連れションでいらぬことを考えるのは性欲のせい
ガールズトークは仕切り直しをいれなくては到底、修正することができないくらいになってしまった。
後戻りすることはできないけど、このまま突き進みたくも無い。
「少し休憩しよう。渚ちゃん、一緒にトイレ行こう」
声が裏返り気味の美愛が立ち上がりながら仕切り直しを計る。
僕としても願ってもない助け船なので着いていく。
部屋を出るなり、直ぐに美愛が口を開いた。
「柄でもなく、連れションに誘っちゃったけど、よかった?」
「気にしなくて良いよ。むしろ助かったわけだし」
「あはっは……あたしが言うのも違う気がするけど、ちょっと下ネタが……な」
「だよね。女子の下ネタはエグいって言われてる理由がわかった気がするよ」
上がらないテンションのまま、お互いに苦笑いを浮かべながらトイレへと向かう。
端から見れば、下ネタを話しながらトイレに向かうJK二人組はヤバい奴認定されそうだが、誰も聞いてないしいいだろう。
そのままトイレに行ってしゃがむのだけれども、僕にふと魔が差してしまう考えが浮かんでしまった。
結月から聞いた連れションについての考察の一つに相手の用を足す時に出る放出音? を乙姫代わりにするためにすると言っていた事を思い出す。
つまり、これって、エッチなのでは!?
いや何。別に僕に聖水への趣向があるわけではないけど。
用を足すあのポージングをしていると想像すると、盗撮モノに一定数の需要がある理由がわかった気がする。
先ほどの話しをいつまでたっても引きずっていては、用は足せないので花を摘むことにする。
手を洗いながら、自分でポージングがエッチじゃんと言ってしまった手前、変な想像をしてしまったことを反省したい。
ってか、何の躊躇いもなく、女子トイレに入れて、連れションまでできるようになった自分が着実にメス落ちしていきそうで怖くなる。
「おまたせ。待ったかな?」
あえてかわからないけれども、美愛は声のトーンを少し低くしたイケボになっていた。身長が高いから似合ってると言えば似合っているけど、いささか胸が大きすぎる。
「待っては無いけど。やりとりが、カップルなんだけど」
「待ってないって言う辺りが、初々しいよね」
「部屋行くよ。そろそろ、消灯時間だし」
待ってよ、と嬉しそうな顔で美愛が僕の後に続いた。
部屋まで歩くこと数十秒。
部屋の扉を開くと、そこには立場が逆転した琴乃葉と橘が居た。
「おまたせ。待ったかな」
「待っては無いけど……はははっ」
苦笑いを浮かべた橘がテンプレート的な返しをする。
「ちなみに今、何してんの? 立場が逆転しているように見えるけど」
「あぁ……とね。彼氏が欲しいと芽依ちゃんが――」
「ちゃっと瑞月さん! 言わないで!」
「見た目はギャルだけど処女って言うね」
「処女言うな! 美愛も渚も処女でしょ!」
僕も巻き込まれたんだけど。
事実だけどさ。
「ほ、ほら! アタシ達もJKじゃん? 彼氏がいても良い頃かなーって事で瑞月に聞いてたんだよ。俗に言う、恋バナ的な?」
慌て気味の琴乃葉が身振り手振りで、自分の羞恥を隠そうとしている。
キレイ系ギャルを装っているが、中身はアホの娘である辺りにギャップを感じる。
とは言っても、誰も彼もが彼女彼氏を引き連れて居る訳では無いのが高校生というモノだ。
ここは試しに僕から話し掛けてみよう。
「それで結論はでたの?」
「アタシはこのままで良いって結論になったわ。後は男が来ることを待つだけよ」
「それは来ない奴なんじゃないのかな?」
「なによ。渚もおっぱい無いじゃ無い」
「男がおっぱいだけ見てるってのは大間違いだからね!?」
確かに、琴乃葉は見た目は良いし、本性はアホの娘感が出てて、男子受けが良いのは間違いない。
問題があるとしたら、経験が少ないだけで、恋愛観が弱そうと言うことくらいだ。
「じゃあ、聞かせてもらうけど、男子高校生はおっぱい以外にどこ見てるって言うのよ?」
自棄になっていると言うのが言動から容易に読み取れるし、それに若干、眼が潤んでいた。
ここは元男として、僕がいかにして女子を見ていたのかを話すことにしよう。
確かに、胸は無いよりあった方が良い。これは確定的でおそらく、人類が理性というものを持つ前から定まっていたと言っても差し支えないようなものだよね。
だからと言って、胸だけが全てじゃ無い。
僕としては一緒に居て楽しいかを重視したいのだ。
一緒に興味のあることを話しして、ただただ、積もるに足らない、そんな風な感じが良いと思うのだ。
ま、モテない人間の話なんだけどさ。
「一緒に居て面白いかどうかかな」
これって、俗に言うおもしれー女理論だよな。
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