39 サクッと鳴るような
お気に召すままに、
耳の中に心地よい羽毛布団の
ペルシャの風に包まれているような感覚だった。
「ヴァイオリンはいいぞぉ!」
とヴェネチアの商人は薦めるものの、
「君はユダヤの人だ、一体、
僕にそれを薦めるってことはよほどのことがあって来たんだね」
すると、商人は肩を竦めて
「本当の良さってものは、世間の良さばかりじゃないのか?本当の心ってのは人種は関係ないんじゃないか?」
すると、目が覚める。
私の先ほど見ていた「夢」とは何なのだろうか?
仮面のように移り変わる人の心は、
かの作品ヴェニスの商人を聴きながら、
眠ってしまったからに違いない。
何せ、「我」が睡眠には少しも余す処なく、
常に処女のように純真無垢なのだ、
夢というものはそうではないか?
誰が決めたのだ、
誰が聞いてはいけないといったのだ、
仲間を作るのも人それぞれ、
人は人、それなのに「私」は
反対のことを言ってしまう、
「おい、家政婦、クッキーを来れ、そして!珈琲は常に五重三粒であるようにといったではないか!重とは重奏のことだ、それぐらい私の音楽というものは随分と重要な割合を占めているのである、これを邪魔された日にゃあ首を吊って死ぬか、そのかつての旧友として、十字架で作った槍をその人にぶつけるぐらいだ。それぐらい大罪であり、原罪なのだ、重みを知らぬ他人ども、創作する神の気持ちが分からないように、作り手の苦労を知らぬに聞いている家政婦め、許さんぞ……」
家政婦は我慢して聞くことではなく、一つの犬の癇癪だと思って、聞いてあげた。人が人間であるとして、接するから、苦しいのだろう、ならば、その社会から抜け出せば別段、何とも思わない。




