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lovely gift  作者: 無駄に哀愁のある背中
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日常

だから、なんでこうなったのだろうか?

「ただいまー!」

「お疲れ様! どうだった会社は?」

「どうもこうもないわよ、相変わらず新人に厳しいよー。今日だって新しい研修とかで土曜日出勤だよ」

「そっかぁ、とりあえず着替えてきなよ」

俺はあらかじめ用意しておいた彼女の部屋着を手渡した。

「いつもありがとうね! じゃあ、これも頼んでいい?」

彼女は俺に会社用のカバンを手渡すと、部屋着を受け取って洗面所に入っていった。俺は彼女から渡されたカバンを彼女の部屋に置いて、キッチンで夕食の準備を始めた。すると、彼女の声が洗面所から聞こえる。

「どうそっちは? 教授の印象はどう?」

「まあまあ、卒研もすぐにできるだろうし、大学院も助手として研究室に入り直せるし、ばっちり」

「そっか、あの教授はあなたがお気に入りだもんね」

「これまでは家庭教師のアルバイト代しか協力できなかったけど、四月からはアルバイト代と助手代も入れられると思うよ」

「まあ、出世払いでいいのに」

「一応、男として女性に養われるのはね……」

「フフフ、古い考えだね!」

「まあいいじゃん!」

彼女は大野美咲。俺の一年上の先輩で同じ研究室とサークルだった。理工学部では大学院までつまり、6年間居て修士を取るのがセオリーだが、彼女はなんとかやった就活で成功。そこで、就職することにした。大学一年生の時に留学しているため、俺にとっては2歳年上である。彼女との出会いと付き合いは……また今度の機会に話すとして、もう付き合い始めて3年目であり、同棲をしている。最初は俺の引越しの時期と彼女の新居への引っ越しが重なったため、俺が居候として彼女の部屋に入ることになった。まあ、2DKで彼女の部屋は確かにひとり暮らしの割には大きかったし、もしかしたら最初から俺と住む気だったのかもしれない。

「着替えたよー! 今日の夕飯はなに?」

「カルボナーラだよ。最近、買った料理本に書いてあって美味しそうだから作ってみた」

「雄太が当番の日は洒落てるよねー」

彼女と俺は当番制で食事をとっている。月・水・金が彼女が食事系の当番で俺がその他の当番(風呂トイレ掃除や洗濯等)で、火・木・土は逆。日曜日は臨機応変にやっている。彼女はカルボナーラを口に運んだ。

「うん、美味しい! また作って!」

「おう。あ、美咲。もう風呂は沸いてるから好きなタイミングで入っちゃって、俺はもう入ったし」

「今日は疲れるからお風呂出たらさっさと寝ちゃうね。そうだ、明日は日曜日だけど、そっちは予定は?」

「うーん、何にもないよ。今日の夜はちょっと、後輩の論文読まないとあれだけど」

「じゃあ、明日は久しぶりに川崎行かない? 買い物したいんだー!」

「じゃあ、朝食を食べずにブランチを川崎で食べよっか?」

「うん、そうしよう!」

彼女もだし、俺も話すことは大体は愚痴である。まあ、その後、愚痴を聞いたあと、さっさとお風呂に入り寝てしまった。相当疲れていたらしい。彼女の最近の悩みは先輩のセクハラらしい。まず、彼氏がいるかいないかを聞いてきて、最近じゃ、よくサシ飲みに誘ってくるらしい。そりゃ疲れるだろうな。

 俺は後輩に頼まれた添削をしている。うちの研究室は先輩(四年生)が後輩(三年生)のレポートを添削する。俺のを添削してくれてたのは美咲である。研究室に入って、もう一年と九ヶ月、もうこれにも慣れてきたはずなのに、今日は異常に進まない。12時には終わらせるつもりが一時半くらいになってしまった。やっぱり余計なことを考えてしまっているからだろうか。最近、美咲との結婚を考えるようになって、こうやって幸せなのは彼女おかげなのでは井田のおかげなのではと悩むことが多い。

「ねぇ」

美咲が気付いたら入ってきていて、椅子に座ってパソコンに向かう俺に後ろから抱きついてきた。

「寝たんじゃないの?」

「ちょっとトイレ。にしても寝るの遅くない? 明日は早くないけど雄太らしくないよ。こんなのパーっと終わらせるじゃない?」

「そうだよね……」

「どうしたの、悩み事?」

「まあ、そんな感じ?」

「もしかして、あの「女の子」?」

「うん、実はそれ。いや、美咲に話したことがおると思うけど、別に彼女のことが恋愛的に好きなわけじゃないんだけど、俺が幸せなのはあいつのせいなのかなって」

「わかるよ。別にあなたが彼女が好きだからといって、私との仲がどうこうってないのはね」

「うーん」

「じゃあさ、会いに行こうよ! 私も会ってみたいし」

「え?」

「だって、私のことをこんなにも見てくれるのはあなただけ! みんな私の外見ばっかだもん。別に外見だけじゃないのに。でも、見てくれた雄太を作ったのが彼女だったら、私も感謝しなきゃだし」

「う、うん。……じゃあ今度会いに行こうか?」

「うん! 行こうよ! 明日は川崎だけど、今度行こう! 決定ね!」

「……わかった。今度、連絡とってみる。でも、ダメだったらあれだよ」

「わかってるって、じゃあ、さっさと終わらせなよ、それ!」

「……うん」

美咲はわがままは多いけど、すごく大人である。愚痴とわがまま以上に俺を悩みを解決してくれる。まあ、美咲に言わせれば、俺もそうらしいけど。美咲と井田が会ったら、どうなるのだろうか……。

もう知らないよ

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