さあ戦争をしましょう
『信長の覇道』サービス再開一日目。
突然の休止と突然の再開。
一般プレイヤーはまだついてこれてない。
だがノブナガ軍とA・H軍はあの日の続きを始めるために並び立っていた。
「やっとまた会えたな。A・H」
「君こそね。ノブナガ」
「じゃあ始めようか、戦争を」
「大丈夫ですか?ちゃんと準備は整ってますか?」
「はぁ?俺が準備を整えもせずに戦争を始めるようなバカに見えるのか?」
「これは失礼。侮辱したつもりはないのです。あなたとは全力で戦いたかったもので」
「ちょっと邪魔は入ったがもう終わった。精一杯の戦争を始めよう」
「私も同じ気持ちです。始めましょう」
「さあ殺し合いだ!」
『Akashic』が何をしようともう関係ない。
おそらくこのゲームが生み出したAIはこれからの戦争に使われるんだろう。
でももうノブナガとA・Hにとってはどうでもいい。
現実の戦争などより、ゲーム内で行われるこの戦争の方がとっくに重要になっていたから。
『信長の覇道』の中では再開と同時に最後の戦いが始まる。
*
「ノブナガ!指示を頂戴!」
「ノブナガここまで来て負けはねーぜ?」
「お前ら無礼だぞ!殿、なんでも成し遂げて見せます!命令を!」
ノブナガ軍の主力上杉謙信、ABCD、羽柴秀吉の三人。
ABCDは死ぬギリギリのところでゲームがシャットダウンされたことでキャラが残っていた。
「妻はどうしたらいい!?妻は!」
妻も一人。
「ウヌたちも戦うの!」
「俺たちは多分遊撃隊だな」
「何隊でもいいけど私はタライと一緒よ」
中身みっちょん幼女とぶれない二人。
「私は先行し、身を隠しながら敵の数を減らしていきます。そして向こうの動きがわかり次第逐一連絡していきます。今回はセイレーン様とのパスを繋いで貰っているので」
そしてパプル。
「あ!これ私のニュー能力!新妻能力ね!」
なんかランがちょっとうまいこと言ってるけどイラっとしたのでノブナガはスルーする。
そしてパプルは真剣な目で続ける。
「忍びとしての役目を果たします。ぷにぷに大将軍の分まで」
幹部全員の言葉を聞いてノブナガは笑みを浮かべる。
「さあ、楽しい戦争の時間だ」
*
「ヒトラー様、どのように戦われますか?」
「まだこちらの方が兵数ではまさっています。でもこちらは有力な武将をほとんど失っている。今残っている武将はアイヒマン、あなたと、、、そこのあなたは明智光秀でいいのですか?」
ただの一般兵のような男に向かってヒトラーが声をかける。
「はい、身体は変わりましたが明智光秀です」
「能力は?」
「増えています。これで3体目の身体なので、元々の持ち主のスキルが」
「でも君消えかけてない?」
「はい、私もあのサルと同じで電脳世界にしかいられない魂だけの存在ですから。3体目ともなればもう次はないでしょうね」
「まあいい。死にそうだからって情けとかをかけるつもりはないですよ。これは戦争だ」
「私はサルとノブナガを倒せれば命など惜しくありません!」
「うーん、ちょっと違うんですよね。君の恨みつらみはどうでもいいんですよ。本当に。心の底から。サル?とノブナガを倒すとかいう目的でやってもらったら困るんですよね。君にはA・H軍の勝利のために動いてもらわないと」
「ですが私は!」
「私の命令に従えない配下はいらないんですよ。邪魔なだけ。それなら今ここで殺した方がいいか」
ヒトラーは明智光秀の額に銃を突きつける。
「え?」
「え?役に立たないだけなら殺さなくてもいいですが、邪魔になりそうな兵は殺すでしょう。それが他の兵を守ることになる」
「ちょっと待ってくれ」
「待つ必要性を感じませんね。時間の無駄遣いとしか思えない」
「貴方に、、、従い、、ます」
「じゃあ契約術式を結びましょう。この契約を結べば私の命令に反した場合即死します」
「え?そこまですること!」
「はぁ?何を言ってるんですか?契約を結ばずになぜ他人を信じられるのですか?」
「で、でもアイヒマンは!?」
「私はとっくに契約を結んでいます。このゲームに入ったその日に」
アイヒマンは当たり前のように答える。
「どうします?イェス以外の答えならこの場で殺します。命令通りに動かない駒ほど邪魔なものはないですからね」
ヒトラーの目は本気だった。というか当たり前のことだという感じで表情に一切の変化がなかった。
それはアイヒマンも同じ。ヒトラーとアイヒマンにとってこれはひどく当然の事なのだ。
そしてそんな二人の目を見て明智光秀は察する。ああ、彼らは自分とは違う存在なんだ。そう、かつて憧れたノブナガと秀吉のような。
「け、契約を結びます」
「なら殺すのはやめましょう。ではうちの武将は2人になりました。アイヒマンあとはステータス的にめぼしいプレイヤーを見繕ってください。契約を結んだ後、大名の地位を与えましょう」
「はい、すでに選抜して隣の部屋に集めています」
「ではさっさと始めましょう。開戦は明日の夜明けです」
A・H軍もまた開戦までには準備が整うだろう。
戦争が決まってから視界の右下に現れたカウントダウンを見ながら両軍、開戦の時を待った。
*
ピ、ピ、ピ、ピーン!
『ただいまよりノブナガ軍とA・H軍の戦争が開始されます』
空が白みだしたころ世界中にアナウンスが流れ、遂に『信長の覇道』でのおそらく最後にして最大の戦いが幕を開ける。
まずはウヌカル、タライ、マカミたちを筆頭とした先陣を任された兵たちとA・H軍の先鋒が最前線でぶつかり合う。
A・H軍の数はノブナガ軍の1.5倍。
だがウヌカルが指揮するアイヌ兵、タライ&マカミの戦力でなんとか均衡は保たれていた。
「みんな!頑張るの!!!」
「「「「「うおおおおお!!!!」」」」
「どけぇぇぇ!!!」
「タライに歯向かう奴らはみんな凍りなさい」
*
「まずは何とか互角に戦えているみたいね」
「互角じゃダメだろ」
「だから今回は私たちも動くのよ」
「わかってるよ。死に損なった命だ。ここでやらなきゃかっこつかねーよ」
謙信とABCDもすでに出陣準備が出来ていた。
開戦前のノブナガからの指示はこうだ。
『今回は今までと違って俺たちとA・H軍だけの戦いだ。後顧の憂いはない。これはパプルが確認した。だから各個撃破。前線が持ちこたえている間に敵の主力を叩く』
このノブナガの言葉を聞いてそれぞれ標的を決める。
『明智光秀が蘇ってるんでしょ?それなら今度こそ私がやるよ!今度こそ私がぶち殺す』
秀吉から明智光秀がまた別のキャラの中に入っていることを聞いてランは名乗りを上げた。
『どうやら向こうはめぼしいプレイヤー2人にも地位を与えて中位職につかせたらしい』
これもパプルから届いた確かな情報だ。
『それならそのプレイヤー大名とは私が戦うわ。どんな能力かもわかってない相手にぶつけるにはランはバカすぎる』
『それなら俺もそっちの相手をしよう。ギリギリの大勝負では、そういったイレギュラーな戦力が勝敗を分けることも多い』
謙信とABCDも続く。
『殿、儂はA・Hの右腕アイヒマンの首を獲ってまいります』
秀吉は言われなくても自分の役目はわかっている。ノブナガのために自分がすべきことを。
だからこそ明智の首はランに譲り、アイヒマンと戦うことを選んだ。
アイヒマンと戦えるのは自分だけだとわかっていたから。
そしてそれはノブナガもわかっていた。
ゆえに全員の意見通りに作戦は決定した。
『頼んだぞ、みんな。任せた、秀吉』
『『『おう!!!』』』
『はい、この命に代えても』
一人だけ任せたと言われた秀吉の心は高揚していた。
ノブナガに任されたのであれば勝利以外の結果は秀吉にはあり得なかった。
「そして俺はアドルフ・ヒトラーを討つ」
そしてノブナガは遊園地に来た子供のような笑みを浮かべる。
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