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幼馴染に好かれる、なんてのは幻想です  作者: 卯佐美 佳
第二章 俺はどうあがいても目立ってしまうらしい
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どうやら体育祭は、俺に試練を課したいようだ

皆さんは体育祭には、どの様な思い出をお持ちでしょうか。私は怪我をしてばっかだったので、あまりいい思いでは無いです…。クラス対抗リレーで校内三位取れたのはいい思い出ですかね(隙自語)

翌日の六時限目、LHRの時間。今日は、来週行われる、体育祭の種目決めだ。


「それでは、来週の体育祭の、参加種目を決めていきたいと思います」


鈴井が教壇の上に立ち、進行役を勤める。

体育祭か…陽キャのための祭りの一つだ。俺ら陰のものには本来関係ないもののはずだが…


「おいあきら〜、お前もリレー出るだろ?」


健のせいで強引に参加させられそうになっている。


「いや出るつもり無いんだが…」

「またまた〜、お前、足速いんだから。恥ずかしがるなって」

「足速いって…五十メートル五秒台のお前が言うか…」


マジでイヤミだろてめー…


「まずはクラス対抗リレーから決めていきましょうか」


鈴井が前で進行する。

まあ、最初に決める競技としては妥当か。


『男女で一番速い人から順に決めていくのがいいんじゃない?』

「そうね、それが一番手っ取り早く確実でしょう」


誰かが言った言葉に鈴井も同意し、誰も反論しない。まずい事になった…


「お前、選ばれそうだな」

「やめろ、考えたく無い」


クラス対抗リレーは、一クラス男子四人、女子三人の計七人で出場する種目だ。まさか男子二十人のなかで、上位四人に入ってる、なんて事はないだろう。そうであると願いたい。


書記の子が黒板に五十メートル走のタイムを書き連ねていく。


灰田 健 5.9

白峰 晃 6.2

相坂 拓海 6.3

平沢 実 6.3


うん、俺は何も見てない。俺の名前があったとしても、それはきっと同姓同名の白峰 晃君だ。


「あんた、運動出来たんだ」

「ああ…そこそこな…」


もう当日休もうかしら…でも休むと仁美からあれこれ言われそうだし…


ところで、女子の方は誰なのかしら。


鈴井 玲華 6.8

荒川 ほのか 7.0

新津 仁美 7.1


鈴井早ぇ…一人だけ六秒台とか…運動もたまにするとは聞いていたが、まさかここまでとは…

つーか荒川も運動神経いいんだな、意外だ。


「このメンバーでよろしいでしょうか」


鈴井が尋ねるが、異論は出なかった。拒否してぇ…


「ほんとにいいの?」


成瀬が隣から聞いてくる。


「ああ、どうせ仁美とかが強制的にやらせてきそうだし、大人しくしとく」

「ふーん、まああんたがそれでいいならいいんだけどね」


最近成瀬が優しい気がする。気のせいか。気のせいだな。


「次は男女合同二人三脚を決めたいと思います」

『『『うぉーーーー!!!!』』』


いきなり男子達が騒ぎ出す。

それもそうだろう。この種目は、男子が合法的に女子に触れる、数少ない機会なのだ。

実際俺も表にはあまり出さないが、内心そわそわしてる。ワンチャン選ばれねーかな…


「なにニヤニヤしてんの、キモ」


そのセリフ久しぶりだな。なんだか懐かしい。つーか俺顔に出てたのか…気を付けよ…


「では、選手を決めたいのですが、事前にペアを組んでいる方はいらっしゃいますか?」


誰も手を上げない。よし、可能性はまだあるぞ!男女三人ずつ選ばれるんだ。さっきとそう倍率は変わらない。俺ならいける!


『恵と白峰はやらないの〜?』

『そうだよ、恵やりなよ!』

『白峰くん足速いみたいだし大丈夫だよきっと!』


女子の誰かが言うと次々と賛同の声が上がった。


ちなみに一部からは、

『白峰殺す…』

『右足か左足を選べ…いらない方をもらう…』

『あいつの皮を剥いで俺に移植すれば、俺が白峰ということに…』


といった恨み言が聞こえる。最後怖ぇよ…

俺としては、成瀬のような美少女と組めるなら万々歳なのだが、成瀬が拒否るだろうなぁ…


「うーん、でもそれじゃあ勝てないんじゃないかな?」


唐突に、反論の声が上がる。声の主は仁美だった。何故俺の邪魔をする…


「どう言う事かしら?仁美さん」

「せっかくの体育祭だし勝ちたいんだよね!だからもっと速い人同士で組んだ方がいいと思うんだけど…」


それは案に成瀬が遅いと言っているようなものでは…。無意識って怖い…

まあ仁美の意見にも一理ある。


「なら女子の速い人から順に男子を指名出来るというのはどうかしら。やりたくなければパスが出来るという条件付きで」

「うん!いいと思う!」


何故か仁美が機嫌良さそうに言う。こいつの考えてる事がよく分からん。


周りからの反論の声も上がらない。決まりか…。俺が選ばれる可能性が霧散した…。ちくしょう…。成瀬とでいいからやりたかった…


「なんでこの世の終わりみたいな顔してんの…」


俺そんな絶望した顔してる?


「じゃあ私から選ぶという事でいいのよね?」


皆、一様に頷く。


「そうね、それじゃあ…」


教室が静まる。男子としては緊張の一瞬だ。ここで選ばれれば、鈴井 玲華という最高峰の美少女と密着出来るという、至高の瞬間を味わう事が出来る。もちろん俺は、選ばれるはずが無いので、ぼーっとしている。


鈴井は教室を一度見回し、頷く。どうやら決めたようだ。鈴井がほんの少し笑ったのを俺は見逃さなかった。凄ぇ嫌な予感…

鈴井が一点を見つめ口を開く。


「では白峰くん、お願い出来るかしら?」


クラス全員の視線が此方に向く。皆俺の方を見てるのか?


「なにぼーっとしてんの、ちゃんと反応する」


成瀬に脇腹を突っつかれ、俺は正気に戻る。


「え?俺?」


ようやく俺は状況を理解する。俺が、選ばれたのか…?


「聞こえなかったの?性癖だけでなく、耳も頭も悪いのね」

「耳はわかるが頭と性癖は異論を唱えたい。大体悪い性癖ってなんだよ」

「クラスメイトを夜のおかずにしているとこかしら」

「待ってくれ皆。俺はそんなことは断じてしていない。全部鈴井の罠だ」


クラス全員が聞いてる中でなんてこと言いやがる。

実際何人かは、


『成瀬から提供して貰ってるのか?死ぬほど羨ましい…』

『恵ちゃんが好きなのは分かるけど…そういうのは…ちょっと…』

『恵に直接してもらえばいいのに。意気地なし』


っという風に、盛大に勘違いをしていらっしゃる。もうね、死にたい。つーか最後誰だよ。考えが振り切れてるよ。


成瀬はさっきからずっと机に突っ伏して肩を震わせてるし。もしも〜し、あなたも関係者ですよ〜。


「それで、引き受けてくれるのかしら?」


ここで引き受ければ、至福の時間が待っている。受けない理由があるものか。

いやまて?ここで馬鹿正直に引き受けたら、俺の周りからの評価はどうなる?浮気者というレッテルを貼られ、恐らくは一学期以上にとんでもない評価になってしまうだろう。そうなることは避けなくてはならない。


「えっと…断っても」

「『私に出来る事があれば何でもしますので』」

「いい!?」


しまった!忘れてた!俺は鈴井に命を握られているんだった。


「それで、引き受けてくれるのかしら?」

「…はい。喜んで引き受けさせていただきます…」


終わった…俺の人生…


周りからは、

『え?二人ってそういう関係?』

『主人と奴隷って感じ?』

『白峰くんってM?恵と相性バッチリじゃん!』


という声が聞こえる。別ベクトルで破滅へ向かってんな、俺。


ちなみに一部の男子からは、

『大変だなあいつ…』

『性癖暴露されて…可哀想に…』

『今度、何か奢ってやろう…』


といった、慰めの言葉を貰った。せめて虚実を否定して…


「次は荒川さんね。誰か指名したい人はいるかしら?」

「うーん、じゃあ灰田くんお願い!」

「しゃあ任せろ!俺が一位に導いてやるぜ!」


『灰田くんカッコイーー!!』

『いっちょ頼むぜー!灰田ー!』


いつの間にか、荒川と健のペアが完成していた。俺の時と違って、スムーズすぎる…


「次は仁美さんね。指名したい人はいるかしら?」

「…………」


鈴井が声を掛けるが、机に突っ伏したまま、反応が無い。


『おーい、ひとみ〜?大丈夫〜?』

『ほら、仁美の番だよ。起きて』


周りが声を掛けるが、一切反応が無い。


「仕方がありません。仁美さんの次に速い方に決めてもらいましょう」


鈴井が切り替えて、次の人に回す。

そこからは問題なくそれぞれの種目の選手が決まっていった。


ちなみに、俺は借り物競争もやる事になった。俺の屑運じゃ嫌な予感しかしない…


しかしその間、仁美の様子が変わることはなく、放課後も勝樹が迎えに来るまでずっとそのままだった。何があったし…


最近、頭で描いていた展開と文章が一致しない現象が起こりがちです。そのため、何度も書き直しています。辛い。

左手の痛みが治まりません。どうしよう…

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