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結託

それから夕食の時間になり、ダイニングにてキッシュ家全員と対面する。


いつぶりだろうか、伯爵と夫人は相変わらず仲が良く、お元気そうだ。

そして・・クラナ・・

最後に会った時よりも更に可愛らしくなっている。

まさに”ショートケーキ”だな。

俺の好きなケーキの代表だ(笑)


「皆さん、お久しぶりです。

今日はお邪魔させていただいています。

前もそうでしたが、相変わらず料理人の腕前も健在で見ているだけでお腹が鳴りそうなメニューじゃないですか!

ご馳走になります。」


「ははっやぁ~君も久しぶりだね、まずは冷めないうちに食べてしまおう、ほら、かけてかけて~」

「そうね、積もる話はまた後でしましょ~」

「ぉ・・おひさしぶりですっ」


ふふっ久しぶりで緊張しているクラナも可愛らしい(笑)


やっぱりキッシュ家の料理人の腕は最高だな~

美味いしかない!!

しっかり堪能して大満足な夕食を終えて、クラナは早々に寝支度に部屋へ戻っていった。

残念だが、いまは事を進めるのが先だからな・・

そのためには、しっかりと伯爵夫妻と話し合わなくては進めない。


名残惜しそうにしていたのだろう・・

サリエルがニヤニヤしていた。


そのあとすぐに夫妻とサリエルに連れられて、サロンへ移動した。


すでにメイド達が食後のお茶を用意してくれていた。

各自座って落ち着いたところで、

「んっ・・では、リオルくん、いや、サリエル?どっちと話したらいいかな?」

「お父様、まずは僕から話します。

実は、今朝すでにリオルへは事情を話しております

。」

「ふむ、なるほど、そしたら説明は省いても良さそうだね。

では、期日には少し早いけれど、対策の前にミエルとサリエルの調べた情報を聞いてもいいかね?ミエルのほうからでいいかな?」

そうして、母がお茶会で聞いてきた情報と俺が学園で仕入れた情報を聞いて、ほぼ答え合わせかのような同じ情報だとわかった。

俺が仕入れたルティ家の長男、セスに関しては学園内でしか広まっていなかったらしく、

話を聞いた父と母も顔色を悪くしていた。

父が探りを入れて入手した情報とも合致しているとのことで、あまりにも危険人物だという認定になり、今後はルティ家自体との関係も交流をしない方向に決まった。


内容が同じ人と思えないほどのことに、母は気分が悪くなったのかメイドに冷たいミントティーを所望していた。

そこで俺は話しだした、リオルに話した策を。


「どうでしょうか?

早々にこちらで見繕った相手と秘密裏に会わせてペアになってしまうというのは?

もちろん、ルティ家のことも話して両家で守るということが前提です。

それに同意してもらえない相手とは無理ですから。」

「なるほど・・」

「そうね、私も・・故エルドナ伯爵夫人の件もあったから、それが1番の防衛策だと思ったのよ」

「そうだな・・

いくらうちで守ると言っても、限界はあるからな・・

もちろん、護衛は常に付けるが、ああいう輩は何をしでかすかわからないから怖いな・・

ん?サリエル、してそのペアとして申し込める相手に心当たりはあるのか?」

「お父様、そこですよ。

僕はここにいるリオル・トルディアに白羽の矢を立てました。

僕の中でリオル以上に信頼出来る相手は居ないと思ったからです。

どうでしょうか?」

チラリとリオルと軽く視線を合わせる。

少し緊張しているようだ。


「ふむ・・確かに、リオル君は侯爵家だし性格などにも問題ないことはわかっている、うちからしたら破格の相手だと思うが・・

リオルくんにメリットはあるのかい?

それに何より君には既にペアが居たはずだが?」

それを聞いてガタっっと音を立てて立ち上がったリオル。

真剣な面持ちで話し出す。

「伯爵・・僕の口から話すことをお許しください。」

「んむ、かしこまらずに話してごらん」

「実は、僕は12歳の秋にペアは解消しています。

理由は、相手のほうから”他に好きな人が出来たから解消してもらいたい”と言われたからです。

その日のうちに解消しております。

不安でしたら、後日解消証明を見せます。

そして、ペアになるメリット、僕にはあるんです。

・・・

実は前からクラナ嬢のことをお慕いしていました。

だから、本当はペアも作りたくなかったけど、相手から強引に申し込まれてしまって断れず。

ずっと嫌々交流していました。

卑怯だと思いました。

でも、子どもながらに考えました。

婚約するまでには解消しようと思いました。


お願いです!!クラナ嬢とペアを組ませてくださいっ」


13歳・・まだまだ子ども、でもこんなにも真剣になれるのか。


相手は侯爵家子息・・大人の私でも断れる相手ではないが、それを無しにしてもコレ以上の相手は居ないだろう。


「あなた、リオル君ならいいじゃない??昔から知っているし、たぶんクラナも彼なら大丈夫だと思うのよ」


「ミエル・・ふぅ、そうだな。

リオルくん、今日はもう本人が寝てしまっているから、明日正式に申し込みしてくれるかな?

私達は大いに歓迎するよ。


どうか・・クラナのこと守ってくれ・・たのむっ」


「伯爵、それに夫人、サリエル。

それからこの場に居合わせたキッシュ家使用人の皆さん、

僕リオル・トルディアはクラナ・キッシュ嬢を絶対に悲しませないことを誓います。

どうか、温かく見守り、時には手を貸してください!

お願いしますっ」


伯爵夫妻とサリエルが「「「もちろん」」」と答えると、

周りからは同意と思える拍手が。


「ありがとうございます!!!!」

ガバっとお辞儀をする。


プライドなんてそんなのこの場では要らない、

そんなもの捨ててでもこの機会を逃してはならない。


”もうクラナを逃す気はない”


その後、明日には正式な申し込み書を送ると約束を取り付け、

今夜帰宅したらトルディア侯爵夫妻へ自分から話すと伝えた。


しかし、念の為にと伯爵が今回の経緯とペアの打診を受ける件も手紙にして持たせてくれた。

有り難い・・

話がスムーズになるからな。


帰宅したのは夜9時頃。

両親もきっと帰っているだろう。


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