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幼馴染に好かれる、なんてのは幻想です  作者: 卯佐美 佳
第二章 俺はどうあがいても目立ってしまうらしい
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俺はまた、何かを間違えたのかもしれない

「仁美ちゃんが、帰ってこないの!!」


仁美が帰ってこない?どういう事だ。何かトラブルに?

「そ、それってどういう事?」

荒川が女子に尋ねる。

「仁美ちゃん、昼休憩中にどっか行ったきり帰ってこなくて。それで、心配で…」

「晃くん。あなたは何か知らない?」

昼休憩中、仁美とろくに話していないのに、知っている訳がない。いや…そういえば、仁美の奴勝樹の所に行くとか言ってたような…

「その顔、何か心当たりがあるようね」

「ああ、まあな」

「申し訳ないのだけれど、私じゃ力になれそうにないわ。任せられるかしら?」

「分かった。お前らは競技の方に集中してくれ。仁美は俺一人で探す」

「待って。あたしたちも手伝う。やっぱり心配だし」

「闇雲に探したって見つからないと思うぞ。それに、応援合戦まで時間がない。俺一人で探すなら欠員は二人で済むが、それ以上増やすのは避けたい」

「でも、それじゃ晃くんに負担が…」

「心配するなって。心当たりあるって言ったろ。俺なら大丈夫だ」

「……分かった。あんたに任せる。その代わり、絶対見つけて来て」

「晃くん、くれぐれも、無茶はしないようにね」

「ああ、直ぐに見つけて戻ってくるさ。じゃあ行ってくる」

そう言い残して、俺は走り出す。

待ってろ仁美、直ぐに見つけてやるからな。



俺は一年D組のテントに来ている。恐らく仁美は、勝樹の所に来ていたと思ったからだ。

俺は近くにいた女子に声を掛ける。

「あ、ごめん。かつ…黒井呼んでもらえる?」

「え?く、黒井くんですか?ど、どういったご用件で」

「あ、いや、ちょっとな」

要件を言うのは憚られた。

「そ、そうですか。ちょ、ちょっとお、お待ちください」

何故俺はこんなにも怯えられているのだろうか。心当たりが全くない。

数刻後、勝樹がやって来た。

「よう、何の用だ?」

「仁美がどこにいるか知ってるか?」

「…仁美がどうかしたのか?」

「いや知らないならいい。変な事聞いたな」

「待て。詳しく聞かせろ」

「別に、対したことじゃねーよ。気にするな」

「お前がもし俺の立場だったら、ここで大人しく引き下がるか?」

俺は勝樹の気迫に根負けし、事の顛末を話す。

「なるほどな。昼休憩から見ていないと」

「あいつ、お前の所に行くとか言って走ってったんだ。俺が知ってるのはそこまで」

「あ?俺の所には来てないぞ」

「…………は?」

「となると、あいつはお前に嘘をついて、失踪したって事になるな」

「何だよそれ…。意味わかんねえ…」

「うだうだ考えてても仕方ねえ。探しに行くぞ」

「すまねえな。お前に迷惑かけて」

「お前が謝る事じゃねーよ。見つけたら、こっぴどく叱ってやろうぜ」

「…そうだな。さっさと見つけよう」

そうして、俺らは探しに出た。

グラウンド、各クラスのテント、保健室、校舎内。ありとあらゆる所を探したが一向に見つからない。

「どうだ?手掛かりは?」

「全くない。目撃情報もゼロだ」

「どこ行きやがったんだよ、あいつ…」

「もう一度、聞き込みしてくる。もしかしたら、見かけた奴もいるかもしれないしな」

そう言って、勝樹は走って行った。

『まもなく、応援合戦を行います。生徒の皆さんは、各クラスのテントに集合してください』

クソ…もう応援合戦が始まるのかよ。始まってしまったら、聞き込みが出来なくなってしまう。ますます捜索が難航する事になる。

「あれ?晃くんじゃん。なーにしてるの?応援合戦始まっちゃうよ」

ふと、とびきり明るい声で話し掛けられる。水無月先輩だ。

「いえ、ちょっと人探しを」

「人探し?誰を探してるの?」

俺は言うべきか迷う。この人に言う事が果たして、正しい選択なのか。いや、迷ってる場合じゃないな。今優先すべきは仁美の事だ。

「仁美、うちのクラスの新津を探しています」

「仁美ちゃん?ああ、あのポニテの可愛い子ね。見たよ」

「見たんですか!?いつ!?どこで!?」

「ちょ!晃くん、なんか怖いよ。どしたの?」

「すいません。少し事を急いてしまいました」

「いや、別にいいんだけどね。そんなに大事なんだ、仁美ちゃんの事」

「あたり、前ですよ…」

身内以外では、一番付き合いの長い奴だ。大事じゃない訳がない。

「それで、仁美はどこに!?」

「あ、それなんだけど、私は見たってだけで、どこにいるかは分からないんだ」

「それでもいいです。とにかく、何でもいいので情報を!」

「そうだね〜。昼休憩のはじめに、どこかに走って行くのを見たんだよね」

「そうですか。ありがとうございます」

つまり、俺と話した直後に失踪したと断定できるという事か。直接的な手掛かりにはならないが、ないよりは幾分マシだ。

俺は探しに行こうとすると、右手を掴まれる。

「話は最後まで聞いて。仁美ちゃんなんだけどね。泣いてたよ」

泣いてた?何故?益々疑問が深まる。

だが、仁美がどこにいるかは、分かった。仁美は確実にあそこにいる。

「どうやら何か分かったみたいだね」

「おかげ様で。ありがとうございます」

「ううん。全然。力になれたみたいで何よりだよ〜。それじゃね〜」

先輩は、手をひらひら振りながら去って行った。


俺には、何故仁美が泣いているかは分からない。

だがあいつは、中学時代、何かあると決まってある場所に行く。それはきっと、高校生になった今でも変わらない。

ならば俺はそこへ行こう。それが俺にできる、最後の事だ。

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