卒業証書
「もう、卒業か……」
「やっと、卒業か……」
そんな声が所々聞こえた。
卒業式当日。
僕ら卒業生は、中学校の「卒業証書」を貰った。
「卒業証書」
紙切れ一枚に、その学校で全ての課程を終了した事を表すもの。
たかが紙切れ一枚と思う人もいるだろう。
だけど、この紙切れ一枚に書かれている事は凄く大切な事な思いもあると思う。
今の時代、ほとんどの人は高校までは行くだろう。
そして、高校卒業までに三回「卒業証書」を貰う。
小学校で一枚。
中学校でまた一枚。
そして、高校で一枚。
皆、大人になるために貰う。
「卒業証書」は大人になっていることを認めてもらうためにあると思う。
小学校では、凄く小さな子どもから始まった。
義務教育と言われ、6年間通い続けた。
初めての授業、初めての友だち、初めての先生……
色んな初めてを体験して、初めて大人に近づいた。
小学校の「卒業証書」には、『初めてからの卒業』が認められたと思う。
中学生では、責任や義務などが多くなる。
部活や生徒会に参加して、自分のため、他人のために動く。
精神、肉体共に大きくなり、喧嘩や助け合いなど人間として生きる事を学ぶ。
勉強、人間関係、仕事……
様々なことに悩まされ、解決してきた。
中学校の「卒業証書」には、『人間としての生き方』が認められたと思う。
高校では……
まだ中学卒業をした僕らにはわからない。
勉強が更に難しくなり、人間関係も難しくなる。
色んなことが難しくなり、悩みを持つだろう……
ただ、高校を卒業した時……
「学校って楽しかったな!」
そう思える事を信じたい。
高校卒業で、勉強を教わることがなくなる人はいるだろう。
社会人として、働いていく人もいるだろう。
でも、今まで学校で過ごした日々が『楽しかった』と思えれば、最高の過去だと思う。
中学校を卒業し、もうすぐ高校生となる……
手には、「卒業証書」がある。
なんとなく、重みを感じる。
まだまだ人間としても未熟な僕ら。
それでも、少しずつ大人に近づいている。
もうすぐで、皆とも離れ離れとなる。
でも、僕は寂しかったりはしない。
また新しい生活になるのだから……
新しい……自分を見つけるのだから。