にゃるせ 恵というフォルダを追加しよう
俺と成瀬は、部活の為に図書室に向かっている。一週間ぶりに天使さんと会えるので、さっきからwktkが止まらない。
「何ニヤニヤしてんの。キモ」
すっごい久しぶりに言われた。どうも俺は天使さんの事となると、気持ちを抑えられないみたいだ。変態じゃん…
図書室のドアを開けると、中にはいつも通り受付で本を読む天使さんがいた。相変わらず…ふつくしい…
「あ。白峰くんそれに成瀬さん。来てくれたんですね」
「こんにちは、天使さん」
「お久しぶりです」
いつも通り、天使さんと挨拶を交わす。いつも通りがこれほど幸せとは…
俺達がいつもの席に座ると、天使さんも此方にやって来て、成瀬の横に座る。美女二人を正面から眺められるなんて幸せだニャー…
「試験、どうでした?」
「あたしは今までで一番よく出来たと思います」
「俺も、多分一番出来はいいです」
「お二人とも凄いですね。何か特別な勉強でも?」
「同学年の何人かで晃んちで勉強したんですよ」
「なるほど。その成果ですね!」
和むなぁ…。ずっとこのままいたい…
「勉強会といえば、こいつ酷いんですよ。勝手に俺の部屋に入って漁ってて」
「ちょ、ごめんって。ちょっと魔が差したっていうか…」
「ま、魔が差しちゃったなら、しょうがないと思いますよ?」
「まあ魔が差しちゃったのなら仕方ないな」
「ゆ、許してくれる?」
「いや、タダじゃ許さない」
そんなしおらしそうに謝られた程度で許すほど、俺は甘くない。天使さんなら間違いなく許すけど。むしろ部屋を明け渡すまである。絶対いらないよなぁ…
「わ、私に何をしろって言うの?」
ふっふっふっ…。それはもう決めている。
「俺は今、試験が終わって疲れている」
「誰だってそうだと思うけど」
「俺はその疲れを癒したいと思っている」
「肩でも揉めばいいの?それくらいならお安い御用だけど」
「まあ待て。肉体的疲労ではない。精神的疲労だ」
「それは、そうかもね」
「まあつまり、心の癒しが欲しいというわけだ」
「うん。大体分かった。で、あたしは何をすればいいの?」
「精神的疲労を癒すには、やっぱり好きな物を見るのがいいと思うんだ。そこで…」
「ちょっと待って?あんた何取り出してんの?それってまさか…」
「ん?猫耳カチューシャだが?」
「絶対嫌!お願い!それをあたしに近づけないで!」
めっちゃ拒絶してるなぁ。まあそりゃあ恥ずかしいよな。
ちなみに、俺は生粋の猫好きだ。SNSでは裏垢で猫動画botとかフォローしまくってる。
「大体何であんたそんな物持ってるの?まさかこの為に買ったの?」
「いや、ちょっと前に色々とあって、鈴井から没収した」
「あの子なにやってんの…」
あの時は色々あったなぁ…。正直思い出したくもない。
「でだ。成瀬にこれをつけてもらいたいと」
「やめて!他の事なら何でもするから!それだけは!」
俺は猫耳成瀬が見たいんだけどなぁ。他の事とかどうでもいい。
「あ、天使さんからもなんか言って下さい!」
「え?私ですか?」
「はい!あのアホに喝を!」
成瀬の奴、天使さんに助け舟求めやがった。いくら俺でも、天使さんになんか言われたら、引き下がらざるを得ない。
「大丈夫です!成瀬さんならきっと似合います!」
「違う!そうじゃない!」
どうやら天使さんも俺の味方の様だ。やったぜ。
「で、どうする?成瀬」
「うぅ……。や、やればいんでしよやれば!」
どうやら観念したみたいで、俺から猫耳カチューシャを引っ手繰る。
「……笑わないでよ…」
そう言い残し、本棚の裏へ隠れた。
俺はポケットの中で、スマホの電源ボタンを二回押す。バイブ!手応えあり!最近のスマホは便利になったよな。
「す、少しだけだから!」
そう言って成瀬は本棚の影から姿を表す。
その瞬間に、俺はポケットからスマホを取り出し、素早く照準を成瀬に合わせる。そしてカメラボタンを長押し。
カシャカシャカシャカシャカシャカシャ
図書室内に何度もスマホのシャッター音が響く。
成瀬は一瞬呆けた後、顔を真っ赤にして此方に近づいて来た。
「ちょ!何撮ってんの!消して!今すぐ消して!!」
猫耳を外すのを忘れて俺のスマホに手を伸ばしてくる。いやー、いいもん撮れたわ。パソコンの『ダーウィンの進化論』フォルダに永久保存だな。ちなみにこのフォルダには他に、仁美の部活シーン、鈴井がウトウトしている様子などがある。良い子の皆は真似するなよ!盗撮は犯罪だからな!
「安心しろ、成瀬」
「何?直ぐ消してくれるの?」
近距離でめちゃくちゃ睨んでくる。うん。ちょっとこれはあれだ。人によっては死人が出るな。犯罪級をゆうに超えてる。すっげー頭を撫でたい。やったら殺されそうだけど。
「後で荒川と鈴井にも見せるからな」
「貸して!叩き割るから!」
おー怖。女の子が言っていいセリフじゃないな。まあ猫耳つけてる時点で可愛さの方が勝っちゃってるんですけど。
写真は撮った瞬間、クラウドに保存されるから、スマホを壊すだけじゃ消えないんですけどね。
「成瀬さん。そんなに恥ずかしがる事ないですよ。凄く似合ってて、可愛いです」
「そういう問題じゃありません!」
天使さんも楽しんでんな。やっぱり猫は皆を癒してくれる最高の存在だな!
成瀬は俺からスマホを奪う事を諦め、席に座る。
「…もう…お嫁に行けない…」
そこまでか!?実は俺、結構最低な事をやったのでは?まあ普段から鈴井に同じ様な事やられてるし、問題無いな。
「そんな事ありませんよ。凄く可愛かったですし」
「…天使さんはやってないからそんな事言えるんです…。やってみれば分かります…」
やってみればね〜…
次の瞬間、成瀬の瞳が怪しく光った。なんか思いついたなこいつ。
「…天使さん。あたし、似合ってたんですよね?」
「はい!とてもお似合いでした!」
あ、何しようとしてるか分かったわ。天使さんはまだ気付いていないみたいだ。鈍感なのかな?
「あたし、思うんです。きっと天使さんも似合うんじゃないかって」
「え?私、ですか?」
「はい。きっと凄く可愛くなると思いますよ」
猫耳を外し、満面の笑みで天使さんに語りかける成瀬。笑顔の筈なのに、どこか空恐ろしい。
「じょ、冗談、ですよね?」
「きっと、天使さんならあたしより似合うと思います」
最早唯のゴリ押しだな。まあ気持ちは分からんくもない。
「わ、私は大丈夫かな〜。なんて…」
「大丈夫です。直ぐ終わりますから。ちょっと髪触るだけですから」
成瀬の奴、目がめちゃくちゃ輝いている。意外とSなんだよな、こいつ。
「し、白峰くん。な、成瀬さんを止めて下さい!」
「今日はラーメンでも食べに行こうかな〜」
「白峰くーん!!」
俺は関係ないね。成瀬と天使さんの問題だ。というか、どっちかって言ったら俺は成瀬側だ。天使さんの猫耳、是非見て見たい。
「じゃあいきますよ天使さん」
「あ、ちょ、やめ…やめて〜!」
………………
「…………」
「…………」
「…………」
…なんか…見てはいけない物を見ている気がする。
天使さんは猫耳を着けたまま、真っ赤になって少し俯いている。
色々と言いたい事があるが、まず一言。可愛すぎてヤバい。何がヤバいってマジヤバい(語彙力)
これはあれだ。生物兵器だ。下手をすると、国を支配できるまである。生み出してしまったのは間違いだったか…
俺の隣で見ている成瀬も、絶句してしまっている。今の天使さんを前に、言葉を発せられる者はいないだろう。
「…もう…お嫁に行けません…」
生物兵器という事を自覚してしまったのか…。結婚するという事は、天使さんと長い時間を共にするという事であり、そんな事になれば、間違いなくその人は尊死を遂げるだろう。天使さんはそれを危惧しているのだ。やっぱり天使さんはマジ天使。
流石にこんな生物兵器を世に出す訳にはいかない。写真に収めるなんて以ての外だ。この事は、俺達だけの秘密にしよう。
「こ、今度は、白峰くんの番ですよね!」
…………え?
「そうだよね。あたし達はやったんだから、今度は晃の番だよね」
成瀬が天使さんから猫耳を受け取り此方に近づいて来る。ちょっと待て?色々とおかしいぞ?
「待て。早まるな。俺に着けるなんて間違ってる」
「あたし達がやったのに、晃だけやらないなんて不公平でしょ」
「お前は自業自得だろうが!」
まずい。逃げ場がない。成瀬はジリジリと近づいてくる。
「あ、天使さん!さっきの言葉は冗談ですよね!?」
「晃くんはさっき私の事を助けてくれませんでした。可愛くなっちゃえばいいんです」
「天使さんさぁーん!!」
めっちゃ根に持ってるじゃないですか〜。少し頬を膨らませてそっぽ向いている。めちゃくちゃ可愛いから許せちゃうのが辛い。
「晃〜。早く諦めなよ」
「絶っっっ対、着けねえからな」
「大丈夫。写真に撮って、学校中にばら撒くだけだから」
「どこが大丈夫なのか、三十文字以内で説明してもらいたい」
俺は強引に猫耳を着けようとしてくる成瀬の手首を掴み阻止する。衣替えをしたので成瀬は長袖だ。素肌に触れるとか無理だったから、そこは助かった。
「いい加減、離して、大人しく、着けられなさいよ」
「力で、俺に、勝てると、思うなよ」
取っ組み合いをしたまま、硬直する。持久戦に持ち込めばこっちの勝ちだ。
ガチャッ!
「こんにちは!大樹祭広報部の藤宮です!慈活部の皆さんにお話が…あっ…て…」
突然、首からカメラを下げた、短い髪が特徴の女子生徒が入って来た。これ、まずいやつじゃね?
俺と成瀬は、取っ組みあった体制のまま固まり、女子生徒の方を見ている。女子生徒も固まったまま此方を見ている。
急に女子生徒はハッとし、カメラをこっちに向け(パシャ)
「失礼しました!お楽しみの最中だったとは!また出直して来ます!ごゆっくり!」
そう言って、女子生徒は立ち去って行った。
「「ちょっと待てえぇぇぇぇ!!!!」」
寝落ちしました。申し訳ないです…




