真田幸村VS前田利家
安土城地下3階、限られた数人しか入れない、というか存在することさえ知らされていない場所。
ここにランは収容されている。
「なあ、どんな気分だ?ノブナガ軍の主力でありながら敵に捕らえられて何もできないのは」
牢に入れられているランを見張っているのはA・H軍幹部、佐々成政である。
「えーっと、動けなくて暇なんでログアウトしてもいいですか?」
本気で暇そうにランが答える。
「無理だな。捕虜になったペナルティで現実世界での2時間はログアウトできないことになっている」
現実世界での2時間、ゲームの中だと結構長い。
「結構長いじゃん。暇だ~。漫画かゴシップ雑誌持ってきて~」
「、、、お前捕虜って意味わかってんのか?」
成政がランを睨みつける。
「え?動けない代わりに割と我儘が聞くってやつじゃないの?」
「ちっ!その通りだよ」
『信長の覇道』のゲーム内での捕虜にはそれなりの自由が保証されている。
ただ動くことができないだけ。
「だから早くマンガとゴシップ紙!あとゲームも!まあゲームの中でゲームをするってのも変な感じだけども!」
「はいはい、わかったよ。てかなんで俺が見張りなんだよ。めんどくせぇ」
渋々佐々成政はマンガ、ゴシップ紙、ゲーム機を取りに立ち上がる。
佐々成政はA・H軍のなかでも優秀な武将である。
だが今回の対ノブナガ軍では戦場に回されなかった。
成政はそれに不満を抱いていた。
だがヒトラーが成政をランの見張りにつかせたのは信頼からだ。
ランを一人押さえるだけでノブナガ軍の兵力を半分削ぐことに成功しているのだから。
「で、今どんな感じ~?」
マンガを読んでゴロゴロしながらランが成政に尋ねる。
「もうノブナガ軍との戦争は始まっている。指揮官と式神を欠いたノブナガ軍に勝ち目はないだろう。じきに終わる」
「、、、ノブナガは絶対帰ってくるし私たちも帰る。それにノブナガ軍には優秀な武将がいる。絶対に負けない!」
「負けるよ、お前たちは。A・H軍を、そしてヒトラー様を舐めすぎだ」
「なによ!そんな奴舐めまくってやるわよ!ベロベロにね!!!」
*
ここは小牧山城。
攻めてきているのはA・H軍の武将、前田利家。
そして迎え撃つのは真田幸村である。
「幸村様!前田軍がこちらに向かってきています!」
「はいはい、こっちは前田利家か」
「強敵ですよ、幸村様」
真田十勇士の一人、才蔵が幸村に言う。
「どこ選んでも強敵だっただろうが」
「どうやって迎え撃ちますか?」
幸村に尋ねるのは海野六郎だ。
「籠城なんてつまらねぇ。だがこんな劣勢の戦、どんなに頭を回しても確実な勝ちなんて見えてこない」
「でもそこまで悲観しているようには見えませんが?」
猿飛佐助は笑いながら幸村の答えを待つ。
「俺がお手上げなときに頼るものは決まってるだろ。お前たちだよ。真田十勇士!お前たちの力で俺に勝利を持ってこい!」
「、、、ふははは!ウチの殿は毎度毎度無茶を言ってくれる」
三好清海入道は豪快に笑って見せる。
「ははは!殿の命とあらば必ず勝ちをもぎ取ってこなければいけまい!」
三好伊佐入道もまた笑う。
「じゃあ始めようか。楽しい楽しい殺し合いだ!」
幸村の合図で真田軍は一気に動き出す。
籠城ではなく先手を打つために。
*
「殿!小牧山城から真田軍が飛び出してきました!どうやら籠城ではないのかもしれません!!!」
前田利家の元に伝令が焦りながら駈けつけてくる。
「へぇ、そうか。さすが真田幸村だな。籠城なんて似合わないと思ってた」
「ど、どうしますか?殿!」
「決まってるだろ。向かってくるなら蹴散らすまでだ。俺は四大将たちのような頭はない。駆け引きなんてのは苦手だ。真正面からぶつかり、力でねじ伏せる。それが前田利家だ」
前田利家という男は元は織田信長の家臣、そのままヒトラーの家臣となった古参の武将だ。
お世辞にも頭はよくない。
だが強い。
それは彼の戦歴が物語っている。
どんな知略にも真正面からぶつかって勝って来た。
何ならその知略に気付いてない時さえある。
彼は逆に戦略など考えないから強い。
それは自軍も敵軍のもだ。
単純な強さで勝ってきたのだ。
前田利家
レベル 685
職業 鬼人
侍の中位職の一つ。
ただただ肉体の強度に特化した職業である。
武も技も何もない。
単純に肉体が強い。それだけの職業。
だがそれが強い。何よりもだ。
「ぶち殺してやる」
前田利家は先頭をきって真田軍に向かっていく。
「殿!待ってください!」
突然飛び出した利家を追いかけて兵たちもついて行く。
だがまあこれもいつものことだ。
*
「前田利家が飛び出してきました」
真田十勇士の一人、霧隠才蔵がすぐさま真田幸村に伝える。
「情報通りの脳筋だな。でも実力は本物だ。そんでもってこう言う奴が俺は苦手。というか嫌い」
「どうしますか?」
「どうせ真っすぐ突っ込んできて暴れまわるんだろ?ならそのままやらせろ」
「え?」
「前田利家は俺が殺す」
「ちょ、ちょっと殿!?」
才蔵の言葉に対してニヤリと笑った幸村は数十騎だけを連れて飛び出していく。
まさに両軍、指揮官の単独行動で戦争は始まった。
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