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めおと湯けむり紀行2

作者: 奥嶋光

《奥日光湯元からの引湯》


11月半ばになり肌寒い季節になった、私は温泉が恋しくなり妻とまた旅に出た。

私は仕事の疲れ、妻は家事の疲れ、各々の日々の蓄積した疲れを癒したかったのだ。

選んだ先は光徳温泉。行きたかったのは奥日光湯元温泉だったが、空いておらず以前から少し気になっていたホテルを選んだ。

自宅から愛車で向かった、到着するとそこは大きなホテルで一軒宿であった。

静かそうなとこだなと妻と話した、車から降りると寒かった。日光の奥地の寒さは私の住む街とは桁違いの寒さだった。

寒い寒い、荷物を取り出し急いでホテルに入る。ロビーは開放感が有る、広い。

長時間の運転と寒さで私の首肩背中腰はカチコチだった、さっさと温泉に入りたいからサクッとチェックイン。

中年のフロントスタッフはなまっていた、ほのぼのした余韻に浸りながら部屋に入るとすぐに温泉に直行した。

服を脱いで大浴場に入ると温泉の臭いが立ち込めていた、浴槽は真っ白だった。

急いでシャワーで体を清め真っ白なお湯に身を投じた。

ん〜 あったまるな、丁度いい湯加減。

これを感じたくて遥々やって来たんだ。私の体は徐々に解れていった、疲れが取れていくのが分かった。

内湯で十分にあったまった私は露天風呂に向かった、やはり外は寒い。露天風呂はエメラルドグリーンだった。

少しクールダウンした体で入った露天風呂は熱かった、しかし神秘的な色だと思った。

露天風呂に入りながら空を見上げると秋晴れだった。道中東照宮の辺りは紅葉が綺麗だったが、この日光の奥地は木々の葉っぱは完全に散っていた。ここは秋というより冬の手前なんだと感じた。

そんな寂しい木々に数匹野鳥が停まってピーピー鳴いていた、温泉で完全にリラックスしている私は鳥が季節の移ろいを惜しんでいるのではと感じた。

森の木々は芽吹き新緑となり深く色を落ち着かせていく、最後にはド派手な花火のように紅葉し散っていく。

そうして今露天風呂を囲う木々は幹と枝だけの寂しいものだ。鳥はこれから来る厳しい冬を憂うかのように共鳴しているのだと思った。


【秋深し 森の祭り後 寂し鳥】


私の頭の中にそんな一句が浮かんだ。

暑くなって汗が出てきたので部屋に戻りビールで喉の渇きを潤した。

夕飯は普通だった。やはり日光、湯葉が出た。日光の地酒を飲もうと純米酒の生酒を頼んだ。

飲むと酸っぱく感じ濁っていた、白ワインのような味だった。私の望んでいた味では無い。

私はスタッフを呼び、これは温度管理が悪いのでは?味がおかしいですよと指摘し違う酒に頼み直した。

妻は特典で付けてくれた梅酒を美味しそうに飲んでいた。ここの温泉が気に入ったようだった、2人で腹一杯食べて楽しい時間を過ごした。

部屋に戻るとしばしの休憩、その後温泉に入りに行った。お酒も飲んだので短時間で切り上げるつもりだ、露天風呂で体を温めながら空を見上げると今度は星が出ていた。

綺麗だ、温泉に入り満腹感とほろ酔いの中私は自分が今天国にいるんじゃないかと思えた。

最高の多幸感、これの為に日頃頑張って生きている。これさえ出来れば私には麻薬等の快楽など必要ない。

麻薬に手を出す気持ちが分からない、私にはこの健全な幸せが何よりなのだ。

そんな気持ちに包まれながら私達夫婦は早々と眠りに落ちた。

【夜中1時】私は目覚めた、喉が渇いていた。水道水の水がこの辺りの森林水らしい、蛇口から出た水は冷たかった。

美味い、潤った。気になって部屋の窓から空を眺めるとそこにはプラネタリウムのような光景が広がっていた。

やはり星空は深夜が1番だ、流れ星は見つけれなかったがどの星もキラキラと輝いていた。息を呑む、まるで甲子園で活躍している吉田輝星くんのようだった。

感動しながらまた一眠りした。

【翌朝】

朝起きて朝風呂浴びて朝飯食べて10時にチェックアウトした、帰りは買い物しながらさっさと帰路に着いた。

なお帰りの道中愛車が20万キロ走破した、その後地元に着くと愛車の20万キロ祝いで夜は妻と寿司に行った。


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― 新着の感想 ―
[一言] 露天風呂いいですね。 星を眺めながら入れると言うのが、またなんとも素晴らしい。
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