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幼馴染に好かれる、なんてのは幻想です  作者: 卯佐美 佳
第二章 俺はどうあがいても目立ってしまうらしい
30/70

やはり先輩は残念だと思う

あの方が本格参入です。とにかく荒らします。

あの後、何とか成瀬をなだめ怒りを沈めて貰い、今は放課後、図書室で部活中なのだが…

「………」

「…つまんない…」

如何せんやることが無い。成瀬なんてさっきから、つまんないしか言わない機械みたいな感じになってるし。

「なんか面白い話してよ」

「えげつねぇ振りだな。俺は芸人じゃねぇし、スベらない話なんてそんなないぞ」

「なんかあるでしょ。ちょっとした笑い話とか」

「じゃあ俺の知り合いのお兄さんが、大学受験をした話をしようか」

「あ、オチ見えたからいいや」

「えぇ…」

まだ話の主題を言っただけだぞ…

ちなみにこの話のオチは、お兄さんが受験に失敗して、スベらない話なのに滑ってるやないか〜い!ってのだ。うん、そりゃオチ見えるわ。

「そういう成瀬はなんか無いのか?」

人を否定するならまずは自分からだ。

「じゃあ、恋バナでもする?」

「やめてくれ。血反吐を吐きそうだ」

「だと思った」

なんで女子は恋バナしたがるん?他人のノロケとか割とガチでキツくない?

「つーかなんでよりによって恋バナなんだよ。他にも話題あるだろ」

「女子の間で話すことって言ったら、恋バナと他の子の悪口くらいしかないし」

「何それ怖ぁ…」

普通に陰口叩きまくってるとか、恐怖でしかない。俺もよく言われてたんだろうなぁ。

「あ、あたしは基本的には恋バナしか参加しないから。陰口とかは言ってないから安心して」

「何を安心すればいいんですか…」

どの辺に安心出来る要素があるんですかねぇ…

「あの…恋バナってなんですか?」

いつの間にか天使さんが此方に来ていた。どうやら天使さんは恋バナをした事が無いようだ。

「え、えっと…とりあえず座ってください」

成瀬が自分の隣の椅子を引き、天使さんに座るよう促す。天使さんは「ありがとうございます」と笑顔で言って座る。うん、尊い。

「それで、恋バナとは、どういったものなのでしょうか?」

「えーっと、好きな人や付き合ってる人の話ですね」

「どういった事を話されるんですか?」

「例えば、『告白したいんだけどアドバイス頂戴!』とか、『最近彼氏と上手く言ってないんだよね』とか、そういう話ですね」

「へー、なんか素敵ですね」

一番素敵なのはあなたですよ。

まあ実際、俺も恋バナなるものはした事なかったので、多少なりとも参考にはなったかな。多分する機会ないと思うが…

「ん?でもお前、男苦手だったよな。楽しいのか?」

「話をするだけなら割と楽しいし、どういう男がいるかってのも聞けるからリハビリにもなるの。実際黒井くんの事もそれで聞いたしね」

なるほどね。成瀬なりの努力の一環でもあったのか。

「成瀬さんからはお話はしないのですか?」

「あたしから?うーん、最近はたまにするかなぁ…」

「え?お前から話す事あるの?」

「ちょ、ひどくない?あたしから話す事だってあるし」

「だってお前、男苦手じゃん。話題あるのか?」

「ま、まあ、そうだけど…」

そう言って、成瀬は黙ってしまった。余計な事言ったかなぁ…

すると、天使さんが「あっ!」と何かに気付いた様に言った。ちょっと天使〜(ちょっと男子〜風)、一つ一つの行動が可愛過ぎんよ〜。

「白峰くんの事ですか?」

「な!なんでそこでこいつの話が出てくるんですか!」

「成瀬さんと仲のいい男の子っていうと、やっぱり白峰くんかなって思いまして」

「な、なな!無いです無いです!こんなヘラヘラしてて、地味で暗くて、それで変態な奴!絶対ありえないです!」

そこまで否定する必要ないじゃないかよぅ…。あと俺はノーマルだ。変態じゃない。

「そうでしょうか。白峰くんは、優しくて頼り甲斐があって、凄くカッコいい男の子だと思いますよ?」

「だとしても!こいつだけは絶対ないですから!」

それは俺そのものの存在を否定しているという事かしら。もうね…泣いていいかな…?

というか天使さんが俺の事カッコいいって!カッコいいって!!もうね…泣いていいかな…?

すると突然、ドアが開く音がした。図書室に来客とか珍しいな。

足音は此方に近づいてくる。そして、本棚の影から姿を表す。

「あ!晃くん!」

「あ、ども」

来客者は水無月先輩だった。この人にはあまり会いたくないんだよなぁ…

水無月先輩は成瀬の方を見ると、

「あっ!!!」

「げっ!」

さっきの五割増しの明るい声で反応した。というか成瀬、女の子が『げっ!』とか言っちゃ駄目だろ。

「愛しのマイハニー恵ちゃーーーん!!」

「キャッ!!!」

そう言って、水無月先輩は成瀬に抱きつく。羨まけしからん!

「うーん!お肌スベスベ、柔らかくていい匂いするし、いつ抱いても最高!」

「ちょ、ちょっと離れてくださいよ、香織さん」

あのー、女子の皆さん?そういう事は男子のいないところでやって下さらない?私、どう反応したら分からないのよ。眼福だけどね。

しかし、水無月先輩は夢見がちな乙女成分だけでなく、百合成分もあったのか。つくづく残念な人だ。

「ん?今晃くん、今羨ましいとか思ったでしょ」

「お、思ってないですよ」

「またまた〜、強がっちゃって」

はい!本当は思ってます!強がってます!いやね、成瀬に抱きついている水無月先輩も、水無月先輩に抱きつかれてる成瀬も両方羨ましい。男子ならそう思うでしょ!?

「晃くんにもしてあげよっか?」

「!!!!?」(ガタッ!)

しまった!驚きすぎて机蹴った!

「あっはは!晃くん分っかりやす〜!」

いや男なら誰でもこんな反応するでしょ。するよね?

「ねぇ晃。あたしさ、今すっごいイラってきてるんだけど」

成瀬が機嫌悪いのは、水無月先輩のせいだと信じたい。

「か、香織ちゃん。きょ、今日はなんの用があって来たんですか?」

「その声は桜ちゃん!?私好みの美女が二人も!ここは楽園か!!」

「あ、あはは〜」

水無月先輩の暴走には、天使さんも苦笑いしかないようだ。この人すげぇな。

「水無月先輩、座ってください。そろそろ本題に入りたいんで」

「はーい、続きは話が終わってからね。恵ちゃん」

「いや続きとかないんで」

そうして、水無月先輩は俺の隣の席に座る。何故?

「今日はね、晃くんにお願いがあって来たんだよね」

「その前に聞きたい事があるんですが」

成瀬が口を挟む。やっぱり気付いちゃったか〜。

「ん?なにかな?」

「晃とはどういった関係で?」

うん、やっぱり聞くよね。だって俺と先輩じゃ接点見当たらないし。

「ふふふ〜、人には言えない関係かな〜」

「普通にあなたのバイト先でたまたま会っただけでしょうが…」

ただの知り合い以外の何物でもない。

「連れないな〜晃くんは」

「いや事実なんで」

「そんなんじゃ女の子にモテないゾ☆」

「普通の女の子は男を誑かす発言はしないと思いますよ」

「それはどうかな〜?女の子は意外とやり手だよ」

怖いな〜。最近女子の黒いとこばかり聞いてる気がする。女性不信になりそう。

「大体二人の関係は分かりました。晃への尋問は後でするとします」

あなたの場合、尋問で終わりそうにないんですが…

「じゃあ本題に入っていいかな?」

「あ、どうぞ」

成瀬の許可も降りたことで、ようやく本題に入る。

「それじゃあ晃くん」

水無月先輩は、俺の方を向き真剣な顔で話す。嫌な予感。


「私とデートしてくれない?」

天使さんの人気が凄い気がします。

いつか、天使さんの、天使さんによる、天使さんの為の番外編を書こうと思っているので、天使さん推しの方。お楽しみに。

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