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女の子を引き取ったった

俺はあの日、女の子を引き取った。


その子は、金髪の髪を腰まで伸ばし、瞳はピンクと紫が混ざったような色で、まるで全てを包みこむようだった。

心を奪われるかのようだった。

俺はその子を見た瞬間に、この子を引き取る決意をした。


この子がいればもしかしたら変われるかもしれない。


そんなことを思いながら。



そして、

彼女はうちにいる。

俺は一人暮らしなのであの子は嫌がるかと思った。女の子と二人で生活するわけだ。いろいろ気苦労もあるだろう。

しかし、彼女は特に問題はない。

と言っていた。もしかしたら照れ隠しだったのかもしれないが、特に気にしない。


彼女の名前は、メモリアというらしい。ラテン語で希望、だったか。

変な名前をしていると思ったが言わないでおく。

苗字は?

と聞いて見たが彼女でも知らないらしい。あそこで売られていたのだからそう珍しくもないだろう。

彼女を引き取ったのは俺が経営に携わっている、俗に言う闇市場だ。

奴隷のように売られていたが 奴隷のようなぼろぼろの服を着ていても、俺は惹かれたのだ。


普通、物語上の主人公たちはこのような境遇に立っている子の過去の話は聞かないかもしれない。


上の奴らと関わりがあるならそいつらに聞け、と思うかもしれないが、奴らは基本俺がいないとまともには働けん奴らだ。奴らは知らなかった。


なので、彼女に問い詰めることにした。

彼女は初めて、自分の話をなぜ?

と困惑しながらやはり話そうとはしなかった。

その刹那、いっそのこと拷問でもしようかと思ったがこんな可愛い子にそんなことをするほど人間性を失っていない。…もしかしたら、思い立った時点でアウトなのかもしれない…

ともかく、俺はしつこく聞いた。

話すまでは解放しないぞ、とても言わんばかりに。

そして、今。


「…言えないのか?やっぱり」


「……はい。知ってしまえば貴方を傷つけてしまうかもしれない」


「知らん。俺が引き取った以上。お前は俺のものだ。全てを受け止めてやる」


彼女は目を丸くして、つぶやくように言った。


「……………ほ、ほんとに…?…いいの?」


感動的な展開中に申し訳ない。

だが、言わせてくれ。

か、かわぃぃぃぃぃぃい!!

なんだこの可愛さは?!こんな子を好きにならない奴なんているのか??

いやいないね!メモリアは俺のもんだ!!


「あぁ!これからはメモリア、お前は俺のもんだ!

だから…話せ。辛くても苦しくてもだ。

その日眠れなくなるのなら一緒に寝てやるし、これからはいつも一緒にいてやる。だから…」


全て本心だ。

俺はこの子の全てを受け止めてみせる。絶対にだ。


「………わかった。話す」


彼女は全てを話した。

彼女が親の顔も名前も知らないこと。

生きるためには殺すしかなかったこと。彼女の才能を希望と見出し。命を狙う輩がいたこと。身分を偽装してこの国まで、正確には闇市場にまで逃げて着たこと。この生き方を後ろめたく思っていたこと。

自分の命を狙う輩が日本にまで来る可能性があること。

全て聞いた


「……これが私。どう?嫌いになったかな?」


震える声、その皮肉には力がなくほんとに俺のことを思ってくれていることがうかがえた。

そして俺は、久城 天 (くじょう そら)の心は——揺るがなかった。


「いや、全く。」


ぶっきらぼうに言ってやった。


「?!」


驚いてる驚いてる。

やっぱり可愛いな。


「俺があの時一目惚れした女の子だ、メモリアは。

嫌いになるとか、そーゆうのはまずないよ」


「?!?!」


さっき以上に驚いてる。

可愛いな。


「俺のことも話す。それでもう、信用してもらうための手札はゼロだ。」


そうして話した。

聞いても楽しい話でもなし、以下略で


「…………私でいいのなら、そばにいても…」


最後の一言をひり絞るようにして言った。


「…………いい、ですか?」


「敬語はいいよ。

よろしく、メモリア」


その日は彼女と一緒の布団で寝た。


今回が初めての投稿です。

不定期になるかもしれませんが、やっていきたいです。

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