日常会話の裏側
弟の菜吾からの視点です。
うちの兄さんはちょっと変わっている。
昔から絵本や物語が大好きで、文字を読めるようになる前から読み聞かせで覚えた物語について語りだすと止まらない幼児だったらしい。
確か…兄さんがラノベにはまり出したのは小学3年の誕生日だったはず。
あれは…千恵ちゃんが本屋さんのお薦めで買ってきたプレゼントの本だった。
その頃から特に妄想に走る傾向が強くなった気がする。
とにかく何か困ることがある度に、溜め息をつきながらこう叫ぶのだ。
「あーあ、誰かオレを異世界に連れていってくれ!!」
とか
「オレがチート持ちだったら…」
って。
もはや物語というより妄想に浸った話を、僕や母親が呆れた顔をしているのにも気付かずに訴え続けたりする。
まぁ、家族とか同じ趣味の仲間にしかそんな態度を見せないから、ご近所さんからは真面目な中学生って思われてるようだけどね。
兄さんは現実で起こることにあまり興味がないらしい。
学校であった話より、本を読んだ感想や妄想を話したがる。
そして一緒に会話したいからと、僕にも読ませたがる。
まぁ一応、兄さんが持ってる本は全部読んでるけど…僕にはあそこまで語れる気持ちは正直分からない。
そんな兄さんが婆ちゃんの特殊な仕事に気付いた。
いつもは本読んでて、母親と僕の会話には興味を持たないのに…
「はぁ?なんでそんな厨二病的な話を真顔でするわけ!?」
完全に脳内にはラノベの世界が広がっているとみた。
それから色々と話したのだが、兄さんの反応は浮かれ過ぎだった。
だからこそ、言えない事がある。
うちの家系ってホントはね、兄さんが想像したとおりなんだよ。
僕らの御先祖に異世界からの転生者が居て、記憶にある異世界チートを使えるようにしたのが呪いなんだ。
呪いで治癒能力を高めるのは本当だけど、それは周りの精霊の力を借りて行う儀式だったり、実は精霊の力で相手の気持ちや未来を視れたりも出来る。
一子相伝なのは、精霊と一対一で契約をしている為。
そんな家系だって知ったら、兄さんはどうなるかな?
隠し事が出来ない人だから、誰かに喋っちゃって話が流れて…おかしな人間だと思われるかもしれないね。
実を言うと、これは母さんも知らないことなんだ。
婆ちゃんと、その力を継ぐ僕だけの秘密だからさ。
異世界とかチート持ちとかに一番憧れているのは兄さんなのに、教えてあげられなくてごめんね、兄さん。
これにて完結となります。
拙い話を読んでくださって、ありがとうございましたm(__)m
兄には言えない秘密を持った弟。
弟を主人公にしたら、兄は名前もないモブなんだろうなぁ…。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜日常会話の裏話
飯井家の弦くんは、「いい加減」に付けたなまえです(笑)
飯井家の菜吾くんは、適当で「良いかなぁ」って…
出てきてないけど母親は、飯井家の百音さんで「良いかもね」から…
ちなみに祖母の千恵ちゃんと曾祖母は別姓です。




