親友と親友
翌日。
キッシュ家にリオルからの手紙が届いた。
サリエルは受け取ってすぐに確認する。
流石に早すぎないか??と思いながらも読み始める。
とりあえず、俺からの相談内容については当日って感じか。
空いてる日は~と・・よし、この日だな。
リオルが1日予定のない日にちょうど俺も空けられて良かった。
会える日を決めて返信する。
4日後、待てなかったのか午前中からリオルが来た。
「やぁ、サリエル!こうやってお宅訪問するのは久しぶりだな」(笑)
「ほんとだな!!懐かしいよな~入ってよ」
「お邪魔します!」
「早速で悪いけど、俺の部屋に行こう」
「あぁ、時間は有限だからな」
適当な会話をしつつ、部屋へと移る。
部屋にはすでにお茶菓子と淹れたばかりの紅茶が整えらえている。
定位置に座ると、侍女は外へ出ていった。
「さて、来てくれてありがとう。
ほんとに・・参ったよ・・」
「まさかだもんな・・
ていうかルティ家って調べれば調べるほどヤバいぞ。
俺でも背筋が寒くなった・・」
「いや、わかるわ。
俺も顔色悪くなることしか聞かなかったからな。
最悪だわ・・」
項垂れる。
「それで、対策をしたいとのことだが、ある程度は考えてるのか?」
「あ、いや~それがな・・誰か別の奴とさっさとペアを組ませたらどうかと思ってるんだが・・いかんせん、適任が居ないんだ。
伯爵家は粗方探りを入れたが、大体相手が決まってるし、侯爵家は高望みだろうからな・・
同年代の残ってるのはやっかいなのばかりで・・わかるだろう?」
「なるほど、そうだな。
歳の離れた相手でペアになれるのは、年上だけだがそれこそあぶれてるのは危ない奴ばっかり・・」
「まぁなぁ・・」
「もういっそのこと、他国で見付けようかと思って。
調べだしたところなんだよ。
隣国にちょうど立場的にも合いそうな相手が数人いてな、そっちから当たってみようかと思ってるよ。
どうだろう?これが1番良い策じゃないか?」
リオルは掌をぎゅっと握りしめた。
なんだって・・他国?他国の相手を探すだと???
なんでだよ。
家族みんな、クラナに会えなくなるじゃないか、俺だって・・
そんなのダメだ!!!
「サリエル・・それはやめてくれ。」
静かに怒りすら感じられる声にビクリとなる。
「えっ・・なんだよ~その顔、殺しそうそうな殺気出すなよ。
でも実際国内に居るほうが危ないと思うんだよ・・
まぁでも、俺の考えでしかないんだけどな、いまのところは。」
「サリエル、お前に伝えてないことがあるんだ。」
「ん?伝えてない??なにを?」
「・・実は、12歳の秋に俺はペア解消してるんだ。
あ、俺からじゃなくて向こうから他に好きな人が出来たからって相談されてな、気が変わらないうちにってその日のうちに解消したよ」
「は??え?お前フリーだったの??去年じゃん・・」
「そうなんだよ・・俺はその・・相手のことどうしても受け付けなかったから、円満解消出来て舞い上がってしまって、その・・・伝えるのを忘れてましたっ!すまんっ」
サリエルは鳩が豆鉄砲を食らったような顔で固まっている。
そうなるよなぁ・・
コレでクラナを欲しいなんて言ったら殴られそうだが・・
その時はその時だな。
「おいおいおいおいーーーもっと早く言えよ!むしろその日に!
俺とお前は親友だと思ってたのに・・
お前は違ったのかよ。
かーー切ないねぇ。」
「う”・・申し訳ない。俺も親友だと思っている!
だけど・・好きなんだ。」
「は???」
「俺はずっとお前の妹、クラナ・キッシュのことが好きなの!
妹みたいって思ったのなんて、出会ってほんの2年くらいだったよ。
ペアだって本当は作りたくなかったし、どうしようもないほどクラナだけなんだ。
・・・その、親友の妹だけど、クラナにペアを申し込むこと許してくれないか??」
「は???え??お前・・まだクラナのこと好きだったの??
嘘だろ?
いや、俺も今回のことで適任はお前くらいだなーって思ったから、ペアに立候補しないか~って打診するつもりだったけど、
びっくりだわ!!
いや、もちろん、俺は兄としてクラナの幸せのために相手を見極める。
だけど、お前なら妹を託してもいいと思ってるよ」
「サリエル・・」
「けどな、さっきから言ってるけど、ここまでも俺の考えなのよ。
今夜家族会議開くことにしてもらったから、そこにお前も参加して、いま言ったことと同じこと言えるか??
うちの父と母を説得してからじゃないと、クラナには通してもらえないと思うぞ・・」
「だよなぁ・・
でも、それは百も承知なんだよ。
俺はクラナの傍に居たくて、傍に居て欲しいんだ・・
ここからは俺の頑張り次第だな」(苦笑)
「そうだな!俺はお前のこと信用してるし、応援してるわ。
クラナのこと諦めないでくれて感謝する」
「こちらこそ、頼もしい義兄の応援をムダにしないぜ」
誰からともなく顔を見合せてニヤリと笑った。
「とりあえず、夜までは時間あるからなぁ、ルティ家の詳しい情報教えとくのと、例のパーティーでの詳細も伝えるわ」
「お、そうだな、よろしく!」
落ち着いたところで、やっとお茶菓子と紅茶に手をつける。
頬張ったお菓子は懐かしい味がした。
「コレ、クラナの作ったクッキーに味が似てる・・」
「こわっ正解~俺の友人が来るって話たら、作りたいって言ってな。
楽しそうに朝から厨房へ入ってたぞ」
「感動しかない・・俺の求めてた味」
「ハイハイ、気に入ったなら持って帰っていいからさ、とりあえず話するよ~」
クラナのお菓子をひたすらつまみながら、2人は夕食前まで語り合った。




