かけがえのないもの
いわゆる幼馴染。
わかり合える支え合える、そんな関係素敵でしかない。
その日のパーティーには、公爵家から伯爵家までの10歳になる子息と令息が参加していた。
貴族の中でも、力関係の均衡を保つためとのこと。
あとは・・まぁ、子爵や男爵のところは爵位にあぐらをかいて教育をまともに受けていない子どもたちもいるらしい。
そういう子どもたちとの混ざりはねぇ・・
わかりますよね??
とうことで、今日は張り切ってお相手を見つけたいと思います。
私の気持ちが変わることはないと思うけれど。
少しでも及第点と思えたらいいかなぁ・・
あと、ついでにお友達も出来るといいなぁ。
むしろ、私としてはそちらのほうがメインだと思っている。
友情は永遠なのよ!
ウロウロとお菓子の並べられたテーブルを前にして、興味深そうに観察していると。
隣に同じく、お菓子を眺めている男の子が居た。
チラリと彼を見てみると、アーモンドミクルみたいな色の髪の毛はマッシュショート、瞳はエメラルドみたいな綺麗なグリーン、楽しそうにしている顔には両頬に小さなエクボがあった。
お菓子みたいな子だわ。
そう思っているのはクラナだけ(笑)
だって、周りから見たらクラナこそお菓子の代表ショートケーキみたいな子だから(笑)
でも、周りの感想なんて気づかずに、クラナはお隣の子に見入っていた。
ふと、その子がこちらに気づいた。
「はっ!人が居たなんて気づかなかった・・ごめん・・僕邪魔だよね?」
申し訳なさそうに眉毛がハの字になってしまっていて、なんだか可愛らしい小動物みたいに思えちゃう。
この子、小さいワンコみたいね(クスリ)
「いいえ、私のほうこそあなたが居ることに気づいて居なかったし、こちらが邪魔しちゃったかもしれないわ・・」
そう言って、向き合うと二人して笑ってしまった。
なんだか始まったばかりで、気の合いそうな子に会えたわね。
そういえば・・
「ごめんなさい、名乗っていなかったわ。
私はキッシュ伯爵家のクラナよ。あなたのことも教えてくれる??」
相手も気づいたように・・
「ごめんっ、気を使わせちゃった。僕はサマントス伯爵家のヒイロだよ。ヒイロって呼んでね、よろしく」
自己紹介すると、またお互いに笑いあった。
「ありがとう。私もクラナって呼んでね、ヒイロよろしく」
「そういえば、クラナはお菓子を選びにきたの?」
「うーん、それもあるけど、私はお菓子を作るのが趣味で、いろんなお菓子があるからせっかくだし参考にしようかと思って観察していたの(笑)」
「え!僕もだよ!もちろん、食べるのも好きだけど、お菓子作りが好きなんだ。男なのに変って思われるかもしれないけど・・」
バツが悪そうに俯くヒイロ。
「ねぇ、私はそんな風に思ったりしないわよ?だって、男だからとか女だからって関係ないと思うの。
好きなことがあるってステキなことだと思うのよ?
だから、ヒイロも誰かに何を言われても胸を張っていたらいいの。
それに、他の人がヒイロを否定しても私があなたを認めているわ。
だから、隠さないで」
クラナの言葉にそっと顔を上げたヒイロは、少し顔を赤くして可愛らしく笑っていた。
「クラナ、ありがとう。僕は今日最高の友達を手に入れたんだね。
僕達はこれからも友達だよ」
「えぇ、もちろんよ。私もね、ちょっと変わってるって言われるの。
人よりも少しのんびりで・・だから友達が居なかったけど、今日はヒイロと友達になれて本当に嬉しいわ。」
2人の微笑ましいやり取りを、近くから見ていた子がいるなんて気づかなかった。
その子はそおっと2人に近づいて行った。
・・・
「ねぇ・・」
????
2人は同時に振り返った。
「「なぁに??」」
可愛いの共演に、その子は一瞬引いて・・でもすぐに、
「あのね、私もあなたたちと友達になりたいの!!」
と告げてきた。
なんという勇気だろう。
「「もちろんいいよ!!」」
こんな素敵な勇気の持ち主なんて大歓迎よね。
「私はキッシュ伯爵家のクラナよ、よろしくね~」
「僕はサマントス伯爵家のヒイロだよ、よろしく!」
「!!わ、私はライアット侯爵家のアミカよ、よろしくっ!!」
三人輪になって、ふふふっと笑いあった。
アミカは、シンプルなクリーム色メインのレモンイエローのレースが裾や袖、襟に付いてるドレスを着ていて、清楚さが感じられた。
レースとお揃いのレモネードカラーの瞳と爽やかなミントグリーンのゆるく三つ編みされた髪の毛を胸元に流している。
少しキリっとした目元が爽やかさを増していて、とても賢そうに見える。
こんなに素敵なお友達が出来るなんて、今日は最高のパーティーね♪
後に大親友となるアミカと、アミカの婚約者となるヒイロ(こちらも親友となる)、2人との出会いはかけがえのないものとなる。
クラナにとっても、アミカにとっても、ヒイロにとっても・・
このときの3人は思ってもいなかっただろうけど・・




