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Funfzehn
今日も訪れた売り手は、
売れた本など一つもなかった。
寧ろ、一冊、売れればよい方だった。
懺悔したいことがあったためか、
彼はそんなことなど、つまり、売れないことにたいしての悩みなどではなかった。
マッチ売りの少女のように、寒さや売れないことに対する悩みではないのと同じように、
辺りは暗く、物静か、一つの灯りを便りに帰っていく中で、
彼の心は既に真っ暗な部屋だった。
提灯があったとしても、牧歌的な暖炉の火が暖めようとも、
強欲と罪に穢れたその身体からは、一切の救いなどなかった。




