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幼馴染に好かれる、なんてのは幻想です  作者: 卯佐美 佳
第一章 どうやら俺は、トラブルには好かれるらしい
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俺の許さないリストに、新たな名前が刻まれた

一応この小説は、全年齢を対象としております。性的、暴力的表現は極力控えておりますので、ご安心ください。


「お、おい。ほんとにいくのか?」

「当たり前でしょ。何のためにここに来たと思ってるの」


俺達は、とある建物の前来ていた。


「何度も言うが俺はこういうのに慣れていないんだ。お前に迷惑かけると思うぞ」

「別にいいって言ってんじゃん。男なんだから腹くくりなさいよ」

「腹くくったって苦手なものがなくなるわけじゃ無いんだよな」

「うじうじ言わない。ほら、行くよ」


そう言って、成瀬は俺の手首を掴んで、建物の方へ向かう。マジで行くのか…さっきから微妙に中からの声が漏れてるし…


ついに俺達は建物の中に入ってしまう。もう後戻りは出来ない。

果たして、俺は無事に帰ることができるのだろうか。



『ゔぼああああああああ!!!』


「っ!!!!!!」

「キャッ!!…びっくりした〜」


突然襲って来たゾンビに、俺はめちゃくちゃビビってるのに対し、成瀬は多少驚きながらも笑っていた。…普通逆だろ…


そう、とある建物とは、お化け屋敷だ。特に意味深な施設ではないぞ。


俺は昔から、こういったお化けの類が大の苦手で、小学生の頃、夜一人でトイレに行くことすら出来ない程だった。今でも心霊番組などは満足に見れない。


しかし、成瀬はそういったものが好きらしく、怖いと評判のここのお化け屋敷すらも、存分に楽しんでいる。


ちなみに、ここへ来るまでの経緯としては、初めは、俺が成瀬を何とか言いくるめて、一人で行かせようとしたのだが、俺が苦手と分かると、強引に俺をここに引っ張って来たのだ。


『ぐゔぉあああああああ』


「うぉおおい!!!」

「うぇ!?なに!?なに!?」


俺は襲って来たゾンビに驚き、成瀬は俺に驚く。なんだこれ…


「くふっ…あんた…ビビり過ぎ…」

「…だから言っただろ…俺はこういうの苦手だって…」


成瀬はさっきから俺の様子を見て笑っている。こいつ、以外と笑い上戸だな。


「それにしてもでしょ。ほんと…おもしろ…」


思い出したのか、また笑い出した。ちょっとムカついてきたかも。でもあまり悪い気はしないな。不思議だ。

しかし、笑われ続けるのも男として屈辱だ。何か対策をとらねば。


俺は心を無にする。何も見ず、そして音を遮断すれば何も怖く無いはずだ。………よし、もうなにも怖く


「わっ!!」

「うぇえええ!!!!?」


何かに肩を掴まれた。え!?最近のお化け屋敷って触覚も刺激すんの!?


全力で後ろを振り返ると、そこには腹を抱えて笑っている成瀬しかいなかった。…というか犯人はお前か…


「あはははは!ごめんね。なんか必死になってるのを見てたらつい。あはははははははは!」

「…ついじゃねーよ…心臓止まるかと思ったわ…」

むしろ一瞬止まったわ。


「あーお腹痛い。いやもうほんと、最高」

「もうほんとにやめてくれよ…心臓がいくつあっても足りん…」

「…ふう。あたしも笑い疲れたし、そろそろ次のところ行きたいし、早く行こ」


そう言って先行する成瀬。…もうほんとに何もしてこないよな?

それから先、ちょいちょいある驚かしポイントにビビりながらも、何とか出口までたどり着くことができた。

成瀬は、俺の生気を失った顔を見て、また笑い出していた。成瀬 恵、いつか絶対泣かす…



それから俺達は、園内を思いっきり楽しんだ。ジェットコースターやフリーフォール、バイキングなど様々なアトラクションを楽しんだ。気が付けば閉園間近となっていた。


「もう大分遅くなってきたな。そろそろ帰るか」

「ん?もうそんな時間?」


成瀬はまだ遊び足りないのか、名残惜しそうな顔をする。


「また来ればいいだろ。そんなに遠くないんだしさ」

「…それもそっか。じゃあ帰る」


そう言って成瀬は俺の隣に並んで歩く。

帰り際、観覧車から出てくる二つの影を見つけた。


「どうやら、うまくいったみたいね」

「ああ、そうみたいだな」


二つの影は仁美と勝樹だった。二人は腕を組み合って歩いていた。


「あたし達、なんか役に立った?」

「どうだろうな。ろくにアドバイスとかしてないしな」

「ふふっ、確かに。遊んだだけだった気がする」

「まあ上手くいったみたいだし、結果だけ見れば成功だな」

「あたし達いらなかったじゃん」


そう言って、成瀬は笑う。

何はともあれ、二人が結ばれたのは、俺にとっても、とても嬉しい事だ。そのうち祝ってやろう。


二人の姿が完全に見えなくなるまで見送ったあと、俺は成瀬に声を掛ける。


「成瀬、俺達も帰ろうぜ」


俺は出口に向かおうとすると、

「ねぇ晃」

不意に後ろから声を掛けられる。ん?今なんて言った?


「お前、今晃って…」

「ん?ああ、白峰ってなんか呼びにくいのよね。別にいいでしょ」


どう呼ばれようと俺は構わないんだが…仁美以外の女子に名前で呼ばれると少しこそばゆいな。


「それでさ、良かったらでいいんだけど」

成瀬は言葉を続ける。



「あたし達も観覧車のらない?」

もう殆ど付き合っているみたいなもんですよねこの二人。次回で成瀬回は終わりとなります。鈴井ファン、天使ファンの方々、もうしばらくお待ちください。

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