ELF
シュタインは石である。石の石像が私の目の前に建っていた。
「本当の目的はなんだ、石像の振りをするのはよせ、神の御使い、俺を地獄に落とした、かつての審判者」
すると、私の目の前には翼の生えた、お爺さんが黒いスーツを着て建っていた。
「お前は地獄さえも押さえ込めないほどの危険対象だからだよ」
灰色の髭を撫でながら言う。街灯の灯りは付いたり消えたりしている。さながら、超常現象だ。かくいう私もかつて、地獄に落ちて裁きを受けた。罪状は勿論、数多の女性を誑かした色欲の罪にあたる。だが、自らの罪は色欲の罪なのではない。
「私は他の男とは違う、どうして、一人の女のみを愛さなければならないのだ、私の愛は一つの花のみならず世界中に咲く花の美しさに詠いたいだけなのに」
すると、かつての復讐者の顔は眉をひそめる。
「だが、神の法というものがある。人間は花ではない、物ではないのだ。お前の罪は強欲にも近しい臭いがしてたまらない」
私は笑う。神の法や人間の定めた規則というものに
「神の法か?本当にあるのならば、この目で見た。現に貴方の手を握り、私は焼かれてしまったからな、だがな、どうしても変えられないのが心の臓にあるのだ。言葉のみでは形容できない何かが」
片方、聞いている相手はため息をつく。
「人間は既に終わりに向かってるのだな」
そう述べて、立ち去っていく去り際の一言。
「ドン・ジョバンニ、貴殿はもう我が娘を苦しめたことには変わりない、花は二つ持てることはない、幸せと不幸の内、一つしか選べないように」




