28 電車、バス、同一
力なんて入れたくなかった。
少年はただ、純粋無垢に書きたかった。
けれど、それは無駄だと知った。
「今日も、無駄にしたね」 と
首を吊ろうかと、つり革を
首を吊る道具と見立ててシミュレートする。
どうやったら、死ねるのか、
数学のとんとできない頭で妄想する。
この少年は異常だと思われては叶わないので、
誰にも言っていないこと、
それは、死ぬことだった、
普通のヒとに言えば、
弾圧される。
ゆえに、命と倫理に殺されようとしていた。
確かに、あなたは何もしていない、
故にこれは私の責任、
美とは何か、芸術とは何か、
どうして、人は悲しさを抱き、
それに共感するのか、
少年には欠けている何かがあった。
誰かと違うものを書きたかった。
だが、この世界ではとんと叶わない、
どうしたって、
批判者が正義であり、
「自殺を書くとは恥を知れ。」
と言ったり、
「倫理がないのか君は。」
という、
辺りが真っ白で、灰色の
モノクロームに染まる、
どうして、ここで書いているのか、
一人の人の心は疑問に思えた。
さして、それは、
少年の心に疑問という花を植え付け、
死へという答えに辿り着く原動力とさえなっていた。
少年は苦しいのだ、
さながら、
この純粋さとは
赤ずきんのマッチ売りのようなものだと、
誰にも買ってくれない、
誰にも見向きもされない、
それでも、
主のために、
書かなきゃ、
己の心は費えるのみ、
彼女は死んだ、
赤ずきんを被った孤独な少女、
私にもマッチを一本化くださいな、
空には雪が照りつけて、
少年は一本のマッチを買う、
「顔を上げて、僕がいる、君は一人じゃないよ」
少年はこの凍えるような
死んだ文学の世界で、
赤ずきんと共に、
未来を考える。
「私が一人だったら、未来なんて考えてなかったと思う。」
少女は静かに眠る、
行き場のない、少年も、
少女とは反対方向に
真っ白な雪の上で反対方向に眠る。
体はどうやら、
死んだようだ、
しかし、苦しみの魂は、
それぞれの温かい道へと、
機械仕掛けの神様は、
微笑んで示してくれた。




