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幼馴染に好かれる、なんてのは幻想です  作者: 卯佐美 佳
第二章 俺はどうあがいても目立ってしまうらしい
31/70

ちょっとオリンピック目指してみるわ

最近タイトル詐欺してる気がします。幼馴染全然出てこねぇ…

「私とデートしてくれない?」


「お断りします」


「返事早いな〜」

俺はノータイムで返事をした。

「少しくらい考えてもいいんじゃない?」

「いや、絶対めんどくさい内容だって分かってたんで。どんな内容でも断るつもりでした」

この人の事だ。下手をすれば、女の子になってとか普通に言ってきそうまである。

「えーっと、香織ちゃん。なんで白峰くんをデートに?」

確かに気になるな。流石天使さん、そこを突くとは。やはり天才か?あ、天使か。

「女の子が男の子をデートに誘う理由って一つしかないでしょ?」

可愛く首を傾げる水無月先輩。あざといと思っても、可愛くないとはならないからたちが悪い。

「と、いう訳で、考え直してくれた?」

「いや絶対お断りします」

「えー。こんな美人とデート出来る機会なんて、今後ないと思うよ?」

「色々と弊害が起こりそうなんで嫌ですって」

何故この人は執拗に食い下がるのだろう。

「じゃあさ、今度の体育祭で、うちのクラスが晃くんのクラスに勝てたらいい?」

うちの体育祭は、三学年×六クラスの計十八クラスが一斉に競い合う。各競技に得点が設けられており、最も得点の高いクラスが優勝となる。

先輩は、それを勝負持ち出して、俺を煽ろうという魂胆だろう。

だが俺は、そんな単純ではない。

「条件つければいいと思ってるかもしれませんが、俺に得ないんでお断りしますからね」

「えー。男らしくない〜」

「男らしくない人とデートはしたくないですよね?ならこの話はなかった事に」

「それとこれとは話は別」

ですよね〜。言いくるめられると思ったが、やはり一筋縄ではいかないようだ。

「じゃあさ、私が負けたら、晃くんの言う事何でも聞くって事でいい?」

「ん?今何でもって?」

何でもって事は何でもって事ですよね?

「その反応、この勝負に乗るって事でいいのかな?」

「い、いや、それとこれとは…」

「いいよね?」

「いやだからその…」

「いいよね?」

「…はい…」

押し切られてしまった。反応した時点で俺の負けだったのか…

「晃、ちょっとこっち来て」

成瀬が無表情で手招きしている。めちゃくちゃ怖い…

行かない訳にもいかないので仕方なく成瀬の元に向かう。痛いのは嫌だな〜。

すると、成瀬は俺の袖を掴み俺をしゃがませ、机の下、つまり水無月先輩からの死角に誘導する。成瀬もしゃがんだため、俺達は二人は、水無月先輩からは見られない体制になる。先輩に聞かれたくない事でもあるのだろうか。

「あんたさ、香織さんから離れたいんでしょ?」

「ま、まあ、そうだな」

あの人なに考えてるか分からないから、なるべく一緒にはいたくないんだよなぁ。

「じゃあさ、交渉はあたしに任せてくれない?悪い様にはしないから」

「…大丈夫なのか?」

「まあ、何とかする」

「二人は何してるのかな〜?もしかしてチュウ?」

…何言ってんだあの人は…

「ち、違いますから!こんな奴となんて絶対!」

成瀬は勢い良く立ち上がり否定する。あのね、俺今しゃがんでるの。目の前でスカートが揺れるの。後は…分かるよね?まあ見えなかったんですけど。

「そうかな〜、晃くん、中々カッコいいと思うけど」

「だとしてもないです!絶対!」

成瀬俺の事嫌い過ぎでしょ。どんだけ俺を傷つけるの?

俺は自分の席に戻る。

「香織さん、さっき何でも言う事を聞くって言いましたよね」

「うん、私に出来る事なら何でもね。エッチなお願いでも全然いいよ〜」

やべぇなこの人。俺がガチもんの変態だったらどうするつもりなんだ…

「じゃあ晃が今後一切近づかないでと言っても聞くんですか?」

「それはちょっと聞けないかな〜。やっぱり晃くんとは仲良くなりたいしね」

何故この人執拗に俺に執着するんだ…まさかこの人…!

「それは…晃の事が好きって事ですか?」

成瀬が核心を突く質問をする。どうなんだ?その通りだったら嬉しい!

「うーん、好きとはちょっと違うかな。興味があるって感じ?」

なんだ…違うのか…。ちょっと期待しちゃった俺が馬鹿だったよ…

「し、白峰くん。元気だしてください!白峰くんの事が好きな人は絶対いますから!」

天使さんが慰めてくれる。うん、元気でた。

そんな俺の様子は二人には目に入ってないようで、話は続いている。

「じゃあ香織さんは晃の何に興味があるんですか?」

「うーん、全部かな。晃くん絶対面白いし」

俺の女子からのいい評価って面白いしかない気がする。

「面白いって…。確かにその通りだと思いますけど、それだけですか?」

「それ以上は必要?恵ちゃんも、晃くんが不思議だと思わない?」

「言ってる意味がよく分かんないです…」

「うーん、そっか。恵ちゃんなら分かると思ったんだけどな〜」

先輩は何を言っているんだ。全く分からん。

「まあいいや。恵ちゃんが晃くんをどう思ってるかがよく分かったし」

「…………」

成瀬は何も言わない。

「聞きたい事はそれだけかな?」

「…もうありません。ですが、香織さんにお願いがあります」

「んー?何かな〜?」

「晃が勝った時の命令、あたしに決めさせて下さい」

「ふーん…。晃くんはそれでいいの?」

「別にいいですよ。お願いしたい事もありませんし」

冷静になって考えてみると、下手な事要求したら、俺の命が危ない。多分成瀬や鈴井に殺される。ここは命令権を破棄するのが吉だろう。

「へー。恵ちゃん、上手く言いくるめたね」

「別に、大した事はしてませんよ」

向かい合う二人の間に火花が見える気がする。女の争いって怖え…

「まあ晃くんがいいなら私も反対する理由ないかな。それで?今その事を持ち出すんだから、命令は決まってるんでしょ?」

「はい、決まってます」

決めるの早いな。いつの間に決めたんだ?

成瀬は言葉を続ける。


「今後、あたしの見てない所で、晃と会うのはやめて下さい」


その命令は、俺の要求を最大限考慮したものだった。問題は、水無月先輩がそれに乗るかどうかだが…

「ふーん…。なるほどね〜」

その何かを納得した様な笑みは、いつか見たものと全く同じで、俺はそれが酷く恐ろしかった。

「いいよ、その命令。面白いし!」

すぐにいつもの屈託のない笑顔になり、成瀬の命令を受け入れる。マジかよ…

「でもそれじゃあ恵ちゃんにデメリットがないなぁ…」

「いや、成瀬には何もなくてもいいでしょ」

成瀬はこの勝負には本来無関係だ。リスクを負う必要はない。

だが…

「分かりました。簡単な事だったら聞きますよ」

成瀬が乗ってしまった。なんでよ…

「うーん、そうだね〜。じゃあ恵ちゃん、今度私のする質問にちゃんと答えるって事でいい?」

「まあそれくらいなら…」

「交渉成立ね!それじゃあ晃くん、恵ちゃん!体育祭、楽しみにしてるから!」

そう言って、水無月先輩は図書室を出て行った。そして、静寂に包まれる。ほんと、嵐みたいな人だったな…

「なあ成瀬、良かったのか?」

「…何が?」

「だってよ、お前は本当は関係ないのに勝負に巻き込んじまってさ」

「ああ、別に。そんな気にしてないから」

気にしてないって言われてもな…

「それに、あたしも無関係って訳じゃ無いみたいだし…」

成瀬が言った言葉の意味は、俺には理解できなかった。

「あの…白峰くん。一つ聞いていいですか?」

天使さんが小さく手を挙げて尋ねてくる。手を挙げるってこんなにも癒しを与えてくれる行為だったんですね。

「はい、どうぞ」

「…白峰くんは、なんであそこまで香織ちゃんのお誘いを断っていたんですか?」

「あ、それあたしも気になってた。なんで避けようとしてるの?」

確かに、二人からすれば至極当然の疑問だろう。

「単純に、怖いから、ですかね」

「怖いから…ですか?」

天使さんは納得いってないのか、小首をかしげている。凄まじい破壊力だ…。一撃で俺のHPを瀕死寸前まで削ってしまった。

納得いってないのは成瀬も同じ様で、首をかしげていた。あ、残りのHPも削り切られたわ。

冗談はさておき、ちゃんと説明しよう。

「水無月先輩って、何考えてるか分からないじゃないですか。そしてこっちの事を常に見透かしている様な気がして。それがなんとなく怖いんですよ」

「…なるほどね。あたしも少し分かるかも」

俺は多分、本心を探られる事を恐れている。俺の心の底、俺が封印した物を。だから俺はあの人を避ける。

水無月 香織。たった二回の接触で、俺にここまでの恐怖と警戒心を植え付けるとは…。

「まあ勝てば離れられるんだし、頑張ろ」

「ああ、そうだな」

しかしまあ、今回の体育祭は、あんまりモチベーションが上がらなかったしいいカンフル剤と思えばいいか。

「お二人とも、頑張ってくださいね!」

あ、もうやる気MAXだわ。なんだったら東京オリンピック目指せちゃうわ。よーし、晃くん頑張っちゃうぞ〜!

「なんかあんた見てると負けたくなってくるんだけど」

負けたらあなたも被害被るんですが、その辺分かってます?

執筆ペースが落ちてきています。そろそろ毎日投稿しんどいかもです。まあ二章終わるまでは、頑張って続けます。そこからは…落ちてもYURUSHITE☆

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