真田幸村VS榊原
「はぁはぁはぁ」
「はぁはぁはぁ」
伊達政宗も本多忠勝も立っているのがやっとという状態だった。
だがどちらが優勢かというと、本多忠勝だ。
剣を振り上げる力もない伊達政宗を前に本多忠勝は槍を振りかぶる。
「終わりだ!!!」
「ああ、そのようだ」
伊達政宗は満足そうに笑みを浮かべその槍を身に受ける。
伊達政宗の心臓を貫いた本多忠勝も笑みを浮かべるが、それも一瞬。
次の瞬間、本多秀勝の首は宙を舞っていた。
「なに!?」
「お見事!」
背後から本多忠勝の首を切り落としたのは真田幸村である。
「あんたこそ見事だよ。まさに忠臣だ」
「有難きお言葉。ノブナガ様をお頼みします。あのお方は天下を取る方」
「わかっているさ」
「では、、、殿に、、、天下、、を」
伊達政宗はそこまで言って息絶えた。
「あんたの死を無駄にはしないよ。必ず俺たちが天下を取る」
それを聞いた伊達政宗は再び笑みを浮かべその場で事切れる。
真田幸村はノブナガの指示で本多忠勝の首を確実に獲れる瞬間まで、ずっと二人の戦いを見ていた。
伊達政宗がやられることを分かっていて見続けていたのだ。
「俺を恨んでくれていいぜ」
これがノブナガと伊達政宗の作戦だった。政宗は本多忠勝に勝てないことが分かっていた。だから出来るだけ本多の力を削ぎ、最後は自分の命を囮に使って幸村に本多の首を獲らせた。
幸村は政宗と共闘すればいいじゃないかと言ったが、それをすると榊原と本多も共闘してしまう。
榊原は回復係。本多と共闘されるとさすがにこちらの分が悪い。
だから真田軍は榊原の牽制のために動いていたのだ。
幸村だけをのぞいて。
今真田軍の指揮をとってるのは真田十勇士の一人、海野六郎である。
「安らかに逝けよ、独眼竜」
幸村は政宗の亡骸に手を添える。
そして次の戦場を見据える。
「さて榊原の首も獲りに行くか」
*
幸村が本多の首を獲って自軍に戻ろうとしていたとき、もう真田軍はいなかった。
そう、全滅させられたのだ。
榊原軍に。
自軍に合流した幸村は言葉を失う。
幸村の元にかろうじて生き残った猿飛佐助、霧隠才蔵、筧十蔵、根津甚八が駆けつけた。
「申し訳ありません、幸村様」
悔しそうに佐助が頭を下げる。
「、、、」
「ゆ、幸村様?」
「、、、何があった?」
「榊原軍とぶつかったのですが、敵の強さが凄まじく我々は歯が立ちませんでした」
「榊原はそこまで強くないという話だったが?」
「はい、ですが榊原軍の力は話で聞いていたのとは大きく違い、回復班というより先攻を任されるような苛烈な攻撃隊でした」
「おおおお!!!」
幸村たちの元に再び榊原軍が迫ってくる。
「幸村様!お逃げください!!!」
「逃げるってどこにだよ。俺が相手するからお前らは生き残っている兵をかき集めて隊を立て直せ!!!十勇士の死体も集めておけ。死んでからそこまで時間が経っていない者ならアイテムでの蘇生ができるかもしれない。第二ラウンドはそれからだ!!!」
「「「「はっ!!!」」」
幸村の指示で残った十勇士たちは動き出した。
「さて、俺はアレをどうにかしないとだな」
幸村の目の前には狂気じみた兵たちが雪崩れ込んできていた。
今の真田幸村のステータスはこんな感じ。
真田幸村
レベル 453
職業 狂科学者
不思議に思うだろう。なぜなら幸村の職業が変わっていないのだ。大名ではなくなったものは上位職ではいられなくなるはずなのに。
だが実はこの狂科学者は中位職なのだ。
幸村は大名が得られる、上位職へと至る権利を放棄している。
幸村はこの狂科学者という職業に可能性を感じていたからだ。
そしてその可能性は幸村自身が証明している。
「寄って来い。そこら辺の獣ども」
辺りからあらゆる獣たちが幸村の元へと押し寄せてくる。これは幸村が狂科学者の力を十二分に発揮するため、個人的に取得した獣寄せスキルである。
―皆、俺の力となれ―
幸村は獣たちを飲み込んでいく。
だがノブナガと戦った時のような化け物には変わらなかった。
ノブナガ戦での敗北を経て幸村もまた自分の力を高めていた。
ただ膨れ上がった力を使うのではない。凝縮してより洗練させる。
無数の獣を取り込んだ幸村だったが、その姿は元の幸村からさほど変わってはいなかった。
肌が赤黒くなり、角が生えた程度。
基本的な容姿は幸村のままだ。
ただ内包する力は桁違い。何も知らない子供ですら感じ取れてしまうほどの圧倒的な力の差だ。
「雑魚は消えろ」
―百獣の咆哮―
幸村の咆哮は辺り一面の敵兵たちを一気に消し飛ばした。
残ったのは率いていた榊原とその側近数人。
「よう、あんたが榊原だな。ウチの連中が随分世話になったみたいだな。楽に死ねると思うなよ」
「ふん!真田幸村か。強者だな。それでも儂が負けることはない。絶対にだ。それが家康様から与えられた儂の役目なのだから」
「結構なブラック企業らしいな、徳川。まあどうでもいいけど」
幸村は刀を抜く。
「ここで死ね!真田幸村!!!」
榊原は大剣を振り回す。
その一振りは辺りに突風を生み、辺りの兵たちを吹き飛ばしていく、
「また俺の兵たちを。マジでぶち殺すぞ、お前」
「やってみろ!!!」
「やってみろか。随分偉そうだな」
一瞬で榊原の前に現れた幸村は首を切りつける。
首の皮一枚だけ残った首。明らかに死んでいる。まともな人間なら。
だが榊原の首は元に戻っていく。そして榊原は幸村に切りかかる。
「ちっ!お前もう人間じゃないな」
なんとかその刀を幸村は受け止める。
「家康様に与えられた身体だ!侮辱する事は許さんぞ!!!」
「侮辱じゃねーよ。憐れんでるんだ」
幸村はニヤケ顔で榊原を挑発する。
「私に勝てると思うなよ!!!」
榊原の身体が膨れ上がっていく。まさに本物の化物の様だ。
「やっぱり人間じゃないな」
徳川家康のスキルは「弱きを助ける者」
弱いものを弱い分だけ強くすることができるスキルだ。
ゆえに強い本多忠勝には力を与えられなかった。
だが本多が特殊なだけ。基本民とは弱いもの。だからこそこのスキルは国を強くするのに何よりも有効的に働いた。
徳川の忍者衆もこのスキルによって作られた。
最も弱き民である孤児たちをスキルによって忍びに変えていたのだ。
榊原は回復術は得意だったが肉体的には弱かった。それはそれは弱かったのだ。
だがこれが徳川家康にとってはプラスに働いた。
誰よりも弱かった榊原は家康のスキルによって誰よりも強くなったのだ。しかも回復術を持ったまま。
榊原は徳川家康の最高傑作と言ってもいいだろう。
幸村と榊原の戦いは苛烈を極めた、
榊原が規格外ならば幸村もまた同じだ、
幸村は狂科学者という職業を突き詰め、その限界の先まで極めている。
「もっと来い”!獣ども!!!」
幸村の元には更に獣たちが集まり、幸村はそれを取り込んでいく。
「化物め!!!」
「だからお前だけには言われたくないっての!」
幸村の姿はまさに鬼。元の姿を残したまま完全なる異形と化していた。
幸村の攻撃は榊原を斬り刻むが、榊原は持ち前の再生力でその傷をあっという間に治していく。
そして榊原は幸村を斬りつける。
かろうじて刀で受け止めた幸村だが、榊原の力の強さに受け止めきれず吹き飛ばされる。
「クソ!あり得ねぇだろ!回復職じゃねぇのか!?」
壁に叩きつけられてダメージを負った幸村だが冷静に今の状況を考える。
ノブナガ軍の忍び二枚頭であるパプルとぷにぷに大将軍。この2人が情報を見誤ることはない。
つまり周到に隠されていたということだ。榊原軍の本当の力を。
情報では榊原軍はただの回復係。攻撃力はないはずだった。
だが今の一撃、本多忠勝よりも上だったように感じる。
パプルとぷにぷに大将軍の調べによれば榊原のスキルは回復系。ここに間違いはないはず。
つまりどういうことだ?
上位の回復職だが白兵戦も鬼のように強い。
そんなことがあり得るのか?
いや、ないだろう。
一人だけのスキルではない。
ということは、、、
「ノブナガ様に伝えろ。徳川家康のスキルはおそらく人体改造だと。そしてそれは俺の力よりも上だとも」
幸村は側にいた猿飛佐助に指示を出す。
「はっ!」
「さてノブナガ様が何かしらの手を打つまで、ここは俺が死守しないとな。まあ勝てる気は一切しないから、出来るだけ早く頼むぜ、ノブナガ様」
再び刀を構えて幸村は榊原と向かい合う。
本格的に第二ラウンドがスタートした。
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