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使用人の計画

*前半少しだけ気持ち悪い感じあるかもしれません。

ルティ家の使用人たちの努力とこれからについてを考えてみました。


朝露がきらめく晴れた日。

朝日が見えてきた頃部屋で頭おかしく悶えている姿があった。

部屋の主人マトワである。

ふぅ・・

「ふふふっふふふ~」

・・・

ぐふっ

「あーーーーーははははははは!!!」

なんて素晴らしい。


この世に・・あの子と同じ時代に生まれたこともまた運命ということだな♪


やっぱり、僕とあの子は結ばれる運命なのさ~♪


ずっとご機嫌でまるで、一人歌劇でも披露されているのか??というくらい演技くさい大袈裟な仕草と言葉の羅列、心ここにあらずな目線や常に目の痛くなるようなギラッギラの服に包まれるその人は、

ご執心なご令嬢に対して懲りもせずに何か贈り物をしたらしい。


それを聞いたときの私たちメイドは一同

「「「「うそでしょ!!!またなの」」」」

と開いた口が塞がらなかった。

もう本当にヤバい・・

そんな奴に何も言わない伯爵様もヤバい・・

坊ちゃまの兄上であるセス様も部屋から全然出てこないし・・

一体何を考えていらっしゃるかもわからない・・

なんならお顔もわからないのよ・・

もうこんなお屋敷嫌っっっ


そして夜な夜なみんなで辞める時期と移住先の考察をするのが日課となっていた。

まぁ、つい数日前にやっと辞める時期と移住先の候補は絞ったんだけどね。


ここ2週間ほどで少しずつだけど荷造りをして移住先に送っていたから、出ていくときはトランク1つ持ち出すだけで済むようにしてある。

それは全員で動きやすいようにということを考えて。


まさか使用人が全員一緒に辞めるなど、考えてもいないんだろうな・・

決行はなんと!明日だ。


やっと・・やっとよ。

あの気持ち悪い変な言動や行動に悩まされることもなくなる・・

永遠とわけのわからない惚気を聞かなくても良くなるなんて・・あぁ幸せが待っている!!

使用人同士、仕事中も目を合わせて明日までよ、頑張りましょうと励まし合いながら、どことなくみんな浮足立っているのがわかる。

わかっていないのは、主人達だけ。


希望を胸に平静を装っていつもどおりに動く中、

庭師見習いのティムはあることを思い出した。


ん?

そういえば、師匠が引退する時に話してたな・・

えーっと・・・

と思い出すと、明日ここを去る前に確かめておいたがいいかもと思いたった。

一人で行くと何かあった時に戻れなくなるから、使用人のみんなに話しておいたほうがいいな。

朝食前に話しておこうと決めた。


使用人棟の食堂では、ちょうどみんな居た。

「みんなちょっと話しておきたいことがあって、いいかな?」

「あらティムおはよう、急にどうしたの?でも話は聞くわよ」

「ありがとう・・ふぅ。

実は・・俺の師匠が引退する前日に話してくれたことなんだけど」

と、森の奥に住む魔女の話を師匠から聞いたままに伝えた。

話し終わると食堂はシーンとなる。

「え・・ナニソレ。誰がいるって??魔女?このご時世に魔女っているの?」

「俺も聞いたことないぞ・・」

「というか、誰も行かない場所に住んでるって??伯爵が森に近づいてるのも見たことないぞ」

少し沈黙が流れて、執事長がこぼす。

「もしかして・・

いや、そんなこと・・

考えたくはないが、まさか奥様だったり?するのでは??」

その言葉に全員はっとなる。

まさか・・・

なぁ?・・

でも、お屋敷に居ないってことは・・

みんながゴニョゴニョ言い出す。

「あのさ、それで明日出て行くんだし、心残りは無い方がいい。

だから、俺見てこようと思ってるんだ」

「「「「「え!?」」」」」」

「うん、森の奥にさ。

どうせ出ていくんだから今日は朝から仕事しないで森に入ってくるよ。」

「っ!!ティム一人では何かあったらどーすんだよ!

兄貴分である俺も一緒に行くぞ。」

「おいおい、俺も行くって。」

「僭越ながら、私も一緒しよう」

「いえ、執事長はいつもどおりに業務をこなしてください。

さすがに執事長が居ないのは怪しまれる可能性が高いです」

「む、そうか。そうだな、軽率だった。みんな奥様だった場合、こちらに連れ出して保護して明日一緒に同行させるのはどうだろう?

もしかしたら、奥様の口から語られることが伯爵家のやってきたことの証明になるかもしれない」

「そうじゃなくても、貴族の御婦人が森の中で暮らすことを強いられているなんて、大問題ですよ!!」

「私達も執事長の意見に賛成です!」

「「「「「そうですよ!」」」」」

「はぁーわかった。」

「女性陣は何かあったら大変だから、いつも通りに仕事をしていてくれ、くれぐれも気づかれないように。

残りの男性陣は女性陣のこと気にかけてやってくれ」

・・・

「「「「「もちもんだ、任せてくれ」」」」」

「「「「「わかったわ!!!」」」」」


「その代わり、気をつけて、絶対にみんな無事に戻ってきなさいよね」

「そうよ、明日みんな揃ってここを出るのよ。誰一人欠けること無くよ。」

「あんたたち、ちょっと待ってな。

どれだけ長い時間になるかわからないし、弁当用意するから持っていきなさいな」

「っっ侍女長、それはありがたいです!」

「おかんの持たせてくれる弁当みたいで嬉しいっすっ!」

「おぉ、久しぶりに侍女長お手製とはありがたく味わって食べますね」

「ったく、ピクニックに行くんじゃないんだぞ~」

「侍女長!俺達の仕事盗らないでくださいよ~料理人の名がすたります」

「はいはい、あんたたちにももちろん手伝ってもらうけどね、料理人には日持ちのするクッキーとかお菓子を作ってもらいたいのさ、もしも長期戦になったら弁当は日持ちしないからね・・・」

長期戦なんて・・怖いこと言うなよなぁ・・

「もしもってことがあるからね?備えは大事だよ」

・・・

「そうですね。ありがたく受け取らせて貰います。

では、私たちは一旦通常業務に戻って1時間後にここで集合でいいですね?」

「了解ですっ」

「では一時解散っ」

それぞれ業務に戻っていく。


もちろん俺も。


森の奥・・・魔女って誰なんだよ・・

本当に奥様だったら、そんなことってあるのか???

師匠、俺が謎を解いてきます。


いつか師匠にも話せるといいな。


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