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何だかんだで結月が一番、僕を狙ってる

 場所は変わり、結月の部屋。

 先ほどのお届け物が開封された状態で置かれていた。中身こそは見えないが、物品名は確かにパソコン部品と書かれている。


「さてお兄ちゃん、お兄ちゃんにはこの漫画を貸してあげよう」


 結月はそう言って本棚から漫画の一巻を二冊、僕に手渡した。

 タイトルからはどんな漫画なのかはわからないが、ラブコメ系の漫画であることはわかる。


「成年漫画じゃ無いから安心して良いよ」

「そんな心配はしてない。ってか、どんな漫画?」

「会話の流れでわかると思うけど、男の娘漫画だよ」

「だよね」


 薄々感じてはいたけど、そうだよね。


「ま、お兄ちゃん。特に何も言わずに読んでみてよ。アタシの部屋で読んでて良いからさ。それじゃ、お風呂行ってくる」

「ちょ、待て。パンツ忘れて――」


 バタン、と勢いよく扉が閉まった。

 まぁ折角だ。

 結月の好意を受け取って、ベットで寝転がって読むことにしよう。


 両タイトルを一巻読んでみた結果、感想としては普通に面白い。

 一線を越えるのか越えないのかは、まだわからないけれども、この読了感はボーイミーツガールのラブコメ漫画には無い気持ちにさせられる。


「お兄ちゃん! 読んだ感想は?」


 風呂上がり、全裸の結月が勢いよく扉を開けた。


「前隠せ、前」

「別に兄妹だし、今は女の子同士だし、良いじゃん。んでんで、感想は?」


 胸を揺らしながら結月は僕に近寄ってくる。


「普通に面白かったよ。まだ一巻しか読んでないけど」

「それなら良かった。続きも読んでね。それはそうと……」


 話の途中。

 結月は豹変して僕をベッドに押し倒してくる。

 シャンプーの匂いと胸の柔らかさが心地よい。


「荷物。見たんだったらわかると思うけどさ。ちょっと試してみる?」

「ぬがっ」


 いきなりすぎて、ドキッとしてしまったじゃ無いか!

 しかも、変な声で出し!

 結月は結月で無駄に、格好つけた顔で低い声で言ってくるし!

 でも、結月は勘違いしているからこれだけはたださなければならない。


「……荷物の中身、見てないです」

「へ?」


 事実を伝えると、一気にアホな顔を結月は浮かべた。

 数十秒の沈黙の後。

 結月は気まずそうな顔を浮かべながら僕から覆い被さるのを止めた。


「い、いやぁ……ごめん。ホントごめん」


 萎えた、と言わんばかりに結月は冷静な口調で懺悔してくる。よっぽど気まずかったのか服も着だした。


「びっくりしたよ」


 恥ずかしいことを見ただけの僕も恥ずかしくなったので、急いでベッドから立ち上がった。

 滅茶苦茶気まずい。

 ムードを台無しにしてしまったパートナーってこんな気持ちになるのか。

 だったら、僕がするときは確実にイケるってなったときしかしないよ。


「ところで……荷物は何なの?」

「……知りたい?」


 今にも泣きそうな顔をした結月が、パソコン部品の中身をガサゴソと漁りだした。


「まず袋と優しいローションと……後一つあるんだけどさ。これ見ても引かない?」


 普通に妹の部屋にオモチャがあることを知ってるし、使用していることも知っているから、今更、引くことも無いだろう。


「兄妹の仲だ。よっぽどのものが出ない限りは引かないよ」


 僕がそう言うと結月は恥ずかしそうに、その荷物を取り出した。

 箱の大きさでは何なのかはわからなかったけれど、箱に描かれている商品で何なのか最初はわからなかったが、冷静に考えるとソレが何なのかわかった。

 あれだ。

 女性が一人で使うかもしれないオモチャでは無くて、女性が二人で使う事をそうていしたオモチャだ。

 要するに双頭の奴だ。

 ってか、本当に売ってるんだな。


「つ、使ってみる? 一人じゃこれの神髄がわかんないと思うから、一緒にってなるけど」


 結月は裏返った声のまま、そのオモチャの箱を横に置いて土下座している。

 とりあえず、僕は無言で部屋を出て、お風呂に入ることにする。

読んで下さり、ありがとうございます。

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