42 はにかまれたら、しゃーねぇ
「全くどうして、あんたらははにかむんだい?」
死神に老人は尋ねたのである。
「文法が間違ってるからさ」
「えっ?」
と老人は何を言ってるんやら、
さっぱりの陳腐感奮、
目の前に略奪騎士がいたら、
弱いものは搾取される、
若い男性は老人のものを奪おうとする」
という予想をする、
人ではどうしようもない
だが、人でないから、
死神ははにかむんだ。
「楽な人生でも、暗い人生でも、辛い人生でも、人から尊敬されなくても、影のような人生送っていても、僕ら死神は笑顔で迎える。」
そして、月を指差す。
戦いに明け暮れていた、
悩みに僻んでいた、
数字のために一喜一憂していた、
辞書を読んでも涙しか出なかった、
「今日ってのは、笑顔がいい日だ」
老人は、
死というものを怖がっていた、
暗く寒い処だと、
童話の中で死ぬ赤ずきんは、
どうして、過去のお祖母ちゃんを見て、
笑ったのだろうか」
涙が出てくる。
どうしても、
人は自殺してはいけないという十字架を
背負ってるのだろうか?
いや、何、自殺が悪いとは言ってないのだ、
だけど、
自殺がいいと言うこともない、
けど、
痛くて悲しい
「僕は予定外の死には悲しむんだ」
死神の少年は、
黒いスーツで表情を隠す。
誰もいない病室で、
少年の口元は微笑んでいた、
その老人の過去を知っている、
「待て、まだ終わってないんだ、これが最後の……いや、いい」
老人は筆をおろした、
物語の体をなしていない、
この『掌握』ともお別れをしなくてはいけなくなった。
「別れは死に終わる、生で終わる物語などどこにもない、人生ならば尚更だ、楽しければいいと言う訳でもなく、悲しければいいと言う訳でもない、終わろう、終わろう然り気無く、後悔あっては縛られる運命の鎖、今日という日は束の間の灯」
彼は息絶えた。




