神水
グリーン人の習慣で欠かせないのが、十年に一度、聖杯で一杯だけ飲む水があり、それは大陸の真ん中にある神殿から沸いている。それを飲む事が儀式となっており、飲まないと死ぬとまで言われている。
グリーン人の習慣で欠かせないのが、十年に一度、聖杯で一杯だけ飲む水があり、それは大陸の真ん中にある神殿から沸いている。それを飲む事が儀式となっており、飲まないと死ぬとまで言われている。
そして、今日はバスターの神水儀式の日。
まず、大陸の内陸部に在りながら、神殿には遠い集落を出なくてはならない。
そして、用意するものがある。食料だ。見渡す限りの草原では煙をおこす集落は見つけやすく、そういった目印の無い神殿に行くのは非常に困難であるからだ。
バスターの初の狩り。皆は上手くやっているから大丈夫だ!
バスターはそう思っていた。
「行ったぞ!!」
大人が巧みに獣をバスターに導く。
「よし来い!」
バスターが突進してくる獣に回し蹴り。
しかし!!
バスターは吹っ飛ばされた……。
『い!?』
皆が驚いた。運動神経だけなら、むしろ秀でていた。力比べだって決して曳けを取らない。
バスターは、回し蹴りが当たる瞬間思った。
(こいつを倒せば、皆の食事になる。だけど、もしかして、こいつにも仲間がいたら?こいつを失って悲しむ奴等がいたら?命を俺は受け止められるか?)
と。その一瞬が命取りになった。獣は体当たりし、逃げて行った。バスターは重症を負ってしまった。
その日、その場で長による集会が行われた。バスターの手当てをしながら隣り合わせで、だ。
「見ての通りじゃ、どうやら前から皆が思っていた通り、バスター・オルは我々の仲間ではないみたいだ」
バスターの友達が猛反発。
「そんな事ない!!バスターは見た目だけちょっと違うけど、強い友達だ!!」
「そうさ!バスターは味方だ!!」
「しかしだな……」
渋る長。
「狩りに一回失敗しただけで、どうしてそんな酷い事言えるのですか!?」
「……」
しばし、沈黙。
「もういいよ!!」
「そうさ!!」
「バスターの神水は皆で持ってくればいいんだ!!」
「それだ!!」
バスターの友達は一致団結して、神殿を探しに走って行った。大人は誰も止めない。いや、止められないのだ。
バスターがちょっと違うなぁとは思っていた。皆、後ろめたさが有った。それを子供達につかれた。
大人は黙ってバスターの治療を続けた。
応急措置をとった頃、【それ】は現れた!
「おい、何だありゃ!?」
一人が空を指差す。そこには雲ではない、何かが浮かんでいてやがて降りてきた。
一人が空を指差す。そこには雲ではない、何かが浮かんでいてやがて降りてきた。