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幼馴染に好かれる、なんてのは幻想です  作者: 卯佐美 佳
第二章 俺はどうあがいても目立ってしまうらしい
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健曰く、飯は大勢で食べた方が美味いらしい

健は、井之頭さんとは違う持論を持っているようです。

翌日昼休み、本来なら四人で昼食のはずだが、俺と健しかいなかった。

「健。平沢と相坂は?」

「二人なら桐島と練習するってグラウンドに行ったぞ」

「へー、それは熱心なことで」

昼休みも自主的に練習するほどとは、桐島もあの二人とは大分打ち解けたようだ。

「じゃあ今日は俺とお前の二人か。久しぶりだな」

「そうだな。ようやく、二人っきりに、なれたな…」

「やっぱり一人で食うわ…」

最近、健のホモ化がやばい気がする。

「冗談だ。早く食おうぜ」

「ああ、俺も腹減ったしな」

「あれ?今日は二人なの?」

突然声を掛けられた。声の主は仁美だった。

「ん?ああ。他の二人は今リレーの練習をしてるらしい」

「へー、そうなんだ」

なんだその意味ありげな反応は。

「じゃあさ!私と一緒にご飯食べよ!」

「はぁ……はぁ?」

何がじゃあなのかが分からないんだが…

「最近あんまり話せてなかったでしょ?たまには晃と話したいし」

「いや、俺は構わないんだけど…。勝樹はいいのか?」

いつも二人で食べてたはずだ。

「勝樹もリレーの練習があるからって。だから今日は友達と食べようと思ってたんだけど」

なるほど。あいつも体育祭ガチでやってるんだな。

「まあいいじゃないか晃!俺は新津さんがいてもいいぜ!飯は大勢で食った方が美味いからな!」

「まあお前がそう言うならいいが…」

「じゃあ決まり!」

そう言って、仁美は俺の隣に座る。だから何故皆俺の隣に…

「あれ?晃くんと灰田くんと、仁美ちゃん?珍しい組み合わせだね」

声を掛けてきたのは荒川だ。横には成瀬もいる。

「ああ、お互い、いつも一緒の奴がリレーの練習に行ってるからな。残された者同士、仲良くやってるって訳だ」

「へー、じゃあ、私達とも一緒に食べない?いいよね?」

何がじゃあなのか分からないんだよなぁ…。さっきから脈絡がなさすぎる。

「おう!問題ないぜ!飯は大勢で食った方が美味いからな!」

「うん!ありがとー!ほら、めぐはここ」

「ちょ、ほの!押さないで!」

そう言って成瀬を座らせる荒川。

なんか疲れそうなメンバーだなぁ…

「あ、あと、もう一人呼んでもいい?」

「ああ、別にいいぞ。あと一人くらい増えたってそんなに変わらないしな」

余程の奴で無い限りは、今の状況はそう変わらないだろう。余程の奴で無い限りは。

「私は一人で食べる方が好きなのだけど」

「たまにはいいでしょ?ほら、晃くんもいるよ」

「あの男がいるからなんだと言うの…」

来ちゃったよ余程の奴…。やっぱり拒否しとけば良かったかな〜…

「ほの〜。誰連れて来たの〜?」

成瀬が後ろを向くと、荒川に連れられて来た鈴井と目が合う。

「あら成瀬さん。あなたもいたのね。男性との食事は苦手だと思っていたのだけど」

「鈴井さんこそ、大勢で食べるのは苦手なんじゃないの?」

何この二人。会って早々、めっちゃ敵意むき出しなんですけど…

「ねえ晃くん。私もご一緒してもいいかしら?」

鈴井さん?あなた成瀬さんと仲がよろしくないのですよね?何故ご一緒しようという事に?

しかし、ここで鈴井を拒否すれば、なんかやばい事になる予感がする。

「…ああ、いいよ」

「そう、ありがとう」

鈴井はそう言って、成瀬の隣に座る。いや何故そこに座るし…

「じゃあ食べよっか!」

「おう、早く食おうぜ!腹減って仕方ねぇ」

荒川と健の言葉を皮切りに、皆それぞれ持ち寄った物を広げる。

「へー、晃はお弁当なんだ」

「ああ、パンとかコンビニ弁当とかだと栄養が偏るからな」

「学生のうちから気を付けてるのはお前くらいしかいないぞ」

「うるせー、いいんだよ、安上がりだしな」

一食辺り二百円くらいだから、パンとかより大分安上がりだ。

「え?あんた、自分で作ってるの?」

「嘘でしょ…?あなたが料理出来るなんて…。怪現象って実在するのね…」

二人ともかなり失礼ですよ。何より鈴井の驚き方には悪意を感じる。

「一人暮らしだからな。多少は料理出来んと生きていけんから」

「へー、一人暮らしなんだ。やっぱり大変?」

「慣れればそうでもないな。むしろ気を使わない分楽だ」

「そんなもんなんだ。私も一人暮らししてみたいな〜」

女子の一人暮らしは大変な気がするが…。まあ俺が心配する事じゃないか。

「晃が料理出来るなんて…。あたしの計画が…」

「成瀬さん、あなたも同じ事を考えていた様ね…。お互い残念ね…」

鈴井と成瀬が何やら話をしている。さっきまで敵対してたのに、意気投合が早いな。

「そういや皆は料理しないのか?」

コンビニパンを頬張りながら健が言う。

「私はするわ。将来の為にしておいて損はないもの」

「あたしもする。このお弁当もあたしが作ったの」

「あはは〜、皆するんだ〜…。私はしないかな…」

「私も料理しない、というより出来ない…」

「おにぎりすらまともに握れないもんな」

「ちょ!もう忘れて!」

あの味は忘れられないなぁ…。おにぎりであそこまで不味く作れるのはある意味才能だと思う。

「そうだ!めぐ!れいちゃん!今度さ、料理教えて!私も料理上手くなりたいんだよね」

「ま、まあいいけど…」

「私、あまり人に教えるのは得意じゃないのだけど…」

「大丈夫大丈夫。頑張って手順覚えるから。それに晃くんもいるし」

「ちょっと待て。俺は教えるなんて一言も言ってないぞ」

「教えてくれないの?」

そうやって上目遣いで言われてもな…

「ねぇ晃、断れると思ってる?」

「拒否権など無いと思いなさい?」

「…分かりました…」

二人とも怖えよ…。どんだけ教えるの苦手なんだよ…

「良かった!仁美ちゃんも一緒に教わろ!」

「え…?あ、うん。私も教わりたい!」

マジかよ…。仁美に料理を教えるって、馬に念仏の意味を理解させるのと同じくらい難しいぞ…

それから俺達六人は、体育祭や、その後の定期試験、そして文化祭などの話をした。

暫く話していると、喉が渇いて来た。

「すまん、飲み物買ってくる」

「あ、私も行く!」

そう言って、仁美もついて来た。

「ねぇ晃。いつの間に皆と仲良くなったの?」

自販機に行く途中、仁美が話しかけてきた。

「いつの間に?俺もよく分からんな」

確かに、二学期に入ってから、やたらと女子との交流が多い気がする。

「なんかさ、ちょっと前まで晃の周りには女の子なんていなかったのに、急にあんないっぱい可愛い子が来て…」

何故落ち込む…。別に女友達が少しくらい出来たっていいじゃないか…

「何言ってんだよ。俺はカッコいいんだから、女子が集まってくるのは当たり前だろ」

「あはは!何それ!」

どうやら俺の冗談が効いた様で、仁美は笑った。

「ほんと…何それ…」

そして、また直ぐに落ち込んでしまった。

それから仁美は、俺が話しかけても、簡単な返事しか返さなかった。

ほんと…何だよそれ…

どうでもいいですが、私は無駄話が大好きです。なので、後書きなどに、このようにどうでもいい事をよく書きますが、生暖かい目で見守ってやって下さい。

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