ゴジラ(1954)
2014は何と言ってもゴジラ生誕60周年と言っても過言ではない。その記念の歳に公開されたハリウッド版ゴジラ…『Godzilla(2014)』は反核のテーマが迷子なのを除けば、「ゴジラだった」の感想に尽きる。
第一回の今回はそのルーツである白黒映画の『ゴジラ(1954)』のレビューと感想を自分なりに書いてみる。
ゴジラ(1954)
まずこの映画は第二次世界大戦終結から数年、第五福竜丸(字は忘れた)が被爆して作られたと言われている。そこで当時の円谷氏達は、粘土を動かして撮影する技法ではなく、着ぐるみ(当時はぬいぐるみと呼称)を着ての撮影でゴジラをこの世に放った。反核のテーマはまさにここから来たと言っても過言ではない。
舞台は1954年の東京。大戸島の住民達が漁に出た所、網に魚が掛かっていなかった。その数日以上前に近くの海域を航行する船が謎の失踪を遂げてしまうというのが冒頭だ。
この世界観におけるゴジラは大戸島に伝わる伝説の怪獣『呉璽羅』から名前が取られていた。
大戸島の伝説に寄れば、呉璽羅は黒くて巨大な生き物で、陸に上がっては牛などの家畜や人間を食い荒らしていたそうだ。不漁で深刻な状況になった場合、若い娘を呉璽羅の生け贄として差し出されていたと、大戸島の老人が語る描写があった。
その後嵐と共に夜の大戸島に上陸したゴジラは、島の家や井戸を踏み潰し、翌朝島で一番高い山からその頭を見せ咆哮を上げたのだ。
その後国会議事堂にて、山根博士がゴジラがジュラ期から白亜期にかけて棲息していた水棲爬虫類の一種と発言していた。が、この時200万年前等と言っていたが、これは大きな間違いである。
環境変化の中、生き抜いていたゴジラは海底で休眠状態にあったところ、核実験の影響で目覚めたという。
そうして東京に上陸し蹂躙していったゴジラだったが、終盤において芹沢博士開発のオキシジェンデストロイヤーによって芹沢博士と共に海中に溶けていった。と、言うのが『ゴジラ(1954)』のストーリーである。
人の業によって目覚めた怪獣が、その人の街を徘徊し命を奪い、最後にはその人によって殺される。その部分を見れば、ゴジラが完全な悪とは私は言い切れない。ゴジラも、人も被害者であり加害者なのだ。
話を変えて、次は私の知る限りではあるが当時の撮影技法などを表記する。
例えばゴジラの白熱光によって融解された鉄塔のシーンがあるのだが、知っている読者もいらっしゃるだろうが、あれは蝋で作られており、それにライトを当てて溶ける様をカメラに取っていたそうだ。それによりゴジラの白熱光によって鉄塔が溶け落ちる様に見えるのだ。これも円谷氏の業の一つらしい。
次は音楽。ゴジラのテーマ曲だ。これは伊福部昭先生が手掛けているのは有名だ。しかし、当時の演奏者の中にはあの黒柳徹子の父親がバイオリニストとして演奏していたのだ。それも驚きなのだが、ゴジラのあのテーマ曲には恐怖感が含まれて居るという。これは地震速報等で『テレレレン!テレレレン!』と出る警報にも繋がっている。ゴジラが来るぞという恐怖感を表している。
話はまたかわり、今度は海外進出だ。
アメリカに渡米したゴジラは海の向こうでその姿、巨大さを見せていた。海外進出はとても良いことだ、技法であった特撮を一つのジャンルにしたのだから。当時は逆輸入版のゴジラ(1954)も上映していたらしい。
さて、その逆輸入版の『ゴジラ(1954)』だが、本家本元では尺の都合上、或いは国の都合かどうかは解らないが…少女達の祈りの合唱やゴジラの被害を受けた被害者達の光景が無いらしい。それは敗戦直後の日本をイメージするだとか。
それから60年経った現在、『Godzilla(2014)』の公開記念にHDリマスターの『ゴジラ(1654)』がアメリカに広まった。純日本製のゴジラが、だ。海の向こうの名も知らぬ人々がゴジラを愛してくれている事に、私はとても感激している。
それからのゴジラの快進撃は留まらない。第一次ゴジラブーム(著者命名)は『メカゴジラの逆襲(1975)』まで続き、9年の休止期間となった。 そうなるまで様々な支持を得たゴジラはその他の映画会社にも影響を与えた。『大怪獣ガメラ』もその一つなのかもしれない。
怪獣王の二つ名を持つゴジラ。そのヒットには現代を生きる我々には解らない程の苦労があっただろう。それが60年経った現在、ファンにとっては語る上では外せない物である事は間違いないだろう。
・忘れてはいけない?
この『ゴジラ(1954)』は先述にもあった通り、これは反核がテーマだ。我々は『ゴジラシリーズ』を通して、核の恐ろしさとその報復を知らなければならない。先の東日本大震災の折に起きた原発事故、それによって広がった放射能が今も人々を悩ましている。しかしそれは数十年数百年先には過去の物とされるだろう。それは起きてはならない事だ。我々はゴジラという存在を通し、恐ろしさと恐怖を忘れてはいけないのだ。
さて、ここまで筆者の戯れ事に付き合って頂いた読者の方々に幾つかお願いがあります。
これから先、ゴジラシリーズ以外の映画もレビューさせていただきますが、『この映画のレビューをしてくれ』等のリクエストは受け付けない所存です。これはあくまで私自身が見た映画を私自身が感じた通りにレビューするものとします御了承ください。
こんな駄作記事でも参考になりましたら、感想をよろしくお願いいたします。
最後に、時々脱線してしまうかもしれませんので悪しからず。
以上、お付き合い頂きありがとうございました。
次回は『ゴジラの逆襲(1955)』のレビューを含め昭和ゴジラシリーズの総合レビューを行います。が、後に各作品ごとのレビューも上げていきますので御了承ください。