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幼馴染に好かれる、なんてのは幻想です  作者: 卯佐美 佳
第一章 どうやら俺は、トラブルには好かれるらしい
9/70

天使だ…天使がいるぞ…

先輩の名前、狙い過ぎてる気がする…

まあ小説の世界だしいいよね!

今回は紛らわしかったので、ルビを振りましたが、次回からは今回ほどは紛らわしくはならないと思うので、ルビは振らないと思います(振らないとは言っていない)

放課後、俺は図書室に向かっている。

今日は火曜なので、荒川を送って行かなければならない。そのため、荒川の部活が終わるまで、図書室で時間を潰そうというわけだ。

図書室を選んだのに、決して深い理由は無い。たまたま、偶然、本を読みたくなっただけだ。決してやましい思いがあるわけじゃないぞ。


図書室に着きドアを開ける。受付には、いつも通り本を読みながら座る彼女がいた。彼女は此方に気が付くと、やはり微笑みながら会釈をする。当然俺も会釈を返す。なにこれ、既に超幸せ。


俺は昨日と同じ場所に座る。すると、彼女は此方に向かって歩いて来た。え、ちょっと待って?何で?ちょ、何で!?


「最近良く来ますよね。本、好きなんですか?」


彼女は俺に向かって、笑顔で優しく話しかけて来る。


「は、はい、たまに良く読みます」

緊張し過ぎて変な日本語になってしまった。なんだよ、たまによくって。池沼じゃん。


しかし、彼女は笑顔で

「そうなんですか。本好きの仲間ができたみたいで嬉しいです」

と、言う。なにこれ超天使。


「あ、そういえば自己紹介がまだでしたね。私は二年C組の天使 桜(あまつか さくら)です。よろしくお願いします」


笑顔で自己紹介をする天使(てんし)。つーか名前も天使(てんし)ってマジ天使(てんし)(語彙力)


天使(あまつか)さんが自己紹介したのだから此方もしないわけにはいかない。


「俺は一年B組白峰 晃って言います。よろしくお願いします」

「白峰 晃くん。いいお名前ですね」


名前を褒められたのは初めてだ。というか天使(てんし)に褒められた!昇天しそう…

まあこんなところで今生におさらばする訳にはいかないので、何とか正気を保つ。


天使(あまつか)さんは、良くここに来るんですか?」


俺は会話のきっかけを作るために、質問する。


「はい。図書委員ですので、毎日来てます」


マジかよ、ここに来れば毎日会えるってことじゃん。


「最近図書室に来る方が少なくて…」

「そう、なんですか…」


確かに、図書室に天使(あまつか)さん以外いるところを見たことがない。


「それで、寂しくて…皆さん、本を読まなくなってしまったのでしょうか…」


確かに、最近はスマホ一つあれば何でも調べられる時代だ。それに、ゲームも音楽も動画もある。昔に比べて、本を読む機会がずっと少なくなったのは間違いないだろう。それに文字を読むことを嫌う若者たちも出て来ている。本離れが進むのは必然だろう。つーか俺どっから目線だよ。


「それで、白峰くんが来てくれて、とても嬉しかったんです」

「え?俺が?」

「はい。私と同じように、本が好きな方がいるかもって。それで、今日は来てくれるかなって、いつも気になってたんです」


そうやって変に期待されると、少し恥ずかしいな。


「たまたま、時間潰しで立ち寄ってるだけですよ」

「それでも、本に関心を持ってもらえるのはとても嬉しいです。それに、白峰くんはまた来ますと言ってくれました。それも、すっごく嬉しかったです」


そう真っ直ぐ言われると凄く恥ずかしい。


「これからも、時々、気が向いたらでいいので、図書室に来て下さいね」


天使(あまつか)さんは笑顔で言う。もちろん俺の回答は決まっている。


「はい!また、絶対来ます!」

「はい。待ってます」


その今までで一番の満面の笑みに、俺はやはり見惚れてしまった。



それからしばらく、天使(あまつか)さんと過ごし、下校時刻。俺は校門前にいる。荒川を待つためだ。


一年生は俺の姿を見るなり多くが、俺から距離を置く。嫌われてんなぁ…

そんな中、俺に近づく影が二つ。


「あれ?晃?何でこんな遅くまでいるの?」

「誰か人を待ってるのか?」

「もう、晃ってば。一緒に帰りたいなら言ってくれればいいのに」


話しかけて来たのは仁美と勝樹だ。


「人は待ってはいるがお前らじゃねーよ。二人は部活帰りか?」

「うん、そだよ。最近は良く一緒に帰ってるんだよ」

「へー、そうなんか」


俺が見てない所でも意外と進展してんだなこの二人。


「で、お前は誰待ちなんだ?まさか女か?」

「ん、まあそうだな。荒川を待ってんだ」

「あら…かわ…」

「ん?誰だそれ」


勝樹はクラスが違うから分からないか。


「同じクラスの女子だ」

「マジかよお前が!?まさか付き合ってるとか!?」


なぜか仁美が付き合ってるというワードにビクッと反応する。


「ねーよ、ちょっと事情があって家まで送ることになっただけだ」

「そ、そうだよね!晃が誰かと付き合うなんてあり得ないよね!天地がひっくり返っても無いよね!」

「お前、相当失礼な事を言ってるって分かってるか?」


名誉毀損どころの話じゃない。つーか俺はそんな風に思われてるのか…泣きそう…


「まあ晃の邪魔しちゃいけないし、俺たちは立ち去るとしますかね。行こうぜ、仁美」

「う、うん!そうだね、勝樹!」


二人はいつの間にか名前で呼び合う仲になったみたいだ。二人の成長が見れて、お兄さん嬉しいよ…


「じゃあな晃!変なことして捕まるなよ!」

「じゃあね!くれぐれも、変なことしないでよ!」

「わーってるよ!じゃあな!」


俺はどれだけの性欲モンスターと思われているのだろうか。鈴井に言われたのも不思議じゃないかもしれん。


しばらくボーっと待っていると、一人の女子が俺に近づいて来た。


「ごめん、白峰くん!片付けに手間取っちゃって!」

「別にいいよ。人も大分少なくなってきたし、むしろ都合いいんじゃないか?」

「えー、せっかく私と白峰くんのラブラブっぷりを皆に見せたかったのに」

「それは俺じゃなくて、健に言った方が面白いと思うぞ」

「そうかな〜。ま、いいや!行こ!」


荒川が先導するように歩き出す。俺もそれについて行く。

ふと、荒川が口を開く。


「朝、めぐになんか言われた?」

「めぐ…成瀬のことか?」

「そうそう。昨日めぐだけには話してね。それで、今日なんか言われてないかな〜って」

「別に、ただお礼を言われただけだ」


成瀬に聞かれた事については言う必要は無いだろう。


「ほんとに〜?他にも何か聞かれたんじゃないの〜?」


女はたまに鋭い。


「いやなんも無いって。大体、成瀬は俺の事嫌ってるだろ」


すると荒川は一瞬呆けた顔をして、途端に笑い出した。


「あははは!白峰くんってほんと、女の子の事分かってないね〜!」


いや言動からして嫌われてるようにしか思えないのだが。


「まあいいや、そこも白峰くんの面白い所だし」

「別に俺は芸人目指してる訳じゃないんだがな」


俺が面白い人とは、誠に遺憾である。


「ほんと勿体無いよ。白峰くん面白いんだから、それが皆に伝われば人気者になれるよ」

「人気者になりたくはないんだよな…」

「それに白峰くんは時々凄くカッコいい。だからもし皆かそれに気づいたら、間違って好きになっちゃう子もいるかもね」

「間違わなきゃいないって言われてるみたいで、なんか腹立つな」


普通にいるだろ。いるよな?いると信じてる。


「も…私……違っ………どね…」

「ん?なんか言ったか?」


もっとはっきり喋らんかい!最近はその喋り方流行ってんのか?


「ううん!何でもない!早く行こ!」


そう言ってなぜか歩くペースを上げる荒川。

それから先、荒川はさっきの事には触れず、俺たちは当たり障りのない事を話した。

ブクマ数300ありがとうございます。ジャンル別日間ランキングにも乗ることができ、大変嬉しい限りです。これからも、宜しくお願い致します。

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