俺はどうも、女には弱いらしい
ブクマ数が急激に伸びて、とても驚いてる私です。ありがとうございます。
皆様がお楽しみいただけるよう、これからも頑張ります。
翌週月曜日、俺は相変わらず七時に学校にきている。
「おはよう、鈴井」
「おはよう、白峰くん」
いつも通り、鈴井と挨拶を交わす。敬語は堅苦しいので、普通に挨拶をしてみたら、何も言われなかったので、今はそうしている。もしかしてあれはただのジョークだったのか?
「うぃーっす、おはよう晃、委員長」
「おう、おはよう、健」
「おはよう、灰田くん」
ちなみに先週、健も鈴井に挨拶について怒られていた。『うぃーっす』は挨拶として認めない、だそうだ。…なんだけど、委員長呼びはスルーなのか。分からん奴だ。
「じゃあ朝練行って来るわ」
「おう、いってら」
健は朝練に行き、教室は俺と鈴井の二人となる。先週からの流れだ。
「ねえ、白峰くん。あなたは誰かに遊びに誘われたらどうするかしら?」
…質問の意図が見えねぇ…
「普通に対応するとしか…どうしたんだ急に」
「少し気になっただけよ。あなた友達に誘われることが少なそうだから」
「友達は少ないが、誘われることが少ないことはないぞ…」
むしろほぼ毎日誘われている。殆ど健だが…
「まさかお前…男にデートに誘われたとか!?」
こいつは見た目だけはマジでいいから可能性はあるだろう。
「そんな訳ないでしょう。告白はよくされるけど、流石にデートのお誘いはないわ。むしろいきなり誘ってくる男とか無理よ」
さりげなく自慢された気がする…やっぱりモテるのね…
「じゃあなんであんなこと聞くんだ?」
「あなたは逐一私の言動の意味を知らないと生きられない訳?独占欲と性欲が強いのね。いつか性犯罪を犯すんじゃないかしら」
「独占欲まではあまんじて受け入れるが、性欲に関しては意義を申し立てたい」
男子校生がいつも不埒なことを考えていると思ったら大間違いだ。図書室のあの人の顔とか、声の想像とか…自分で考えてて気持ち悪くなってきた…
「あなたはいつも、家に帰ってから、私の声と姿を思い出して致すのでしょう?下衆な男どもの考えなんてお見通しよ」
「お前…自分で言ってて恥ずかしくないのか?」
「恥ずかしいわ」
「じゃあなんで言うんだよ」
マジで考えてる事がわからん。
「あなたの頭の中では、私はもっと辱められているのでしょう?ならこの程度、なんとも思わないわ」
「なぜ俺が考えている前提…」
少なくともお前では絶対考えない。
たが、ずっと攻められてるのも癪にさわる。ならばこちらもカウンターを打たせてもらおう。
「じゃあお前はどうなんだ?俺と話してるって事は、お前もしてるんじゃないか?」
「そうね、金曜日はとても捗ったわ。いつもお世話になっているわ。ありがとう」
「………………は?」
「嘘よ」
ですよね〜〜〜〜〜〜!!!
やべぇ、マジで騙された。つーかマジで顔が熱い、というかめちゃくちゃ恥ずかしい。
なんなん!なんでそんなとんでもない嘘を何事もなくつけるん!?
さっきから鈴井の方を見れない。というか顔を上げられない。鈴井ってあんな悪女だったのか!?
ん?足音が聞こえる。というかこっちに近づいてきてね?…俺の近くで止まっ…
「…想像した?」
「〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
耳元でそんな事囁かれたら無理だって!なんで追い打ちをする!
「私を現実で辱めようなんて百年早いわ。知能の低いお猿さんは想像の中だけにしておきなさい」
上から声が聞こえる。今顔を起こせば顔を見る事が出来るだろうが、生憎、俺にそれができるほどの精神はなかった。
それから朝のHRまで、顔を上げる事ができなかった。
途中、仁美に
「大丈夫?体調悪いの?」
と、耳元で言われて更にダメージを受けたり、成瀬に
「なんで机に埋まってるの?意味わかんないんだけど」
と言われ、少し回復したりした。
鈴井玲華、絶対に許さん…
昼休み、二人きりで食べさせよう大作戦(今命名)を遂行し、時間を潰そうと、図書室へ向かっていると、
「ねぇ」
後ろから声をかけられた。声の主は成瀬だ。
「だから俺はお前の姉ちゃんじゃねえって。何の用だ」
「あんた、最近黒井くんに余計な事してるみたいね。そういうのやめてくれない?」
「なんでお前に言われなきゃいけないんだ?勝手だろ」
「こっちにも都合があんのよ。だからやめてって言ってんの」
こっちの都合?あぁ、そういう事か。
「なるほどな。お前、勝樹の事が好きなのか」
そういうと、成瀬の顔がどんどん赤くなっていく。あ、こっちに近づいてきた。なにするのかしら。
「ふ ざ け ん な 〜〜〜〜〜!!!!!」
ドスッ!!
「うっ!…」
成瀬の振りかぶった拳が、深々と俺の鳩尾に突き刺さる。俺はその場で床に蹲る。
「ほんっとサイテー!ムカつく!死ねば!」
上から罵倒が聞こえる。言い返そうと顔をあげると、あるものが目に入った。
「えーっと、成瀬。言いにくいんだが」
「なによ、早く言いなさいよ」
本人からの許可もいただいたし、言っても大丈夫だよね!
「お前さ、そこに立ってもの言うのはいいんだけど」
「なによ、なんか問題ある?」
「…見えてるぞ…」
「!!!!」
みるみるうちに真っ赤になっていく成瀬。そして、足を振りかぶった。
あ…俺死んだわ…
「死ね!!変態!!!」
「ぐふぅっ!!!」
再び鳩尾に衝撃が走る。
「信じらんない!変態!クズ!ゴミ!もう死ね!さっさと死ね!今すぐ死ね!」
物凄い勢いで俺を罵倒する成瀬。これはこの程度で済んで良かったと考えるべきか?
「金輪際あたしに顔を見せないで!」
そう言い残して成瀬は立ち去って行った。このあと教室で顔を合わせるんですが…
薄れゆく意識の中、俺はさっきの光景を思い出す。
…白…だったな…超意外…だ………
鈴井さんは悪女です。でも、可愛いから許せちゃう。