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掌握  作者: 猫乃つづり
15/42

Funfzehn

今日も訪れた売り手は、

売れた本など一つもなかった。

寧ろ、一冊、売れればよい方だった。

懺悔したいことがあったためか、

彼はそんなことなど、つまり、売れないことにたいしての悩みなどではなかった。

マッチ売りの少女のように、寒さや売れないことに対する悩みではないのと同じように、

辺りは暗く、物静か、一つの灯りを便りに帰っていく中で、

彼の心は既に真っ暗な部屋だった。

提灯があったとしても、牧歌的な暖炉の火が暖めようとも、

強欲と罪に穢れたその身体からは、一切の救いなどなかった。


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