第2話
約30km先から悲鳴が聞こえてきた。
なぜこんなに正確な距離が分かるのかというと
俺はこの世界に来てから聴覚が異常に特化していて約100km先まで聞こえる。
聴覚だけはない。視覚、嗅覚なども特化している。
「くっ!今から行って間に合うか・・・、
クソッ!何か、何か良い魔法はないのか!!」
俺は頭の中で"太陽の書"を使っていた。
たった30分前に気づいたことなのだが"太陽の書"は一度使ったらいちいち
具現化しなくても頭の中で使えることがわかった。
そんなこと早く気づいていればめんどくさいことしなくてもよかったのになぁ~と
思っていた。
そしてもう1つ"太陽の書"で自分の魔法が調べられることがわかった。
「あっ!この魔法・・・・うん、これだ!今の状況で一番使える魔法だ」
俺は早速、その魔法を使った。
「・・・・よしっ、いくぞ!」
その魔法を使った瞬間、体の周りに一気に"風"が集まってきた。
そう。たった今発動した魔法は風を操る竜"風竜"の魔法だ。
風竜は別名"瞬速竜"とも言われていた。
「これなら・・・いける!待っててくれ今助けにいく!」
そういって大地を強く蹴り、走り出した。
そして俺」はこの時、自分の魔法がどれだけ強力なものかを知らされる。
走り出した瞬間、自分が立っていた場所が風のせいで大きくえぐられていた。
(えっ?・・・ウソっ・・・だろ!・・・)
そう思ってたがもうそんなのどうでもよかった。
もうそんなこと思っている時間もなかった。
一刻も早く女性を助けにいかなければならないからだ。
俺が通ったところは暴風が大地がえぐられ、木々をなぎ倒していった。
そんなことおかまいなしに走り続けた。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」
時を同じくしてある少女も必死にして走っていた。
後ろから追ってくる狼の群れから逃げるために。
その時、
ガツッ
「あっ!」
少女の足がつまづいてしまって転倒しまった。
その瞬間を狼達は逃さず、倒れている少女を一瞬にして囲んでしまった。
「うっ・・・ううっ・・・」
「グルルルルッ・・・」
「だっ・・誰か・・・誰か助けてえええええええ!!!」
その瞬間、
「ガルルルルルルルッ!!!!」
狼達が襲いかかってきた。
「いやああああああああああああ!!!!!!」
(いた!って今にも噛み付こうとしているんじゃねえか!
クソッ!間に合わなかったか・・・)
そう諦めた瞬間、なぜか俺の剣のことを思いだした。
(・・・・もしかしたらこの剣だったらいけるかも・・・・)
俺はその剣に吸いよられるようにを剣を手に取った。
そしてその時俺は剣を抜いた。その瞬間、いきなり膨大な魔力が放出されて
狼達を吹き飛ばした。だが魔力だけじゃないと俺の勘がはたらいた。
なんだかその剣から威圧されているような感じがした。
狼達もそのことに気づいたのか一目散に逃げていった。
次話に続く・・・。