VIER
課題を始めようと思っても、彼は書けないままであった。
特に、彼は例えるなら、生ける屍に暮らす地下世界の住人の如く、表舞台に立つことを許されない役者だったからだ。
その為にも仮面を着けているのだが、
彼は仮面を剥いで表舞台に立ちたいと願いながらも、
それを許さない淑女が内の中に秘めていることを知る。
「邪魔しないでくれ!」
同時に悩みさえも悟られないまま、死ねればどれだけ幸運なことかという願いを手記に綴った。
「僕の悩みというものは見えないもの幽霊のようなものです。ですが、他の人に進められるのは相談が大半を占めています。ですが、相談や人と交わった所で何の解決にもなりやしないのです。それで、もう一度人に確認を取ると、相談しなさいというのです」この一つ、一つの文字が彼を苦しめたように荒れてゆく。
きっと、称賛者はこの事に気づいていない、彼の表向きは綺麗なようでいて、仮面を剥げば、きっと、逃げていくに違いない。現に、そうした経験を、危うく見世物小屋に連れ去られようとした裏切りを何度も経験したからだ。
群衆の中に一人の若者が言う。
「どうして?こんなことを」
あるいは膝をついて、涙に石畳が雨で濡れたようになるが、
彼を苦しめたのが他でもない彼らだったことには、誰も彼も気づくことのないような非論理的な超自然が備わっているのだと知ると、書くこと自体を諦めた人形達のように誰かが思えるのだった。




