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古代文明機 アーシェス  作者: 海猫銀介
1章 目覚めたアカシャの戦士
5/26

第3話 情熱の赤 ビルブレイズ

   1

ヴィクターの制御があるおかげか、不思議と機体をうまくコントロールできていた。

しかし、まだまだ不慣れであり実戦となれば不安は残る。

だけど仲間を助ける為には戦うしかない。 いよいよ、ヴェノムの反応があったポイントへと到達した。


「敵は近いわ、警戒して」


「う、うん、わか――」


瑞葉が返事をしようとした途端、ガンガンガンガンッと地上が激しく揺れ始める。

レーダーを見ると赤い光が猛スピードでこちらに近づいてきていた。

肉眼で確認しようとモニターを凝視すると、地平線の向こうから獣のような巨大生物が土煙を上げながら

四足で地上を激しく揺らし、向かってきていた。


「ヒッ、な、何か来てるっ!?」


武器は何かないかと探そうとすると、あっという間に距離を詰めてきた獣のヴェノムは低い呻き声を唸らせ、大きな口を開いた。


「ちょ、ちょっとまままままっ!」


パニック状態に陥った瑞葉は、とにかく迎撃しようとスロットルを力いっぱい押し込みアルヴァイサーは敵ヴェノムに向かって飛び掛かった。


「え、え? ち、違うってばっ!」


意図しなかった操作に悲鳴を上げながらも、瑞葉は更にスロットルを押し込むとアルヴァイサーは敵ヴェノムの懐に向かって殴りかかった。

ガコォンッ、鈍い音と同時にコクピットが揺らされ瑞葉は懸命にスロットルを引く。

気が付いたら、ヴェノムは派手な音を立て、倒れていた。


「ナイスよ、部長さん」


「え、何? 何かしたっけ、私?」


無我夢中に機体を制御していたのか、我に返ると瑞葉は先程のヴェノムが倒れている姿を見て思わず驚いてしまった。

が、ヴェノムはグルルと呻き声を上げながらヨロヨロと起き上がり、突如空へと向かって遠吠えを発した。

すると、ヴェノムは赤色の輝きに包まれ、周りの瓦礫が渦を巻くように集い始める。


「な、何? 何が起きているの?」


「ヴェノムの中に『フライター』の反応を確認したわ……いけない、早く止めないとっ!」


「フライターの反応? と、止めるってどうすれば……キャッ!?」


ガァンッ! コクピットに激しい振動が伝わり、瑞葉は小さな悲鳴を上げる。

周囲の瓦礫が集まってきた拍子にいくつかアルヴァイサーに直撃してしまったようだ。

瑞葉はとにかく止めようと突撃しようとした刹那、カッと赤い光が放たれ、一瞬だけ目が眩んだ。


「な、何? 何の光なの?」


「ヴェノムがアルマフォースを発動させた。

まずいわ、いくらアルヴァイサーと言えど素人の貴方が同性能のアーシェスを相手には――」


「ど、同性能のアーシェスって? まさか、あれって――」


気が付くと、瑞葉の目の前には真っ赤なアーマーに包まれた獅子の姿があった。

背中に巨大なブースターを背負っており、両手両足が強靭な防具に守られている。

赤い瞳をギラつかせながら、アルヴァイサーを威嚇するように唸り続けていた。


「ど、どういうこと? ヴェノムが、アーシェスになったの?」


「形は多少違うみたいだけど、間違いないわ」


「どうしてヴェノムが――」


と、言いかけた時に瑞葉の中に一つの可能性が過ぎる。

瑞葉がフライターで戦ったヴェノムは確かアルヴァイサーのパーツを体に取り込んでいた。

それは、瑞葉自身がヴェノムに捕らわれていた事が影響したはず。 だとすれば――


「久原君? 久原君が捕らわれているの?」


「ええ。 でもどうしてわかったの? 他の二人も捕らわれていると教えたはずだわ、パイロットを特定できるはずないでしょ」


「うん、ちょっと……わかっちゃった、かな」


瑞葉は上手く言葉で説明できなかった。

ただあのヴェノムからは何処か丈一らしさを感じただけではあるが。

これもアルマフォースが目覚めた影響なのだろうか。


「ねぇ、久原君を助けるにはどうすればいいの?」


「フライターを奪還すれば簡単に済む話だったけれど、合体されてしまった以上それは難しいわ。

地道に装甲をはがしていく手もあるけれど……或いはあの子が貴方みたいに、自力で這い上がって来れればいいのだけれど」


「這い上がる?」


「ヴェノムに支配された時を思い出して。 貴方はヴェノムの精神の中に閉じ込められた時、白い光を生み出して自力で這い上がったじゃない」


ヴェノムに支配された時、それは母親の過去を見せられた時の事を指しているのだろうか。

確かに瑞葉は自らが生み出した母親に罵られていた時、誰かの声を聞いた。

そして誰かの手によって、引き上げられたことも鮮明に覚えている。

そうだ、瑞葉は自力で這い上がったわけではない。

自力で、ヴェノムの支配を脱したわけではなかった。


「ううん、違う。 私は誰かの手に引き上げられたの」


「引き上げられた?」


「よくわからないけど、光が射して……誰かが私の事を――そうだっ! ねぇ、私にもできないかな? 久原君を、この手で久原君を引き上げる事を」


何となくの思い付きではあった。

瑞葉が誰かに助けられたように、瑞葉自身も丈一に手を差し伸べてヴェノムの支配から助けてあげることはできないのかと。


「貴方の白き力はヴェノムの支配を受けない絶対領域の力を持つ。

力が覚醒した貴方であれば決して不可能ではない……けど、気を付けてね。

白の力が途絶えてしまえば貴方は再びヴェノムの支配を受ける事になる、そうなってしまえば――」


「失敗なんて、するもんかっ!」


「……そう、ならやってみなさい」


瑞葉は深く深呼吸をして、自分の心を落ち着かせる。

落ち着いて冷静になれば、丈一を無事助け出すことが出来るはず。

今もこうしてヴェノムの支配を受けて苦しんでいるのだ、その苦しみは瑞葉自身がよくわかっている。

だから、早く助けてあげないと――


「グオォォォッ!」


天に向かって吠えると、ヴェノムはブースターを全開にさせて、驚異の速度で駆け出し始めた。


「き、来たっ!? な、何か……ぶ、武器はないのっ!?」


「アーシェスの武装はパイロットのアルマフォースによって異なるわ」


「私のアルマフォースによって?」


瑞葉自身に眠るアルマフォース、その力が何なのかは理解できていない。

力によって武装が決まるならと思考を巡らせるが、ヴェノムは考える隙を与えまいとあっという間に距離を詰め突進を仕掛けた。

間一髪でアルヴァイサーは両腕でヴェノムを抑え込むことに成功したが、ヴェノムはブースターを噴かせて驚異の推進力でアルヴァイサーをジリジリと押し続ける。


「く……こん、のぉぉっ!」


力で押し返そうと瑞葉はフルスロットルで押し返そうとするが、ヴェノムの方が遥かに力が上回っておりアルヴァイサーは踏み止まる事も出来ずに押され続ける。


「ダメ……この出力じゃ全然足りないっ!」


「グゴォォォッ!」


ヴェノムは獰猛な声を上げると、大きく口を開くと同時に猛スピードで飛び掛かってきた。

咄嗟にアルヴァイサーが防御をしようと腕を構えるも虚しく、左腕に鋭い牙がめり込んだ。

ミシミシミシッと音を立て、今にも左腕が引き千切られそうな状態であった。


「こ、この……止めなさいって言ってんのっ!」


身動きが取れない状態でも強気な姿勢を崩さない瑞葉は、何とかヴェノムを追い払おうと操縦桿のトリガーを引くと、ヘッドからバババッ! とバルカンが発射された。

顔に直撃を受けたヴェノムは呻き声を上げて怯むと、その隙を狙いアルヴァイサーは巨体のヴェノムを蹴り飛ばす。

すると、ヴェノムが倒れて、激しい地響きが引き起こされた。


「ハァ……ハァ……あ、危なかった……危うく腕が一本取られちゃうところだった」


「単純な力比べでは勝ち目はないわよ」


「ど、どうすればいいの? やっぱり武器か何かがないと……」


「アーシェスの原動力は全て貴方のアルマフォースにかかっているわ。

武器を生成するのも、貴方のアルマフォースを発動させる必要がある」


「ぶ、武器を生成? そんな事できるの?」


「説明よりも、やってみたほうが早いわ。 一度アルマフォースを発動させた貴方になら、出来るはずよ」


「わ、わかった……やってみる」


ヴェノムが怯んでいるうちにと、瑞葉は目を閉じて強く念じると両手が白い光に包まれていく。

アルヴァイサーの右腕が白い輝きに包まれると、信じられない事に右手にはライフルが装着されていた。


「うわ、本当に出た……銃だ」


瑞葉は思わず目をギョッとさせると、立ち上がろうとしているヴェノムにライフルを向ける。

飛び掛かろうとした瞬間に放ってやろうとタイミングを伺いつつ、ジリジリと距離を取ろうとすると……

グオォォッ! と、ヴェノムは雄叫びを上げた。


「う、動かないでよっ!」


瑞葉がトリガーを引いた瞬間、ライフルから真っ白な閃光が走る。

数秒遅れて、爆音が鳴り響いてモニターが白い光に包まれた。

気が付けばヴェノムは凄まじい雄叫びを上げてズドンッと倒れてしまっていた。


「び、ビックリした……これ、ビーム砲なの?」


「アーシェスの基本武装の一つ、フォトンライフルよ。

貴方のアルマフォースを限りなく凝縮させた強力な一撃を放つから、貴方の力が途切れない限り弾切れの心配はないわ。

それと、貴方程のアルマフォースがあれば、非常に強力な武装になるはずよ」


「な、ならやってみるっ!」


これで動きを止めれば丈一を助けることが出来るはず、瑞葉は倒れているヴェノムに向けて照準を合わせた途端……

ヴェノムは赤い瞳をギロリと光らせ立ち上がる。

構わずに瑞葉はトリガーを引くと、激しい銃声と共に白い閃光が槍の如くヴェノムへ向けて飛ばされた。

だが、ヴェノムは巨体とは思えない俊敏な動きで、ライフルの一撃を躱した。


「な、何? さっきまでと動きが違う……? でも、当てなきゃっ!」


接近を許すまいと一発、二発と放つが、弾は全て避けられてしまい、

ヴェノムはバーニアを噴かせてるとあっという間にアルヴァイサーとの距離を詰めた。


「このっ、アンタが動いちゃ当てられないでしょうがっ!」


瑞葉は無意識のうちにレバーを倒すと、アルヴァイサーのフォースライフルが白い輝きに包まれ一本の剣へと姿を変えた。

ガキィンッ! 剣は仕掛けてきたヴェノムの襲撃を上手く受け止め、強引に機動をずらす事に成功した。


「今度は剣? な、何で武器が変化するの?」


「言ったはずよ、アーシェスの武装はアルマフォースによって形成されると。

アーシェスとアルマフォースがある限り、貴方の力に沿った武装が自由に生成できるの。

でも、気を付けてね。 貴方のアルマフォースが尽きれば強制的に合体が解除されるわ」


「つ、尽きる事あるの?」


「そうよ、力は無限じゃないもの。 だから、早いうちに何とかした方がいいわ」


「な、何とかしろって言っても……」


先程からヴェノムの一撃を辛うじて防ぎきっているが、このまま守り続けても分が悪いのは確かだ。

一応ダメージは与えているもののもっと強力な一撃でなければ致命傷にまで至らないようだ。

が、丈一が囚われている以上、強力な武器を使うのは躊躇われる。

ヴェノムの動きに注意して瑞葉は出来る限り近づかないように距離を離していくと、突如相手の動きが止まった。

チャンスと思い、瑞葉はライフルを構えてトリガーを引く。

だが、同時にヴェノムは大きな口を開きその奥から真っ赤なビーム砲が発射された。


「え、ま、まままっ―――」


ズガァァァァンッ! 耳をつんざくような爆音と共に、赤い光が地面を抉りながら一直線に突き進む。

凄まじい爆風と共に、赤い光はアルヴァイサーを飲み込んだ。

回避が間に合わないと判断した瑞葉は咄嗟に左腕で身を守ろうとすると、突如巨大なシールドが生成された。


「ぐぅぅぅっ! こんのぉぉぉっ!!」


ヴェノムが放ったビームは容赦なくアルヴァイサーに襲い掛かり、瑞葉はシールドを構えて一撃を凌ごうとする機体を踏み止まらせた。

だが、アルヴァイサーは徐々に押されていき、盾が吹き飛ばされそうになりながらも絶対に離すまいと瑞葉は操縦桿を強く握りしめていた。


「――お前――――か?――」


「く、久原君っ!?」


すると、何処からともなく丈一の声が聞こえ始めていた。

何を言っているかまでは聞き取れなかったが、気のせいではない。


「彼のアルマフォースが吸い取られているわ、戦闘が長引けば長引く程彼の負担は高くなっていくだけよ」


「うるさい、わかってるっ! ……早く、助けなきゃっ!」


瑞葉の中から焦りが生じていた。 このまま戦闘が長引いてしまえば、丈一はどうなってしまうのか。

それだけじゃない、他の二人も同じ状況に追い込まれているというのに。 こんなところでもたもたしていられない。

早く……助けなければ、と歯を食いしばった。


「届きなさいよ……私の、アルマフォォォォスゥゥッ!!」


瑞葉はフルスロットルでアルヴァイサーを前進させると、機体が白い輝きに包まれ、赤い光を全て弾き飛ばした。

強引にビーム砲を突破すると、アルヴァイサーはヴェノムの頭を片手で鷲掴みにした。


「久原君を、返せぇぇぇっ!」


瑞葉の叫び声に応えるかのように、アルヴァイサーの白き輝きが最高潮に達すると、そこで瑞葉の意識は一度途切れた。




  2

薄暗くて肌寒く、ふわふわと身体が浮かされているかのような感覚。

心地よいとは言えない、出来れば二度と体験したくなかった感覚に戸惑いながら、瑞葉は周囲を見渡した。

やはり、闇に包まれていた。 光の類は一切存在せず、先の見えない闇だけが無限に広がり続ける。

ここは、ヴェノムの中なのだろうか。


「よくわかんないけど、これって成功……なの?」


無我夢中にヴェノムを掴んだところまでは記憶に残っているが、少なくともこの場所は以前瑞葉が捕らわれた空間と同じであることは間違いない。

ならば、丈一が何処かにいるはずだ。


「おい、有香(ゆか)……お前、本気で言っているのか……?」


「しつこいわ、私にもう近寄らないで」


何処からともなく、声が聞こえてくる。

一人は間違いなく丈一であるが、もう一人の有香とは一体誰の事なのか?

瑞葉は声を頼りに空間を泳ぐようにして突き進むと、僅かな光を見つけ出した。


「やっぱり、私の時と同じなんだ……でも、どうすれば」


とにかく助ける、と言って踏み込んだまではいいが、いざ現場へ足を踏み出すと何をすればいいのかわからず瑞葉は戸惑う。


「私、知ってるんだから。 お兄ちゃんがずっと、隠していた事ぐらい」


「隠してた、わけじゃねぇよ」


「嘘ね、私は本当のお兄ちゃんの姿を知っている。 友達から、お兄ちゃんのよくない噂をたくさん聞いたの」


「お前の、友達から?」


相手は丈一の妹なのだろうか、小学生くらいの小さな女の子が丈一を軽蔑するような冷たい目をしていた。

丈一に妹がいた事は驚きだが、どうも様子がおかしい。

瑞葉が母親に話しかけられていた時と同じだ。

ヴィクターが言った通りであれば、あれは自分自身が生み出した『トラウマ』自身に過ぎないと。

まさに丈一は今、ヴェノムが仕掛けた罠にはまろうとしているところだった。


「久原君、久原君っ! ダメよ、その人は違うっ! 貴方の妹ではないわっ!」


必死で瑞葉は叫ぶが、どう言う訳か丈一には瑞葉の声が届いていない。

ただ険しい表情で立ち尽くしているだけだった。


「お前の兄貴はスポーツ万能でケンカも強い? そんなのウソッパチだって」


丈一はその一言で動揺していた。 額から嫌な汗を流し、妹から目をそらしただ歯を食いしばる。

あの虚弱体質な丈一がスポーツ万能? 一体何を言っているのかわからず、瑞葉自身も混乱してしまった。


「この前、商店街で近所のお婆ちゃんが大荷物を抱えていたから、代わりに荷物を運んであげたでしょ?

だけど、お兄ちゃんは途中、息切れしながらも途中何度も何度も休憩を入れた挙句、お婆ちゃんから逆に心配されていたって」


なんともまぁ、想像しやすい図なのだろうか。

丈一なら間違いなくやりかねない行動で瑞葉は思わず呆れるが、二人にとっては笑い話では済まないようだ。


「それだけじゃない、近所でカツアゲされてる子供を助けようとして返り討ちに逢ったり、小学生の野球にピンチヒッターとして出たら三振した挙句、貧血で倒れて病院に運ばれる事態も」


丈一らしい情けない失敗の数々にフォローする言葉が見つからない、しかしこの程度なら全て笑い話で済むようには思える。

だが、ここで生み出されるのは自身のトラウマに関わる事のはず。

まさか丈一がこの程度の事でトラウマを埋めつけられているはずはない。


「―――私、お兄ちゃんがこんなに情けない人だってなんて、知らなかった。

いつも私の前では強そうで頼りになって、カッコイイお兄ちゃんだったのに」


「待て、有香……違うんだ、俺は――」


「言い訳なんて、聞きたくない。 私、知らなかった。 お兄ちゃんが昔、病弱だった事。

そのせいで身体が弱くて、運動音痴で何をやらせてもダメだった事」


「もう、身体は丈夫になってるんだ。 後は俺自身が遅れた分を、取り戻すだけなんだよ。

なぁ、もう少し待ってくれ。 今からでも俺は、お前が望む理想の兄になれるはずなんだっ!」


「またそうやって、私を騙そうとするんだ。 本当は元々運動なんてできない癖に、全て病気のせいにして」


「違う、俺は病気のせいにしたことなんて――」


不思議と周囲の闇がより一層に深まっていく感覚がした。

丈一がヴェノムに呑まれようとしている……自身が生み出したトラウマによって。

早くしなければ、ここまで来たのだから助けなければ、と瑞葉は叫んだ。


「ちょっと久原君、久原君っ!」


手を伸ばそうにも、光の中に入り込むことが出来ない。 声も届かず、触れる事すらできない。

一体どうすればいいのかと、瑞葉は焦りを感じていた。


「私、友達からお兄ちゃんの話を聞いて恥ずかしくなった。

大好きだったお兄ちゃんの本当の姿が、そんな情けなかっただなんて……幻滅した。

本当のお兄ちゃんは嘘つきで、見栄っ張りで、情けないお兄ちゃんなんだって」


「有香……違うんだ、俺はお前の為を思ってっ!」


「だから言い訳は聞きたくないって、何度も言った。 もういい、お兄ちゃん。

私、こんな情けないお兄ちゃん欲しくなかった。 ただの情けない、見栄っ張りなだけのお兄ちゃんなんて……いらないっ!」


「……っ!」


丈一は言葉を失い、呆然と立ち尽くしていた。

自身が生み出したトラウマからの拒絶、それは瑞葉自身も味わった痛みだ。

あの苦しみから立ち上がれたのは、誰かが瑞葉の事を引き上げてくれたから。

だから、瑞葉も同じように……丈一を助けたかった。


「私は久原君とは短い付き合いかもしれない。 だけど、私……久原君が情けない兄だとは、ちっとも思えないっ!」


瑞葉は必死で光の中に手を伸ばし、叫び続けた。


「久原君が虚弱体質なのは知ってるよ、でも久原君はそれを言い訳にしたことなんて一度もないじゃない。

むしろ、そんな事を吹き飛ばそうとする久原君の根性は大したものじゃないっ!

久原君は立派だよ、ちゃんと……自分自身と戦ってるっ!」


丈一に届いてくれ、と願いながら瑞葉は必死で叫び続ける。

すると、瑞葉の体は白い輝きに包まれ始め、徐々に右腕が光の中へ入り込んでいく。


「アンタが情けないワケないでしょ、もっと自信を持ちなさいよっ!

何妹に変な事を言わせてんのよ……貴方の妹は本気でそんな事を思っているの?

違うでしょ、それは貴方が生み出した……ただの幻想でしょっ!?」


瑞葉自身がそうだったように、丈一も同じに違いないと瑞葉は叫んだ。

そう、ヴェノムの支配から逃れるには、自身のトラウマと向き合うしかない。

ヴィクターも同じことを言っていたはずだ。 だったら、瑞葉はその道を示してあげればいい。

後は手を伸ばして、丈一が掴んでくれるのを待てばいい。


「いい加減目を覚まして……アンタの情熱と根性、私に見せなさいよっ!」


その時、丈一がハッと我に返ると、丈一はキョロキョロと周囲を見渡す。


「お、音琴先輩?」


「さよなら、情けないお兄ちゃん……ワタシハモウ、オニイチャントハイラレナイ」


同時に妹が徐々に影に呑まれていき、赤い瞳をギロリと輝かせた。


「久原君、気づいたの? 早く、早くこっちに来てっ!」


「どうして、先輩の声が?」


だが、瑞葉に気付いているわけではないようだ。

あと少し、あと少しで助けられると瑞葉は懸命に呼びかけ続けていると、ふと丈一の体に赤い光が灯っている事に気付いた。

あの光……まさか、と瑞葉は察した。


「アルマフォースっ!? そうか、久原君も――」


「俺は確かに、情けない兄貴かもしれない。 だけど、先輩が言ってくれた。 俺は立派だって……自分自身と戦えてるって」


丈一から発する赤い光が徐々に強まってきていた。

丈一の周囲には妹の姿をした影が次々と増えていき、赤い光に手を伸ばそうとゾンビのように集っていく。


「見せなさいよ……誰よりも情熱的な、久原君のアルマフォースをっ!」


「―――そうだ、俺は今までそうやって生きてきた。

いくら身体が虚弱だろうが何だろうが、誰よりも熱い情熱と……根性だけで全てを乗り切ってきた」


丈一は深く深呼吸をして、右手で拳を作り天に向かって高く掲げた。


「音琴先輩、何処かで見ているんだろ? アンタ言ったよな、俺の情熱と根性を見せろって。

なら、今すぐにでも見せてやるよ、俺の情熱と根性の―――アルマフォースをっ!」


その瞬間、丈一を中心に真っ赤な光が闇を掻き消していった。

影は一瞬にして消え去り、高く掲げた拳が白い光に包まれていく。


「うおおおおおぉぉぉっ!!」


「な、何これ……なんだか凄く、熱い……。 い、今なら久原君をっ!」


熱気のような熱い光を受けた瑞葉は、光の中に懸命に手を伸ばすと、ガシッと丈一の拳を掴むことが出来た。


「久原君っ!」


「おおおおおおおおおっ!!」


赤い光に白き光が混じると気づけば辺り一面の闇は消え去っていた。

身体が浮かせるような感覚と、暑苦しいぐらいの熱気を感じながら瑞葉の意識は再び途切れた。




 3

ハッと瑞葉が目を開くと、モニターには獅子の姿をしたヴェノムが映し出されていた。

慌てて操縦桿を握ったが、ヴェノムは身動きを取らずにその場で苦しんでいる。

何が起きたのかわからず様子を伺っていると、突如空高く雄叫びを上げた。

大きく口を開いた瞬間、ギュンッと風を切る音と共に、空高く高速で何かが飛び出していった。


「あれは、古代兵器? く、久原君が乗っているのっ!?」


「ええ、どうやらフライターと共に脱出できたみたいね。 ならば、合体するわよ」


「え? また、合体するの?」


「そうよ、あの子の赤き力をアルヴァイサーに取り込むの」


「そ、そんな事できるの?」


赤き力を取り込む? と聞いて瑞葉は首を傾げた。

あのフライターは見た感じ、瑞葉が乗っていたフライターと同じだ。

同じように人型兵器に変形できるのかと思ったのだが、ヴィクターの言葉を聞くとどうやら違うように聞こえた。


「本来アーシェスはたったの一機だけなのよ。

分散された力を一つに戻すだけ、つまり本来の力を取り戻すには分散したフライターを一つに戻す必要があるの」


「それって、2機で1体のアーシェスを生み出すって事?」


「ええ、そうよ。 今はパーツが足りなくてアーシェスは不完全な姿になっている、と言った方がイメージしやすいかしら?」


「パーツを補うって事ね? わ、わかった。 とにかくやってみるっ!」


瑞葉は空高く飛び上がった赤いフライターを追う為、アルヴァイサーを空高く飛び上がった。


「今よ、アルマフォースを解放させてっ!」


「いっけぇぇぇっ!!」


アルヴァイサーから白き光が発せられるとヴェノムを纏っていた部品が次々とはがされていき、周囲に次々と集っていく。

丈一が乗っている赤いフライターも、アルヴァイサーの力に引かれていた。


『な、こ、ここ何処だよっ!?』


「久原君? 無事なのっ!?」


通信機から、間違いなく丈一の声が聞こえた。 やっぱりちゃんと助け出せたんだと安心した。


「久原 丈一、聞こえている? やるべき事は、わかっているかしら?」


『な、なんだか知らねぇけど……やってやるよっ!』


丈一が叫ぶと、アルヴァイサーは一度分離された。

パーツが赤いフライターを中心にグルグルと周り始め赤いフライターが一気に天に向かって直進していく。

自然と瑞葉のフライターも赤いフライターに続き、猛スピードで飛ばされた。


「来いよ……ビルブレイズゥゥッ!」


赤いフライターから真っ赤な光が発せられると同時に、周囲のパーツが次々と生成されていった。

巨大なボディに強靭な腕と両足が生成され、赤いフライターは徐々に巨大な人型ロボットへと姿を変えていく。

瑞葉のフライターが変形し始めると今度は姿を大きな翼のような形状となり、フライターから一回り大きくなった戦闘機となった。

更に瑞葉の戦闘機は人型に変化した丈一のアーシェスと合体すると

アルヴァイサーよりも一回り大きいアーシェス、『ビルブレイズ』がここに誕生した。


アルヴァイサーのスマートなボディに対してビルブレイズは赤を中心とした強靭なボディだった。

見るからに重みのある巨大な両腕と脚、拳にはナックルが備えられている事から間違いなく腕そのものが武器の役割を果たしている。つまり、アルヴァイサーと違って武器は生成するのではなく固定化されていると思っていいだろう。


ヘッドはアルヴァイサーが人型に似せていたのに対し、大きな一つ目であった。

ギラリと瞳を赤色に輝かせている。

そして背中にはブースターの役割を果たすアルヴァイサーの飛行形態がドッキングされていた。


「が、合体というか、全く違い機体になってない?」


「そ、そうなのか? 俺、よくわかんねぇんだけど」


「って……どうしてアンタがここにいるのよっ!?」


合体を終えた途端、気が付けば瑞葉の目の前にはシートに座った丈一の背中が目に映った。

合体の最中にコクピットまで同化したのだろうか。


「グオォォッ!」


合体が解除させられたヴェノムは怒り狂ったかのように雄叫びをあげると、地を激しく揺らしながら猛スピードで駆け出し始めた。


「ちょ、ちょっと来てる――あ、あれ? どうして、動かないの?」


咄嗟に瑞葉はガチャガチャと操縦桿を動かすが、どう言う訳か機体は身動きを取ることが出来なかった。


「アーシェスは今、赤のアルマフォースをトリガーとした形態に変化しているわ。

貴方達のアルマフォースによってアーシェスは姿を変える。

白き力の場合はアルヴァイサー、そして赤の力をトリガーにしている今はビルブレイズ。

だから白のアルマフォースではビルブレイズの操縦はできないのよ」


「それってつまり、久原君じゃないと操縦できないってこと?」


「ま、マジかよ? 俺、こんなのゲーセンでぐらいしかやったことねぇぞっ!?」


瑞葉と全く同じ事を言った丈一が何処か瑞葉と似ているのだろうかと内心ため息をつくと、ズドンッ! と激しい音を立てて瑞葉はシートに叩きつけられる。

ヴェノムの一撃によってビルブレイズが倒れてしまったようだ。


「ちょ、ちょっと真面目にやりなさいよっ!」


「バッ、む、無理に決まってんだろっ!? こ、こんなの動かした事ねぇしっ!」


「そこは、アンタお得意の根性で何とかしなさいっ!」


「んな、無茶なっ!?」


丈一の悲鳴と同時に、またしてもヴェノムからの一撃を受けて機体が激しく揺れる。


「わ、私だって動かせたんだから、アンタでもできるはずでしょっ!」


「ンな事言ったって……あークソッ、こんなのわかるわけねぇだろっ!」


「勘よ、勘っ! 勘で動かしてっ!」


「無茶苦茶言うなっつーのっ! せめて、使い慣れてるアケコンなら何とか……」


「アケコン?」


そういえば丈一は生粋の格ゲープレイヤーであったことを思い出した。

中学時代からアーケードゲームにはまり続け、格ゲーも相当やりこんでいると聞いている。

つまり、アーケードゲームに使われているアーケードコントローラー、通称アケコンを長い間使い込んでいるのだ。

そこで、ヴィクターが言っていたアルマフォースが武器を生成する、という言葉をヒントにある事を思いついた。


「ねぇ、アンタのアルマフォースで……操縦桿をその、アケコンってのにできないの?」


「ハァッ!? 先輩、何無茶いってるんすかっ!?」


「いいから、やりなさいよっ! アンタ格ゲー得意でしょ、それと同じにしちゃえば動かせるんじゃないのっ!?」


「ん、んな事言われて……も……?」


丈一は突然言葉をとぎらせて固まった。

何かと思い瑞葉が覗き込むと信じられなことに丈一の目の前にはゲームセンターでよく見るアーケードコントローラーが設置されていた。

そう、これこそが丈一が待ち望んでいた『アケコン』だ。


「貴方の発想力には驚かされるわね、部長さん。 こんな力の使い方、旧人類は誰も思いつかなかったわよ」


「え、嘘? 本当にできちゃったの?」


「こ、これ……俺がいつも通ってるとこと同じだ。

レバーの感度もバッチリじゃねぇか……せ、先輩? これ、マジで動かせるんですかね?」


「も、もうわかんないからさっさとやりなさいよっ!」


「あ、ああ。 こいつがあれば百人力だっ!」


丈一がアケコンを握りしめたのを確認すると、瑞葉はスロットルを一気に押し込んだ。

ビルブレイズは猛スピードで直進していき、あっという間にヴェノムとの距離を縮める。


「機体の制御は私に任せて、久原君は殴る事だけを考えればっ!」


「あ、ああ。 俺のスタイルはガン攻めだ、攻めなら誰にも……負けねぇぇっ!!」


覚悟を決めた丈一は、雄叫びを上げるといつもの通りスティックを握りしめた。

手慣れた手つきでガチャガチャとレバーを動かし、ボタンを叩く。

ガァンッ! ビルブレイズのアッパーが直撃し、ヴェノムは宙へと浮かされた。


「やるじゃない、久原君っ!」


「なるほど……ヘヘッ、これならやれそうだぜっ! このままエアリアルを叩きこむっ! 先輩、飛んでくれっ!」


「わかってるっ!」


追い打ちをかけようとビルブレイズは空高く飛び上がると、ヴェノムに拳を叩きこむ。

一撃、二撃と容赦なく殴り続けると、ヴェノムは怒り狂いビルブレイズの懐へ飛び込み一気に地上へと押し込んだ。

地上に落とされた衝撃でコクピットが激しく揺れるが、二人は動揺せず冷静に状況を分析する。


「どうするの、このまま突き放せる?」


「任せろっ!」


ビルブレイズはヴェノムを蹴り飛ばすと勢いよく吹き飛ばされていく。

だが、上手く着地したヴェノムはグルルと唸ったまま、ビルブレイズを睨みつけていた。


「な、何かを狙っている? ちょっと待って」


「よっしゃ、このまま攻め継続だっ!」


丈一は瑞葉の命令を完全に無視してビルブレイズはヴェノムへ向かってブースターを激しく噴かせて突進していく。

ヴェノムは姿勢を低くすると、空高く飛び上がりビルブレイズを飛び越えてるとあっという間に背後を取られてしまった。


「ちょ、ちょっと何やって――」


「いや、これでいいっ!」


ヴェノムが飛び掛かってこようとした瞬間、ビルブレイズは即座に振り返りアッパーを決め込んだ。

ガァァンッと激しい金属音が鳴ると、ヴェノムは上空へと持ち上げられた。


「対空は得意中の得意だからな、俺の前に迂闊に飛び込むってことがどんだけリスクが高いか教えてやるよっ!」


丈一が手慣れた手つきでコンボを入力していくと、ビルブレイズは丈一の意のままにヴェノムを容赦なく殴り続け宙で拘束し続けた。

「先輩、何か必殺技ないかっ!? 俺、まだ殴るぐらいしかわかんねぇんだよっ!」


「ひ、必殺? ア、アルヴァイサーのフォースライフル、とかなら……」


「OKっ! なら、フィニッシュにそれ頼むぜっ!」


「え、え? わ、わかったっ!」


瑞葉はよくわからないうちに承諾すると、ビルブレイズは両手を組みヴェノムを勢いよく地上へと向けて叩き潰した。


「今だ、先輩っ!」


「う、うんっ!」


丈一の合図と同時にビルブレイズが白い輝きに包まれると、一瞬にして形状が変わっていきあっという間に外見がアルヴァイサーへと変化した。

ビルブレイズが混ざった影響か、ところどころ赤い部品が混じっており手に持ったフォースライフルも形状が何故か変化していた。 だが、今はそれを気にしている暇はなく、瑞葉はトリガーを握りしめ、ヴェノムに狙いをつけた。


「これで……とどめ、だぁぁぁぁっ!!」


瑞葉がトリガーを引くと、周囲に赤い光が集っていき……先程の一撃よりも遥かに太いビームがライフルから発射されていた。

ズガァァァァンッ! 激しい爆音と共に、ヴェノムは赤色の光に包まれ、周囲に黒い煙が舞い上がった。


「な、何これ? 出力が明らかに上がってるっ!?」


「二人分のアルマフォースが合わされば、それくらい容易い事よ、だけど……まだまだアーシェスは本来の力を取り戻していない」


「ま、まだ強くなるの? アルヴァイサーって……」


更なる力を秘めているアルヴァイサーに思わずゾッとするが、今はヴェノムがどうなっているかを確認する事が優先だ。

地上を見下ろし黒い煙が晴れていくと、まるで隕石が落下したかのような巨大なクレーターが作られていた。

アルヴァイサーからいかに強力な一撃が放たれたのかを物語っているように。

クレーターの中心には、真っ白になったヴェノムが横たわっていた。


「おいおい、まだ生きてるのかよ?」


「ううん、ちょっと待って……何か、違う」


何故色が変化しているのだろうか。

瑞葉は恐る恐るヴェノムの様子を伺いながら、アルヴァイサーを地上へ降ろす。

すると、ヴェノムはヨロヨロとしながら立ち上がった。

咄嗟に身構えてしまったが、不思議と敵意は感じない。

こちらを見つめるように、ヴェノムはじっと座ったままだ。


「何も、してこない?」


「なんだ、どうなってる?」


ヴェノムはそのまま何事もなかったかのように白い輝きを放ちながら、大人しく何処かへ走り去ってしまった。

瑞葉の時に見たあの大きな巨鳥のように。


「お、終わったの?」


「終わった、みたいだな」


ようやく戦闘が終わってホッとすると、瑞葉の視界が一瞬だけ眩んだ。


「あ、あれ……どうしちゃったんだろ、私」


「アルマフォースの使い過ぎね。 今日は一度、引き上げた方がいいわ」


「ま、待って、みんなを助けないと――」


「焦ってはダメよ、アルマフォースが尽きる時は死を意味するわ。 今日は大人しく体を休めるのよ」


「ダ、ダメ――まだ、私は―――」


やれる、と瑞葉は言葉を絞り出そうとしたが、最後まで言い切る事が出来ず、そこで意識が途切れてしまった。


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