二十箱の棺
考古学者はある箱を眺めて、
考えていた。
「これは、日本にある棺ではあるが、どうして、重ねる必要性があるのか?」
そこに医者が出てきた。
亡霊のような目の下に隈を作り、
己の病を表現したかのような人間が、
「箱はあれですよ、誰にも干渉されたくなかったんでしょうよ」
「私には分かりません、探偵さん」
医者は薄い目をしている黒のシャツに、茶色のジーンズを着た、シンプルな格好の男に言う。
「まぁ、私は事件解決のため、というよりはミステリーが好きなだけなのですがね」
そういって、探偵と呼ばれた人間は窓のカーテンを開ける。
すると、窓にはナイフと手紙が張られていた。
「こっこれは!何ですか!一体、誰の仕業なのか……」
「恨まれるとすれば、どうせ、あれでしょ何かやっちゃいけない事件とかに手を出したからでしょ、だから、死んでしまうんだ、人間はふみこんじゃいけねぇもんに踏み込む、モルモットみたいなんだよ」
どうして、彼にはそう言いきれるのかは、
彼が親戚という身勝手な立場であるからこそ、分かりうることで、責任の所在と攻撃され得ないという確信から来ているものだった。
「さて、私は帰らせてもらう、こんな下らない事件なんて興味ないからね……」
「ちょっと待ってください」
黒シャツの男は髭を整えたふてぶてしいスーツを着た、高慢男を止める。
「何だね、既に死んでる人間についての事件を殺人だなんて、決めつけるのはよくないと思うがな」
「少し待ってください、どうして、お嬢さんは死んでると言えるのでしょうか?」
「何だと、」
束の間の沈黙、誰も話せない状況に変わる、
疑惑の目が、男爵に目を向ける。
「この棺の中が誰もわからないのに、どうして、既に死んでる人間が入ってると言えるのでしょうか?」
そして、黒シャツの男は
指を鳴らして続ける。
「加えて、この窓に張られているものにたいして、動揺しなかったのは、貴方だけです」
「はん、それだけで決めつけれるなんて、証拠は他にも、」
「あります、」
「服に染みがついているからです、そして、貴方はその染みに気づかず、夕食はクリームシチューを食べたという矛盾が生じている。」
「何だと!」
そして、扉が開く、
小太りの警部が出てくる。
傍らには警官二人が立っている。
「くっクソ、こうなったら、自爆してやる!」
しかし、スイッチを押しても、何も反応しなかった、
「事前にわかってましたよ、普通のミステリーではないということをね」
こうして、ある富豪の豪邸での事件は
迷宮入りを防いだ黒シャツの男によって
成し遂げられた。




