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判決後(トルディア家)

「ただいま~!!」

当主の帰りをいまかいまかと皆で待っていたところのその声に、バタバタバタと駆けつける音がする。


「あなた!おかえりなさいっ!」

「父上、お疲れ様でした!」

「ユリウス様、おかえりなさいっ(ニコ)」

最後のはとても良い。

頑張って急いで帰宅して良かった私・・娘っていいなぁ。


とかひとりでジーンとしていると、妻に胸ぐら掴まれてせっつかれた。

「あなたっ!!それでどうなりましたの!!!」

その隣から息子もチクチクと言ってくる。

「父上、当然しかるべき処罰に落とし込めたでしょうね?」

その様子を見て、

「お二人共、落ち着いてっ」

と必死に止めてくれる嫁が可愛い。


んんっ切り替えていかんと。

「まぁ、とりあえず落ち着いてくれ。

サロンでお茶しながらでいいだろう?」

「わかりましたわ、お茶の用意お願いね」

早々とお茶の用意を指示する妻。

「わかりました。では僕はクラナと先にサロンへ行っていますので」

父にはちょっとツンな息子。

その横でチラっとこちらを見て会釈して小さく笑む嫁。

うん、俺も早くサロンへ行こう。


サロンで落ち着いてから、事の顛末を話した。

「まぁ、そうしたらルティ家は無くなるのね!」

「あぁ、そうだ。迷惑かけすぎだ。実害出てるしなぁ・・」

「流刑ですか、いいですね。あそこから一生出さないで下さい」

「あぁ、陛下の取り決めには監視付きで一生あそこで暮らすこととあったぞ。ぬかりはない。」

「良かったです。クラナ・・もうマトワに怯えなくていいよ。

君の心の平穏が訪れると思うと、僕も安心するよ」

そうして、クラナを安心させるように微笑みかける。

そのやり取りを聞いて、クラナは思わず泣き出した。

「っっわだしっマトワが大嫌いでしたっはじめてあっだ時から、目がこわぐって・・っ

もうだいじょぶっって・・よがったぁぁぁぁぁあああ」

気丈にしていても、一度精神に住み着いた恐怖は無くならない。

元凶が取り払われて初めて回復へ向かうのだ。

いま彼女が安堵して号泣しても、一緒に涙を流す者はいても、馬鹿にしたりするような人はこの屋敷には居ない。

みんなここ数日の彼女の様子に心を痛めていたのだから。


泣いて泣いて嫌なことは洗い流してしまえばいい・・


そう切に願う。


早く彼女の心からの笑顔が戻りますように・・。


ユスランが報告した日、泣き疲れて眠ってしまったクラナをみんなが微笑ましく見守った。


夕食時にはスッキリした顔が見られて、私たちも安堵したものだ。

彼女はご迷惑おかけしました!って大層謝っていたけど。

クラナのことが無ければ、ルティ家のせいでまたこれから先も犠牲者を出していただろうことは明白なのだ。

今回証言をしてくれたボルモン伯爵令嬢とクラナには感謝しても、非難されることは何もない。



それから2日後、憂いが晴れた顔で満面の笑みを浮かべるクラナを見られて、トルディア家が沸いたのは言うまでもない。


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