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追放ヒーラーですが【発明者が医師】なのでガトリング砲を使います!  作者: とらいぽっど
ドドドドッ☆みんなを救うふしぎなシャワー!

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束の間の居場所

「防護柵の修理、終わりました!」

「助かるよ、リリアちゃん」


追放から一か月。

リリアは小さな村に流れ着き、ギルドからの低ランク依頼をこなしていた。


掃除や採集、柵の修理など、地味で誰も注目しない仕事ばかり。

それでも、村の人々は「よくやってくれるね」と声をかけてくれた。

今ではリリアを気にかけてくれる村人も、何人かいる。


リリアはそれで構わなかった。

誰の目にも留まらず、誰の記憶にも深く残らない。

それが今の彼女にとって、最も安全な生き方だった。


ある午後、いつものように村の広場でお茶を飲む。


相手は、村で一人暮らしをしているエルナさん。

白い髪と皺だらけの顔、小柄な体のおばあちゃんだ。


「今日は暑いねえ。リリアちゃん、ちゃんと水分取ってるかい?」

「はい、大丈夫です。エルナさんも無理しすぎないでくださいね」

「ふふ、心配してくれてありがとうね」


エルナさんが差し出したクッキーを頬張ると、エルナさんがくすりと笑った。


「あらあら、ほら、ほっぺについてるよ」


皺だらけの手が、リリアの頬のクッキーの欠片をそっと拭う。

まるで本当の孫を見るような、優しい仕草。


リリアの胸が、ぎゅっと温かくなった。


「リリアちゃんはほんとに律儀だねえ」


翌日も、その次の日も、いつものようにお茶を飲む。

こんな日がずっと続けば良いのに。


リリアは思う。

ここには追及する目も、疑いの視線もない。

ただ、優しいエルナさんと、穏やかな日々だけがある。


「……ねぇ、リリアちゃん」


ふと、エルナさんが茶碗を置いた。


「リリアちゃんが来てくれると、家の中が明るくなるねぇ」

「ひとり暮らしが長くてね、寂しいと思う日もあったんだよ」


エルナさんはリリアの目を見つめ、そっと語りかける。


「……もし、リリアちゃんさえ良ければ……その、ね……うちの子になっておくれないかい?」


「えっ?」


「驚かせちゃったわね、気を悪くしないでおくれ。」

「もしいつか、リリアちゃんが"いいよ"って思ったときは……」


エルナさんがわずかに目をそらす。頬にわずかに赤みがさしている。



「返事のかわりに、"おばあちゃん"と呼んでおくれ」


リリアの脳裏に、追放の日々、拒絶された顔、責められた言葉がよぎる。

でも今は違う。


誰かが自分を必要としてくれている。

拒絶じゃなく、受け入れられている。


「……わたしなんかを受け入れてくれる人が、いるなんて……」


溢れ出す涙を、リリアは止められなかった。


エルナさんが、皺だらけの手でリリアの頬をそっと拭う。


「当たり前じゃないかい。リリアちゃんは、いい子だよ」

「リリアちゃん、顔をお上げ」


涙で濡れた視界のまま、ゆっくり顔を上げた。


エルナさんは、微笑んでいる。

シワの一本一本が、「この子を大切にしたい」という想いを表しているかのような。


パシュッ。


不意に空気を裂く乾いた音がした。


何が起きたか分からない。

ほんの一瞬、世界が静止する。


そしてリリアは……エルナさんの表情の"違和感"に気づく。


エルナさんの片目に――矢が生えている。

さっきまでの優しい笑顔のままで。


リリアの脳が追いつく"その次の瞬間"、

ドドドッ……! と複数の矢が、エルナさんの小さな体に突き刺さる。


肩、背中、胸、腕。


一本が、喉に突き刺さった。


ヒュー……ヒュー……


気管から空気が漏れる。

笛のような、か細い音。

それがだんだん、弱くなっていく。


エルナさんの口が、何かを言おうと動く。

でも、声にならない。


残された片目で真っ直ぐリリアを捉える。

まるで「大丈夫だよ」と言っているように。


口の動き。


「に……げ……て」


声にならない言葉。

死を前にして、自分のことではなく――リリアを案じている。


細い体が跳ねるたび、リリアの視界が真っ赤に染まる。


「嫌あああっ!」


リリアの悲鳴が、静かだった村に響き渡った。

追放からの異世界スローライフが…はじまりませんでしたっ!!!!

ガトリング砲が出てこない、タイトル詐欺! …と思った方、あと2話おつきあいを!!

3話は12/4 20時ごろ、4話は12/5 20時ごろ公開です!

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