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幼馴染に好かれる、なんてのは幻想です  作者: 卯佐美 佳
第一章 どうやら俺は、トラブルには好かれるらしい
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成瀬は俺を嫌っている…はずだ…

キャラの名前はなるべく、ルビなしでも読めるようにしたい派の私です。天使は読めねえって?申し訳ねぇ…

木曜、学校が創立記念日の日、現在時刻は七時十五分、俺は駅に向かっていた。成瀬との待ち合わせのためだ。


昨日、仁美と勝樹の初デートを成功させるために、俺は二人のデートを見守る事になったのだが、なぜか成瀬も手伝うことになった。

俺と成瀬の集合時間は七時半、他の二人と鉢合わせしないように、二人より三十分ほど早く設定した。


なんで十五分も前に向かってるかって?あいつ、自分より遅いと怒りそうだし…

集合場所に着く。流石にまだ来てな


「遅い」


なぜか後ろから不機嫌そうな声が聞こえる。


「あたしを十五分も待たせるとかどうゆうつもり?」

「…一応聞くが、集合時刻は七時半だったよな?」

「そうだけど?」

「今の時刻は?」

「七時十七分だけど?」

「……」


落ち着け、今の会話におかしなところはなかったと言い聞かせろ。


「えっと…お前は集合時刻の三十分前に来てたって事でいいのか?」

「は?なに馬鹿なこと言ってんの?それじゃああたしが今日を楽しみにしてたみたいじゃん」

「……」


うん。おかしなところはなかったな。そうだ。そうに違いない。


しかし不思議な物だ。新学期開始前まで一切接点がなかったのに、新学期早々、二人でこうやって待ち合わせて出かけることになるとは。


俺が成瀬を見つつ考え事をしていると、

「なにジロジロ見てんの、キモ」

言われてしまった。最近言われてなかったから油断してた。


「いやまあ、女子の私服を見る機会があまりないから、ちょっと見入っちまった」


誤魔化す様に言うと成瀬は

「そ」

と、一文字で返された。興味なさ過ぎかよ…


「それで、どう?」


あれ、話終わってなかったのか。


「どうって…」

こういう時どういう返事をしたらいいか分からんな。

改めて成瀬の私服を観察する。言い回しが変態だな。

白を基調としたワンピースに、灰色の長袖のカーディガンか。彼女の金色の髪にとても合っている。


「まあ、似合ってんじゃないか」

「そ」


成瀬はそう言って顔を背けた。


「それに比べて、あんたの服は地味ね」

「ほっとけ、尾行するんだから地味な方がいいんだよ」


ちなみに俺の服装は、黒のジーンズに白いTシャツ、灰色の七分袖カーディガンと、微妙に成瀬と被った服装だ。


「まあ別に、ダサくはないけどね」


聞こえないように小声で言ってるんだと思いますけど、微妙に聞こえてますよ。まあ聞こえなかったふりしとくか。


俺達は、ホームに向かい、ちょうどやってきた電車に乗る。成瀬は角に座り、俺は成瀬から一つ開けて座る。


「ねぇ、なんで一つ開けてんの?ムカつくんだけど」

「いや隣に座ると怒ると思いましてね」


あたしに近寄らないでくれない?地味が移るんだけど。とか言われると思った。地味が移るってなんだよ。新種の菌かよ。


「あんたとあたしの間に誰か座ったら嫌でしょ。あんたの方がマシってだけ」


他の奴らなら平気で立ってろとか、別の号車に移ってくれとか、言ってくるところだが、やはり成瀬は優しい。


「分かった」

俺は席を移動する。やべぇ!隣に美少女がいる!俺の心音聞こえてないよね?

幸い、成瀬は横の冊子に寄っかかっているため、微妙に距離がある。マジで良かった。目的地まで四十分間、ずっと密着状態だと多分俺死んでたわ。


ちらっと成瀬の方を見ると、退屈そうに景色を眺めていた。スマホを弄らないとは、最近の若者としては珍しい(若者並感)


「ねぇ、ちょっと聞いてもいい?」


突然成瀬が口を開く。


「ん?なんだ?」

「あんたってさ、なんで嫌われてるか、わかる?」

「なにそれ新手のいじめですか?」


自分の状況を自白させるプレイとか、マジで精神にくる。


「あ、ごめん、普通に気になっただけ」


びびった〜、危うく自殺するところだったわ。


「あんたは地味だけど、そこまで悪い見た目はしてないし、他にもあんたよりいじめの対象になりそうなのいるからさ」


なるほどね。特にいじめに興味がない上流階級の方は、下々のいじめに興味があるみたいだ。


「一言で言うと、嫉妬だろうな」

「嫉妬?」

「俺みたいに地味な奴が、学年一二を争うイケメン二人とつるんでるからだろ。それに仁美もいる。男女両方から十分過ぎるくらい恨みを買われる要因が揃ってる。()()()()()()()()()()、そういうことなんだろうな」


人間は、少しでも気に入らない奴がいると、徹底的に潰すことだってある。その対象がたまたま俺だったのだろう。


「あんたは、その状況を変えたいとは思わないの?」

「思わない事はない。でも別に俺自身あまり気にしてないからな。他人からどう思われてようが、正直どうでもいい」

「ふーん、そうなんだ」


どうやら納得してくれたみたいだ。


ん?待てよ?俺席替えの時成瀬に拒絶されてなかったか?


「お前、席替えの時、俺に最悪とか言ってたよな。それ割と傷ついたんだが」


つーかお前もいじめに参加してる側なんじゃないか?


「あーあれ?あんた、あんまり喋らなそうだから、つまんない席って思っただけ」


それだけで最悪なのか…女子の基準が分からん。


「それとさ、中学の時はどうしてたの?さっきの理由が本当なら、中学の時も皆に嫌われてたんじゃないの?」


中学の時か…思い出したくもねーな。まあ少しくらいなら話してもいいか。


「中学の時は普通に友達いたぞ。いじめとか全然なかった」

「…え?」

「普通に部活やってたしな。女子とも話すことあったし」

「…嘘でしょ…!?」


今の俺からは想像もつかないよな。今の俺なんて休日は家に引き篭もったり、出たとしてもゲーセン行くくらいだもんな。


「なんで辞めたの?それに昔の友達は?」

捲し立てる様に質問をする成瀬。


「まあ…色々あったんだよ…」


俺はそう答えるしか出来なかった。


「そ…」

成瀬はそれ以上聞いてこなかった。気を遣ってくれたのかもしれない。


本当に思い出したくもない、クソみたいな、忌まわしい過去だ…

今回から少しずつ、晃の過去について登場します。いつか過去編もやりますので、真相についてはその時に。

このあとすぐに、もう一話投稿します。謝辞などはそちらで書きます。

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