、今更キャンセルもできない。


 …そうだ、父親の金を借りていこう。


 ガサツな父親は自分の机の中に何でもかんでも詰め込む癖がある。

 千円札や小銭なんかも一番上の引き出しに突っ込んでいるから…もらっていってもバレないはず。


 がさ、がさ…。


 引き出しを漁って五百円玉を三枚見つけた。

 …もうちょっと欲しいな、そんなことを思いつつ奥の方に手を伸ばすと…高そうな小箱を見つけた。


 もしかしてへそくりかも、そんなことを思ってふたを開けると…ペンダント?

 ロケットになっているみたいだ、写真でも入っているのか?


 手に取って、見てみると。


 父親と…見ず知らずの、美しい、女性。

 ずいぶん、親密そうな、写真だ。


 見てはいけないものを見てしまったと…心が、冷えた。


 カラオケに行き、ツレと大声を張り上げてみたけれど。

 なんとなく心がもやもやとして…ノレなかった。


 俺はなんだかんだ…仲のいい両親が、自慢だった。


 あのロケットの女は、どう見ても母親じゃなかった。

 おしどり夫婦のふりをして、女の写真を隠し持っている父ちゃんが…許せなかった。


「父ちゃん、…話、あんだけど」

「おお?なんだ珍しいな!」


 その晩、母親が風呂に入ったタイミングで、父親に詰め寄った。

 母親を悲しませるようなものは、即刻処分するべきだ。


「これ…なんなんだよ」


 父親に小箱を差し出す。


「ちょ…おまっ!これ、どこでっ?!」

「机ン中」


 慌てふためく父親を見て、怒りが増していく。


「そ、それはしまっとけ、でないと…」

「何言ってんだよ!こんなの…捨てろよ!!」


 俺が声を荒げた、その時!


「なーに―?喧嘩?珍しー!」


 烏の行水の母親が…もう出てきた!まずい!


 …コロンっ!!


 慌てた俺は、手を滑らせて小箱を放り出してしまった!


「ヤダー!!どこにあったの、これ!」

「父ちゃんの机の中に…」


 もう隠せない…家庭崩壊は、間もなく…。


「懐かしー!これあたしと父ちゃんだよ!」

「はあ?!」


「母ちゃんはな!中学までは可憐な美少女だったんだよ!それが…こんなんなっちまって!体重なんか…三倍だぞ!」

「こんなんって何よ!ただの幸せ太りじゃないの!父ちゃんなんか中学の時からずっと同じ顔のくせに!老け顔!」


 何やら大喧嘩を始めてしまった両親を見た俺は。


 ペンダントが実に現代にそぐわない一品であるという事を、しみじみ感じたのであった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 笑えるんだけれども、笑えない。何とも言い難いモヤモヤ感がー (笑)
[一言] 老いたパーツが弛みと丸みなのは裕福な象徴です。そなたに唐辛子あれ…。 (た〜る…樽…サンダル。皮下脂肪がぁ!落ちない!)
[良い点] でぶーん! まさかのー [気になる点] カラオケで金払うのね。金ありますねい。金欠の私 [一言] んんー、ものすっごく失礼なのでは!?
2021/12/17 20:51 退会済み
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