鈴井が思ったよりガチ勢だったんだが…
鈴井さんのゲーム名である『べるりん』の由来とは
鈴は英語で『ベル』
鈴は『リン』と音がする
合わせて『べるりん』です。深い意味は一切ありません。
普段クールな鈴井さんの可愛い一面を表したくてこの名前にしました。やっぱりギャップ萌えっていいよね!
ちなみに、晃の『ふしび』ですが
しらみね→しらぬい→不知火→ふしび
という感じです。少々強引ですが、ゲーム名なので多少はね?
健の『けんけん』?まんまです。
「そういえば、あなた達は二人で何をしているのかしら?」
やっぱりそこ突っ込んじゃうよね〜。俺も鈴井の立場だったら同じ事聞くし。
「もしかして…デー」
「違うから!白峰くんは私に付き合ってもらってるだけで、デートとかじゃないから!」
そんなに全力で否定しなくてもいいじゃないかよぅ…
「そ、そうよね。そこの男がまともな男女交際なんて出来るわけないものね」
「そうそう!白峰くんに彼女とか出来るくらいなら少子化なんてあるわけないしね!」
あのー、君達?ナチュラルに私を傷つけるのやめていただけません?仁美といい、俺への評価低過ぎません?
「お前は何しに来たんだ?」
これ以上俺の傷を抉られる前に話を逸らす。
「えっと…それは…」
お前さっきからそれしか言ってない事気付いてる?
「まあまあ、鈴井さんにも事情があると思うし、深く聞くのは野暮だよ!」
荒川が鈴井をフォローする。さほど深く聞いてないんですがね…
「それよりさ、鈴井さん、これから暇?」
「え、ええ、特に予定は無いわ」
ちょ、それ言ったらおまっ…
「じゃさ、私達と遊ばない?」
「…………はい?」
やっぱりそうなるよね〜。鈴井さん、ご愁傷様です。
「鈴井さん暇なんでしょ?丁度いいじゃん」
「何が丁度いいのか分からないのだけれど」
「でも予定ないんでしょ?」
「それは、そうだけれど…」
鈴井は横目でチラッと俺を見る。助けを求められてもねぇ…
「嫌だったら嫌でいいんだぞ。別に強制するつもりないし。お前がしたいようにすればいい」
「そ、そう。それならご一緒させてもらうわ」
えー…。そこ普通断る流れじゃん…。なんで一緒に遊ぶ事になるのかしら…
「決まり!じゃあ何やる?」
三人で出来るゲームか…。二人用が多いからなぁ…
「あれ面白そう!」
荒川が指差したのは、二人用のガンシューティングゲームだ。二人はゾンビとか怖い物とか大丈夫なのかしら…
「いいんじゃないかしら。それで、誰がやるかだけど」
そう言いながら、鈴井は俺達二人の顔を伺う。
鈴井さん?興味ない様な風を装ってますけど、目がやりたいって言ってますからね?目は口ほどに物を言う所を初めて見た。
「俺はいいよ。一先ず二人でやってみたらどうだ」
「え?いいの?ありがとー!」
「そ、そうね、折角の提案だし、先にやらせてもらうわね」
そう言って、二人は俺に荷物を預け、臨戦体制に入る。お手並み拝見といきますか。
「あー、もうっ!」
ものの二分で、荒川のライフはなくなってしまった。下手過ぎません?
「悔しいからもう一回!」
そう言って、コンテニューするが、再び、数分でやられてしまった。下手だなぁ…
荒川が横でやられている間、鈴井は荒川に見向きもせず眈々とゾンビを倒していた。集中し過ぎだろ…
「なんで!?鈴井さんはあんなに倒してるのに〜」
「お前が下手なだけじゃないか?」
「じゃあ白峰くんは上手いの?」
「やった事ないから分からんな」
「何それ。じゃあ私より下手かもしれないって事?」
「そうかもな。まあ代わってくれ」
俺がそう言うと、荒川はどうぞと譲る。さて、俺の実力はどんなもんかね。
「え、すご…。なんでそんなにできんの…?」
荒川の呟きが聞こえる。
「FPSみたいなものだからな。その技術を応用して、あとは慣れれば余裕だ」
「そんなもんなの?ところでえふぴーえすって?」
「そう言うゲームがあるって事だけ覚えてくれればいいよ」
「そ、そう…。えふぴーえす…」
また荒川が思考モードに入ってしまった。まあそのうち戻るだろ。
そんな事より鈴井だ。さっきからライフが一も削られていない。このゲームやり込みすぎだろ…
ゲームは終盤に差し掛かり、ラスボス前のちょっとしたストーリーに入る。
「…ふう。なかなかやるわね」
鈴井は、深呼吸しながら俺の方を向く。銃を持ちながら振り向く仕草は、とてもカッコよかった。美女に抱く感情じゃないよなこれ…
「まあな、お前ほどじゃないが」
俺の方は、ゾンビ達の猛攻により、ライフを一削られてしまった。
「初めてなのでしょう?なら相当上手いわ」
「似たようなゲームやってるからな。それに慣れてるだけだ」
僅かな時間だが、俺達は言葉を交わす。それは、ドラマとかである、戦場で友情が芽生えるワンシーンみたいだった。
「まあ、スコアでは絶対に負けないわ。私に勝てると思わないで頂戴」
訂正、彼女にとっては俺も敵だったようです。共闘しようとかあるでしょ?普通。
『おい!あのゲーム、ラスボスまで行った奴がいるみたいだぞ!』
『マジかよ!スゲー!』
『しかもノーミス?ヤバくね!?』
いつの間にか、周りには多くのギャラリーが集まって来ていた。緊張するなぁ。
ストーリーが終わり、俺達は臨戦体制に入る。遂にラスボスのお出ましだ。
「が、頑張ってね!」
荒川が横で応援してくれている。黄色い声援はモチベが上がるなぁ…
ラスボスが出現し、俺達はすぐに攻撃に移る。…うん、やっぱり今まで通りやればそこまで苦戦しなさそうだな。
やはりお互い、あまり苦戦する事なくラスボスを撃破する。
『『『おぉ〜〜〜!!』』』
周りから感嘆の声と拍手が送られてくる。
「お疲れ、あまり難しくなかったな」
俺は、深呼吸をしながら銃を置く鈴井に声を掛ける。
「そうね。でも少し熱くなり過ぎてしまったわ」
振り向いて答えるその顔は、ほんの少しだが紅潮していた。少し熱くなり過ぎじゃないですかね…
「えふぴーえす…。フレンド、ピース、スペシャル?」
まだやってたのか…。友達、平和、例外って…。
「荒川、他のゲームやろうぜ」
「…え?あ、う、うん」
未だ思考モードにいた荒川に声を掛ける。さて、次はどのゲームで遊ぼうか。
「ちょっ、二人とも速過ぎ!普通こんなに差開く!?」
「まあお前初心者だし、オートマとマニュアルの違いもあるし」
「さっきから白峰くんが何を言ってるか分かんないんだけど…」
「車の免許に必要だから覚えとけよ…」
「…あっ!くっ…。私とした事が、ドリフトを失敗するなんて…」
「集中し過ぎだっての…」
「え?何その手の動き。何やってるかさっぱり分かんないんだけど」
「そこはそうやって取るといいのね。運指がよく分からなかったから参考になるわ」
「俺の取り方はちょっと特殊だから参考にしない方がいいぞ」
「なんかレベルの高い会話が聞こえる…」
「おい!ハメ技はセコイぞ!」
「え?はめわざ?なにそれ?」
「知らないでやっていたのね…。荒川さん、なかなかの逸材の気がするわ…」
大分遊んだな。時計を確認すると、もうすでに五時を回っていた。
「そろそろ帰るか」
「そうね、いい時間にもなってきたし」
鈴井も俺の意見に同意した。これは帰る流れだな。
しかし、今日はなんだかんだ言って楽しかった。何よりゲーマー仲間を見つけられたのが一番の収穫だ。ほんと、いい一日だったなぁ…
「ふ、二人とも!ちょっと待って!」
俺達が帰ろうとしていると、荒川に声を掛けられる。
「なにかしら?」
鈴井が返事をする。
「えっとさ、良かったらでいいんだけど…」
荒川は恥ずかしがりながらも、言葉を続ける。
「一緒に、プリクラ撮らない?」
「「………………は?」」
この時期になると、GReeeeNの『雪の音』を無性に聞きたくなります。あの曲好きなんですよね。彼女いないけど。
最近、後書きに愚痴しか書いてない気がします。Twitterやって、そっちで愚痴った方がいいかしら。




