表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/71

去年より身体は縮んでしまっている

 次の日。

 今日の授業予定は、午前の三時間は新入生おめでとうテスト、四時間目と午後から身体検査という流れだ。


 入学おめでとうテストと言う割には国語、数学、英語と受験する上で重要とされる科目ばかりだったが、内容は基本的なものばかりであったことが救いだった。


 その後に身長と体重だけ量るとのことで、男子は教室で、女子は空き教室で体操服に着替える流れとなった。

 とは言っても、僕は制服の下に体操服を着ているので何ら問題は無いのだけれども、問題は目のやり場だ。


 僕の通っていた中学では、制服の下に体操服は普通だったのだけれども、どうやら高校ではそうでは無いらしい。

 だが、体操服着用していないのは、勝負下着を見せびらかしたいスクールカースト上位の方々だけのもので、眼福やラッキースケベとは違ってあんまり嬉しくなかった。


 そんなことはさておいて、女子にとってはどきどきの体重測定が始まった。

 僕は身体の都合で定期的に病院に行っているから知っているのでワクワクもどきどきもしない。

 身長を測ってもらっていると、なぜだろう。視線を感じる。

 知ってた。

 みんな僕の身長が気になるんだろう。

 多分、この学校で一番小さいって事が一目でわかるくらいに小さいし。


 そんな周りの視線を感じてか、身長のメモリを呼んでくれている女教師が僕に「周りがうるさくなったら私が止めるから安心しなさい」と小声で呟いた。

 教師の安心してほど素直に安心しにくいモノがあるのだけれども……

 だからと言って、経験しなければならない試練だと思って、体重の列に並ぼうとする。


「潮風さーん」


 この声は昨日、僕に絡んできたスクールカースト上位女子だ。

 訊いてくる内容がわかっているだけに、若干のうっとうしさを感じてしまう。

 聞こえなかったふりをするにもできないので、とりあえず振り返っておく。


「昨日の続きだけど身長、何センチだった?」


 だよね。この子が話し掛けてくるって事はそのことだよね。うん。知ってた。

 別に身長を聞かれるくらいなら、僕だってそこまでひねくれていないから、素直に教えるよ。

 だけれども、せめて、お互いにどういう間柄なのか理解してから――親密度を深めてから聞いて欲しい。


「143センチだったね」

「うぇ、ホントにちっちゃい!」


 だからその驚き方!

 その驚き方は室内にカエルがいたときに出る気持ち悪さが含まれてる驚き方なんだよ。


「うん。ありがとー」


 あっさりとした返事をして、その女子生徒は元いたグループの方に戻っていった。

 その後は体重も計った訳なのだが、こちらも身長を考えると軽めの37キロとシンデレラ体重より若干重い程度だった。朝食を食べてきたのだが、この体重を見るにきっと消化してしまったのだろう。

 体重の方は見られたところで、二度見をされたくらいで別段ツッコまれることは無かった。


 身長と体重を量り終えたタイミングで教室に戻り、クラスメイトが揃ったところで役員決めとなった。

 いわゆる級長・委員長決めなのだが、僕には関係のない話だった。

 その後、プリントが配られて、その中には宿泊学習の栞もあった。


「知ってる人は知ってると思うけど、金曜日から土曜日にかけて宿泊学習があります。そこですることとかが、色々とある訳なんだけど……まぁ読んどいて」


 雑な感じで担任が宿泊学習のことを伝えると「はい、休憩」と言って、教卓前の椅子に腰掛けた。

 しおりを読んでいると、この宿泊学習の目的は新入生の親睦を深めるために行われるらしい。

 宿泊先は青少年の家で、そこでハイキングや大縄飛び、校歌合唱などがあるとのこと。

 まぁ普通だな。


 そんな感じでしおりを一周する頃にはお昼の時間となった。

 高校らしく食堂があるとのことで、男子学生の何人かが談笑をしながら教室を後にした。話してる内容は宿泊学習のことで、楽しみな様子が伝わってくる。


「渚ちゃん、一緒にご飯たーべよ!」


 隣の席の相沢美愛がお弁当と椅子を片手に僕の席までやって来た。

 午後からも身体測定なので、お互いに体操服を着ている訳なのだが……大きい。

 長袖の体操服を着ているのにもかかわらず、胸の大きさが際立つくらいには大きい。


「ふふっ。そんなに見てもこっちからご飯はまだ出ないよ」


 小動物を見るときのような優しい眼で美愛は微笑んでいた。

 てか胸をガン見してたのバレたし。


「ば、バレた?」

「そりゃ女の子ですから。ささ、ご飯食べよご飯!」


 胸に関する話は素っ気なく終わって、美愛とのランチとななった。

次回更新予測は今週中

予測なので外れることはありますよ

よろしければ感想、ブックマーク、Twitterのフォローをよろしくです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 確かにこの体重は2度見するよなぁ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ