1 効果を理解しない連中
「なあ」
足下に転がってるクズを蹴飛ばす。
魔術で強化されてるので、簡単に吹き飛ばす事ができた。
相手は迷宮の壁に叩きつけられて悶絶する。
「冗談なんだから付き合えよ」
蹴飛ばしてる男は支援魔術の使い手だった。
いわゆる能力強化や低下、様々な状態異常や能力付与の魔術を扱う。
見ただけでは効果がわかりづらく、敵に直接打撃を与えるわけでもない。
その為、あまり重要視されてない魔術である。
それどころか軽んじられてバカにされる始末だ。
しかし、支援魔術の使い手はそうではない。
あれば便利だろうと身につけ、実際に迷宮探索で成果をあげている。
彼と共に行動すれば、通常よりも楽に迷宮探索が出来る。
戦闘も楽にこなせる。
いつもより疲労を感じる事無く迷宮探索を切り上げる事ができる。
しかし、それを理解しない者が多い。
使い手が同行してるから負担が減ってるのだが、そこに思い至らない者がほとんどだ。
どういうわけか、自分達の実力が上がったと考える。
そして、同行してる使い手をバカにする。
「なにもしてないじゃねえか」と。
今回もそうだった。
支援魔術によって戦闘が楽に進められていた。
自分達は強化され、敵は弱体化させられ。
その差が戦闘力に反映されていた。
なのにも関わらずだ。