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幼馴染に好かれる、なんてのは幻想です  作者: 卯佐美 佳
第三章 なんでこんなめんどくさい事に…
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俺って、結構単純だよなぁ…

翌週、いつも通りの時間に学校に到着。教室に入ると、いつも通り鈴井が席に座っていたんだが…何か違和感がある。


「おはよう、鈴井」

「おはよう、晃くん。それと、仁美さんにも挨拶してあげたら?」

「え?うおっ!びっくりした…」


鈴井に言われて仁美の席を見ると、何やら話しかけないでオーラを放ちながら机に突っ伏している仁美がいた。違和感の正体はこれか。教室の入り口からは死角だから見えてなかったわ。


しっかし仁美はなんであんな状態に?勉強会でもそれなりに勉強出来てたし、そもそも試験だってまだ始まってすらいない。落ち込む事なんて何もない筈だ。


「えーっと…仁美〜、大丈夫か〜?」

「…………」


返事がない、ただの屍のようだ。


「おい鈴井。あいつどうしちゃったんだよ」

「さぁ…。私が話しかけてもずっとあんな感じよ」

「マジかよ…」


となると、やっぱり土日になんかあったんだろうな。


「仁美がああなる原因に心当たりは?」

「それはあなたの方が詳しいのではなくて?」

「だよな。俺もそう思う」


やっぱり鈴井も分からないか。まあしょうがないな。本人に聞くしかないか…


「仁美〜、勉強の調子はどうだ〜?」

「…………」


無反応。勉強についてではないのか。


「最近涼しくなってきたよな。もうすっかり秋って感じだな」

「…………」


季節についても反応なし。これもダメか。


「日本代表惜しかったな。あとちょっとでオリンピック出場ってところだったのに」

「…………」


これでもない。バスケ絡みでもないのか。


「一昨日の勉強会での昼飯、めっちゃ美味かったよな。鈴井はまあ分かるけど、成瀬も料理上手とは意外だったぜ」

「!……」(ピクッ)


反応あり?というか、勉強会という言葉に反応したな。もうちょい話を広げてみるか。


「あの二人といえばよ、勝手に俺の部屋に入って薄い本探すんだぜ。あるわけねーのにな。困ったもんだ」

「!……」(ピクピクッ)


また反応あり。というか、薄い本という言葉に反応したんだが…


勉強会…薄い本…下ネタ…あ…(察し)


「鈴井。仁美がああなった理由、分かったぞ」

「そう。それで、何が原因なのかしら?」

「………だ…」

「え?何て言ったの?」

「…やくだ…」

「聞こえないわ。はっきり言って」

「○薬だ。あいつ、アホだから調べたんだ…」

「え?あ…」


どうやら鈴井も気付いたみたいだ。


「ちょ、ちょっと、謝罪してくるわ」

「そうだな、それがいい」


しかし、完全に忘れてたな。電話の一本でもしてやれば良かったかもな。


まあすべての元凶は鈴井だし、あいつに全部押し付けてもいいか。これで少しはあいつも自重してくれるといいんだがな。


――――――――――――――――――


「えー、これで試験は終わりだ。皆よく頑張ったな。それじゃあ解散」


福田のやる気のない言葉を皮切りに、クラスが騒々しくなる。皆口々に、難しかっただの、お疲れ様だの言いあっている。

かく言う俺も


「あきら〜!俺やったぞ〜!」

「うぜえ!離れろ!気持ちわりい!」


健に抱きつかれ、騒がしくしている。このホモ誰か引き取ってくれよ…


「灰田くん。まだ答案が返ってきた訳じゃないのだから、安心するのは早いのではないの?」

「大丈夫だって。今回の試験は今までで一番解けたからな」

「今までどれだけ解けなかったのかしら…」


鈴井は呆れたように眉間に手をやる。


「まあ今回は健も頑張ったみたいだし、褒めてやろうぜ」

「そう言うあなたは、手応えの方はどうなのかしら?」

「悪くはないと思うぞ。返ってこないうちは、何とも言えんがな」

「自信は、あるのね?」

「ああ」


手応え的には、過去最高の出来だ。きっと、いい結果が返ってくるだろう。


「へー、じゃあさ。あたしと勝負しない?」

「勝負?」


隣から成瀬が話しかけてきた。水無月先輩に影響されたのか、勝負を仕掛けてきた。


「そ、総合順位で勝負。負けた方は勝った方の言う事をなんでも聞くって事で」

「ん?今何でもっていったな?」


何でもって事は何でもって事ですよね?


「あんたはこれくらいの条件じゃないと、乗ってこないでしょ?」


ふっ…。俺も甘く見られたもんだぜ。何でも言う事を聞くって条件で俺は痛い目を見てるんだ。今更そんな条件に乗らん。


「悪いが、断らせてもらうぜ。めんどくさそうだし」


何より、もう試験の結果はほぼ決まってる。試験前だと乗ったかもしれんけど。


「ふーん。負けるのが怖いんだ」

「あ゛?」

「体育祭男子MVPの晃が、か弱い女の子との一対一の勝負から逃げるなんて、信じらんな〜い」


これはあれだ。俺を焚きつける為に煽ってるんだ。間延びした語尾が物語ってる。

見え見えな手だ。明らかに罠だと分かる。だが…


「上等だ…。乗ってやるよその勝負」

「ふふっ…そうこなくっちゃ」


俺には効果抜群だった。だって皆が見てる前で逃げたらダサいじゃん?


「はぁ…。馬鹿なの?あなた…」


鈴井は健の時より深いため息をつく。俺は健以下なのか…


「晃!私とも勝負!」

「晃くん!勝負だよ!」


仁美と荒川も何故か勝負を仕掛けてきた。だが、


「流石にお前らと俺とじゃまだ早いと思うぞ。健とがちょうどいいんじゃないか?」

「あー…」

「だよね〜…」


いくら勉強したといっても、一週間程度じゃあ100位以上の差を覆すのは流石に無理だろう。


「おいおい、俺とじゃ不服ってか?二人が勝ったら何でも言う事聞いてやるぜ。晃が」

「はぁ!?ふっざっけんな!」


俺を巻き込むな。頼むから当事者だけでやってくれ。


「え?ほんと!?よーし、負けないよ!」

「晃くんになーにお願いしよっかな〜」


俺の合意なしに話が進んでいく…。勘弁してくれ…


あ、そうだ。


「成瀬。部活、今日から再開するか?」

「え?あたしはいいけど、天使さんは?」

「前に、毎日図書室にいるって聞いたし、多分来てると思う」

「ふーん。じゃあ行こうかな」


よし。これで部活と言う名目で、図書室に自然に行けるぞ。


「さて、俺はそろそろ部活に行こうかな。あまり遅いと、キャプテンに怒られそうだし」

「あ、ヤバ!私も今日から部活だった!早く行かなきゃ!」

「私も行こーっと。じゃあね。めぐ、れいちゃん、晃くん!」


「おお。じゃあな」

「じゃあまた月曜日」

「ええ、さようなら」


三人はあっという間に教室を出て行った。運動部組は大変だニャー。


「じゃあ俺達も行くとしますか。じゃあな鈴井」

「じゃあね、れい」

「またね。晃くん。恵さん」


教室を出て、図書室に向かう。その足は、自然と速くなる。一週間ぶりに天使さんと会えるんだ。めちゃくちゃ楽しみだ。


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