親戚だった
ボルモン伯爵家から馬車に揺られて1時間ほどだろうか。
凛とした佇まいの荘厳なお屋敷の前に停まった。
ここなのね・・
トルディア侯爵家のことは知識としてはもちろん知ってるいるけれど、親交があるわけでもなく接点もないのだ。
どうして助力してくれたのかしら??
メロウ様から話を聞いた時からその疑問が大きかった。
先触れを出していたので、すんなりとお屋敷へ通された。
「ようこそお越し下さいました。モンス伯爵様。私トルディア家執事のメンデルと申します。
大変失礼ですがお連れの女性は?」
ハッとなって佇まいを居直す。
するとメロウ様が紹介してくれた。
「失礼、こちらは私の妻となったシェリアーナだ。
ボルモン伯爵家の令嬢だよ。」
横でスッと礼を取る。
「初めまして、知らないのも無理はありません。
結婚したばかりですので、シェリアーナと申します、以後お見知り置き下さい。」
それを見届けて執事も頷いた。
「そうでしたか、ご結婚されたんですね。おめでたいことです!
こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします。
では、早速ですが主人のところへ案内致します。どうぞ。」
そうして案内されたのは、晴れた日の庭園が綺麗に見渡せるサロンだった。
ご家族は揃っていらっしゃるみたい。
執事が私たちの到着を告げると、こちらへ男性が来た。
「やぁやぁ、メロウ!!久しいな!領地は忙しそうじゃないか!」
とても元気なお方だわ。
メロウ様は慣れているのか、それを受け入れているみたい。
「あぁ、ユスランも元気そうで何よりだよ。
とりあえず、みんなのところへ行って話してもいいかい?」
「あぁ、もちろんさ!ミラもレオルもメロウと会うのは久しぶりだし、
お互い紹介したい人が増えてるみたいだしな!ははっ」
サロンのソファ席を勧められて、メロウ様と腰をおろす。
メイドがすぐさまお茶をお菓子を用意して下っていった。
「んんっユスラン、まずは報告したいんだ。
こちらに居る女性は、シェリアーナ・ボルモン伯爵令嬢で昨日僕と結婚して、シェリアーナ・モンスになったんだ。
今後ともよろしく。」
メロウ様の紹介に続く。
「妻のシェリアーナと申します。
未熟者ですがよろしくお願いいたします。」
丁寧にお辞儀をする。
「ほぉ!!メロウもやっと結婚したか!相性も良さそうだし良かったなぁ!!
そうそう、うちもな!
リオルがやっとペアを決めたんだよ。
ゆくゆくは嫁いできてもらうつもりだ!(ニカっ)
彼女はキッシュ伯爵家のご令嬢でな、クラナというんだ。
歳はまだ11歳だが、よろしく頼むよ。」
そう言ってクラナ嬢を見て微笑んでいる。
彼女はこの家に望まれているのね。
良かった・・
それよりも、メロウ様とトルディア侯爵様は仲良しなのかしら?
お互いに呼び捨てだし、ご家族とも気さくな対応よね??
知らないなら聞けばいいんだわ!
「んっ!あの、よろしいでしょうか?!」
突然の申し出にみんな一瞬固まってしまったみたい。
メロウ様がすぐに対応してくれた。
「シェナどうしたんだい?」
メロウ様に感謝!
「疑問がありまして、メロウ様とトルディア侯爵様はとても気心知れている間柄に見えますが、お知り合いだったのですか?」
と、私の質問を聞いてクラナ嬢もうんうんと頷き知りたがっている様子。
そうよね、知りたいわよね!?
と何故かクラナ嬢と眼と眼で会話していた。
そして2人で頷き合って「ですよね!」と締めくくり。
そんな私とクラナ嬢を見て、トルディア家の3人とメロウ様は笑い出した。
もうっ笑うところじゃないのに。
本当にわからなかったから聞いただけよ。
笑われたのが心外でぷりぷりしちゃう。
それにもまた笑われる悪循環。
むー・・・
くくっとなりながら、メロウ様が私の頭をそっと撫でて言う。
「ごめんごめんっ!
そう言えば言ってなかったよね。
僕とユスランは親戚なんだよ。
昔は良くお互いの家に行き来して、お泊りとかもしてね。
家族ぐるみで旅行とかも行ってたんだ。
性格とか好みは全然違うけど、何となく馬が合って兄弟みたいな感じだと僕は思ってるんだ。」
その話を聞いて、私とクラナ嬢はまた目を合わせて「なるほど!」と頷き合った。
そしてそれを見た周りはぷっと笑うという。
「まぁ、そういうわけだ。
だからシェリアーナ嬢、いやもう夫人か。
貴方もそのような感覚で私たちと付き合ってくれ!畏まらないでいいから。ミラとも仲良くしてくれ、もちろんクラナともな。ははっ」
なんだか一気に親戚が増えたような感覚だわ(笑)
でも、楽しいわね。
あ!!
そうだわ・・
本題はここからね。




