女という生き物は、やはりめんどくさいものだった
パンツやボトムスの違いがなんとなくでしか分からない私です。もう全部ズボンでいいよね!
『ありがとうございました。すごく楽しかったです』
『いえいえ此方こそ、御一緒していただき、とても助かりました』
以前、べるりんさんと約束していた、ゲームのイベントを終え、今はチャットで会話している。
『次回の討伐祭も、タッグを組んでいただけますか?』
『此方からお願いさせていただきたいくらいです。是非ともお願いいたします』
相変わらず丁寧だなぁ…俺としては少し距離感じるから、普通に話して欲しいんだけど。
まあ丁寧なところもべるりんさんのいいとこだし、これはこれでいいかもな。
『それでは、私はそろそろ失礼します』
『わかりました。またよろしくお願いします』
『はい、よろしくお願いします。ではまた』
そう言って、べるりんさんはログアウトした。俺もやる事ないし落ちようかな。
ゲームからログアウトし、漫画を読もうとすると、携帯に着信が入る。誰だよ…もう十時だぞ…
携帯の画面を確認すると、登録されていない番号だった。
架空請求業者か…?いや、最近は変なサイトには引っかかってないはずだ。
恐る恐る、電話に出る。
「もしもし?」
『あ、もしもし?明日暇?』
やたらと明るい声が響いてきた。
「すいません。出会い系とか援交とかはやってないんで、他を当たってください」
俺は直ぐに電話を切る。
どうやら、どこかから電話番号が漏れていたようだ。番号変えとこうかな。
そして直ぐに着信が入る。
「もしもし?」
『ちょっ!なんで切るの!?まだ何も話してないし!』
「いやだって、知らない人からの電話には気をつけなさいって、母さんに言われてるし」
『知らない人認定早くない!?』
「第一声で明日暇?はないだろ。せめて名乗ってくれ」
『ん?ああ、そっか。白峰くん私の番号知らないんだっけ』
うちの学校には、一番重要な相手の事情を考えない輩が多い気がする。
「大体、どうやって俺の番号知ったんだよ。特定厨か?」
『なんで犯罪者前提!?普通にめぐから聞いた』
マジかよあいつ…自分からは一切掛けないのに、他人にはあっさり流しちゃうのか…頼むから詐欺業者とか出会い系サイトとかには流さないでくれよ…
「で、誰?ステファニー?」
『それこそ誰!?話の流れで分かってたやつじゃないの!?』
まあ分かってるんだが…ちなみにステファニーは俺も知らん。
『ほのかだよ、ほのか。ちゃんと登録しといてね』
「気が向いたらしとく」
『それしないやつじゃん…』
よく分かっていらっしゃる。
『でさ、明日暇?』
「結局そこに帰ってくるのか…。まあ暇だが」
『じゃあ明日モールの噴水前に十時に集合!遅れたら怒るから!』
「いやちょ、まっ」ブツッ
切りやがった…
何故女という生き物は他人の都合を考えないんだ。俺にだって、都合はあるんだ。漫画読んだりとか、ゲームしたりとか、アニメ消化とか…都合ねーな。
結局、俺には折り返して文句を言う勇気もなく、明日は行かなければいけなくなってしまった。
明日が憂鬱だ…
翌日、時刻は十時十分、俺はショッピングモールの広場の噴水前に一人でいた。
おいおい、自分から誘っておいて遅刻かよ…。成瀬なら集合時間のずっと前には来てるぞ…
それともあれか?馬鹿正直に来た俺を遠くから見てあざ笑ってんのか?待ちぼうけくらってるのを見て笑ってんのか?考えただけで辛くなってきた…
「お待たせ!」
後ろから声を掛けられる。
「遅ぇよ。嵌められたかと思っただろ」
「えぇ!?私ってそんな事するように見える!?」
全く見えないな。むしろ騙されそうだ。
「冗談だ。なんで遅れたんだ?」
「女の子に理由聞くとかデリカシーが無い!禁句だからね!」
理由聞く事すら許されてないのか…。女子はめんどくさい…
「で、どう?オシャレしてきたんだけど」
「どうと言われてもな…」
改めて、荒川の服装を見る。
上は黒いトップス、下は白いパンツで、彼女の足の輪郭を鮮明に表していて、彼女のスタイルの良さを強調している。何と言うか…エロい…
「まあ、似合ってんじゃないか」
「なんかテキトー。もっとちゃんと褒めて」
うわぁ…めんどくせぇ…
俺がよく知ってる女子は仁美と成瀬だけだが、二人ともあまりめんどくさいタイプではなかったからなぁ…
「似合ってるっての。可愛いよ」
「めぐとどっちが可愛い?」
何故そこで成瀬が出てくる…
これはどう返答するのが正解なんだ…?
「お前の方が可愛いと思うぞ」
「そ♪めぐに伝えとくね」
「お、おい、やめろ!」
週明けあいつに何されるか分かったもんじゃない。
「ざんねーん、もう送っちゃいました!」
「マジかよ…」
俺死んだな…最近死んでばっかだな。
「で、いきなり呼びつけて、何の用だよ」
「そうだった。今日ね、白峰くんの服を買おうと思ってね。」
「俺の服?」
「そ、服。めぐと出かけるのに、あんな地味な服なんて普通あり得ないでしょ。もっとカッコいい男になってもらいたいのです!」
「俺は普通に地味でいいんだが…」
なんで皆地味なの嫌いなの?疲れないからオススメだよ!
「それと、私も服見たいからね」
「完全にそっちメインじゃね?」
荷物持ちとして呼ばれた気がしてならない。
「それじゃあ、早く行くよ!一日には限りがあるんだから!」
「そうだな。早く終わらそう」
「女の子との会話で、そのセリフは禁句だからね!」
そう言って、荒川は足早に建物内に入って行く。長い一日になりそうだ…
「うーん、やっぱり白峰くんには派手な服は似合わないのかなぁ」
「着せといてそれはないだろ…」
さっきから柄入りの服を着せては駄目、着せては駄目を繰り返している。せめてもうちょい大人しめな服がいいと思うんですがね…
次に荒川が持ってきたのは、白地に黒や灰色の刺繍が入ったジャケットだった。
「これなら似合うんじゃない?」
「さっきからそのセリフを何度聞いたか…」
俺は渋々ながら着て、鏡に映った自分の姿を見る。
あれ?割と派手な方の服なのに違和感がない…
「うん!これだ!決定!」
荒川のお眼鏡にもかなったようで、親指を立てている。
まあ、せっかく選んでくれたんだし、買ってくるか。
俺はジャケットを脱ぎ、それをレジに持って行こうとすると、
「白峰くん、ちょっとそれ貸して」
荒川に呼び止められた。
何に使うのかしらと思いながらも、荒川にジャケットを渡す。
「ちょっと待ってて」
そう言ってレジの方に向かう…ってちょっと待て!
「お、おい荒川。レジに向かって何するつもりだ?」
「何って、買うんだけど?」
やっぱりか。流石に女子に奢ってもらうのは俺の男としてのプライドが許さない。
「いやいいよ。自分で払うから」
「ううん、私が勝手に連れてきたんだし、私が払うよ」
「物が物だ。そんなに高価な物は流石に気が引ける」
「別にブランド物って訳じゃないんだし、このくらい大した事ないよ」
荒川の奴、なかなか食い下がるな。
「それにね。これは白峰くんへの感謝の印でもあるの」
「どういうことだ?」
「ほら。最初会った時助けてくれたし、その後もずっと私を守ってくれてた。なんかね、凄く嬉しかった」
「別に、通りかかったのはたまたまだし、その後も成り行きでそうなっただけだ。そこまで感謝されるような事じゃない」
大体、たまたま通りかかったのだって健がいたからだし、暴漢を追い払ったのだって殆ど健だ。俺は何もしていない。
「それに、めぐを変えてくれた」
何故そこで成瀬が出てくる。
「めぐね、白峰くんと話すようになって、凄く笑うようになったの」
「成瀬は女子とでは普通に明るく話してたろ」
「ううん、なんとなくだけど、ちょっと無理してる感があったかな」
すげーな、俺には全くわからなかったぞ。
「でもね、最近のめぐはね、自然な感じで、なんと言うか、凄く可愛くなった!」
「元々十分過ぎるくらいだったろ…」
「これはその全部のお礼。だから受け取って!」
そこまで言われて受け取らないほど俺は天邪鬼じゃない。
「分かった。ありがたく奢ってもらうとするよ」
「うん!それでよし!」
荒川は、花開いたような笑顔になり、レジへ向かって行く。
いい機会だし、俺も少し、服に気を使ってみようかな…
今回、元々二話に分けて投稿する予定だったものを、短かったので繋げて投稿しました。少し不自然かもですが、多めにみてください…
久しぶりに友人とカラオケ行きました。アクアタイムズ(変換めんどくさい)や、GReeeeNを歌って、喉を潰しかけました。愛唄は駄目だね。




